IF 〜もしもあの時〜   作:マグウェル

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第一幕 HEART BEAT act.8

 

 

 

―警察署 署内

 

 

巡回中の警察官に補導されたアクアとあかね。

夜遅くにも関わらず、今ガチメンバーを筆頭にあかねの母親やアクアの保護者である斉藤ミヤコまでが集まってきた。

 

聴衆を終えて解放されたあかねに真っ先に駆け寄ってきたのは鷲見ゆきだ。パンッ!と強めにビンタをしてから「バカッ!」と涙を浮かべてどれだけ心配していたかを伝えてきた。

 

全員が彼女の追い込まれぶりを感じてやるせないような気になっている中、アクアだけが何かを企んでいるように両手をポケットを突っ込みながらも全員に背中を見せるように歩きながらもこんなことを呟いた。

 

 

 

 

 

「にしても許せないよな、番組を牛耳ってる奴らも...非難してた奴らも」

 

 

 

 

 

アクアの言葉に頷く男性陣。しかし、その一人であるノブユキがあることに気づいて頭を掻くようにしながらもこう呟いた。

 

 

 

 

 

「にしても、あの最年長の芸人さんはなにやってんだよ。こんなヤベー時に」

 

 

 

 

 

ムシャクシャした様子の彼の意見に賛同するように小さく頷くケンゴ。自分のスマホを手に取り、ある人物に問い合わせる...二人が言っていたのはハジメのことだ。何度掛けようとしても通話が繋がらない状態だ。

 

 

 

 

 

「...やっぱり、ダメだ。繋がらない」

 

 

 

 

 

「まったく。アイツ、ちょっと薄情すぎねえか?」

 

 

 

 

 

「ノブくん、それはちょっと言いすぎじゃない?五十嵐くんも何か用事があるのかもしれないし...」

 

 

 

 

 

そうこうやり取りしてる皆を見ていた時、あかねの母親が前に出て「娘を助けていただき、ありがとうございます」と深く一礼。そんな彼女が顔を上げるとキョロキョロと辺りを見回し、不思議そうにこんなことを呟いた。

 

 

 

 

 

「...あの方々はいらっしゃらないのですか?」

 

 

 

 

 

「あの方?」

 

 

 

 

 

ミヤコが確認するように問いかけると母親は小さく頷いてからこう答えた。

 

 

 

 

 

「あかねのことを気に掛けるようにいらしてた方々がいらしたのです...男の方と女の方が交互でわざわざウチまでいらして」

 

 

 

 

 

「それ、黒川を誹謗中傷しようとしてる奴らなんじゃ?」

 

 

 

 

 

「いえ、そうは見えませんでしたが...」

 

 

 

 

男女と言われてもピンとこない様子の一同。

考えるのを一足先に放棄したノブユキが「まあ、一つ言えるのは」と髪を掻き上げるようにしてこう呟いた。

 

 

 

 

 

「五十嵐っていう線はないな。アイツ、こんな事態になってもこない薄情モンだし」

 

 

 

 

 

「ノブくん、ただ連絡取れないだけだよ...」

 

 

 

 

 

そのやり取りを横目に見ていた有馬かな。

事情聴取が思いの外長くなってしまったと、軽く手で喉を擦るようにした。

 

 

 

 

 

「ちょっと喉渇いたから外で何か買ってくるわねー」

 

 

 

 

 

そう言い残して警察署から一旦外に出る。

雨脚が弱まったと感じながらも辺りを見回すと一般車向けの駐車場の片隅に停まっていた1台の車が視界に入ってきた。白いNSXだ...思えば二人が警察署にいると聞いてここに来た時からずっと停まっている。

 

よく町中を走っているプリウスやヤリスなら分かるが、なかなか見かけない車種の為、一目で分かった。

 

 

 

 

 

「(あの車...私達が来た時からずっと停まってるわね。スピード違反でもしたのかしら?)」

 

 

 

 

 

内心そう思いながらも目を向けているとコチラの視線に気づくようにヴァゥンッ!とエンジンが始動するNSX。ウィーンとリトラクタブルヘッドライトを起こすとヴァァァンッ!と控えめな速度ながらもスポーツカーらしいサウンド感を響かせながらも去っていった。

 

 

 

「(何だったのかしら、あれ....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―数日後 MEMちょの部屋

 

 

あかねを除く全員が掻き集められた。

アクアが初動で動いたことにより、彼女の自殺未遂はネット記事に上がるほどの状況になった。これにより彼女を批判していた者たちのコメントが一斉に止まると共に世間的に番組サイドの責任が問われる状況になる。

 

ここから更に一手間加えようと皆で考案したのが番組のアカウントを使って"わたしたち目線の今ガチ"の動画を作ろうというものだ。

 

全員で動画の素材になりそうな画像などを個々の携帯から掘り下げている中、ハジメは自分のスマホの画像フォルダからあるものを見つけた...あかねと一緒に写った写真だ。

お試し舞台稽古した時に撮った写真やサーキットに行った時の写真、バーベーキューの写真...どれも楽しそうに撮られている。そして、最後に目に入ったのは富士スピードウェイのゲートをバックに自分とあかねの二人を入れるような形でNSXを撮った写真だ。

 

それほど前の出来事でもないのに懐かしく感じる...確か、この時は彼女が知らない人呼び止めて撮ったんだっけな。

 

 

でも、彼女の存在も今となっては非常に遠く感じる。

 

 

星野アクアという存在が彼女を掻っ攫った。

自分が救えなかった彼女を救い、ここまで主体になって進めたのだ。

 

周囲も口には出さないが、助けた人間として彼とあかねが結ばれるべきという意見が多いだろう。

 

 

そんな中でこんなプライベートの写真を提出したら...

 

一つに纏まり始めたチームを内乱状態へと追い込みかねない。

 

 

そう思ってる時、MEMちょが「ねーねー!」と話しかけてきた。

 

 

 

 

 

「ハジめん、エモい感じの写真あった?」

 

 

 

 

 

ふと遠いところから聞かれてビクッと身体を反応させるハジメ。咄嗟に誤魔化すように「ハハハ...」と苦笑いするとこう答えた。

 

 

 

 

 

「集合写真で2、3枚ぐらいかな。俺...あまり写真撮らねえからさ」

 

 

 

 

そう言ってグループDMに写真を送る集合写真を送るハジメ。もちろん、あかねとの2ショットに関しては伏せる...自分なりの争い事を避ける策だ。

 

そんな彼を横目に見ていたノブユキはチッと小さく舌打ちをしてからこう小声で呟いた。

 

 

 

 

 

「つかえねーな...ホント」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―更に数日後 撮影日

 

教室

 

 

MEMちょの采配もあって"わたしたち目線の今ガチ"はバズりにバズった。コレによってあかねは批判の嵐からほぼ解放されたと言ってもいい状態に...そして、今日はそんな彼女の撮影復帰日だ。

 

あまり見てられないと一同からかなり離れた片隅にいるとあかねが入ってきた。そして、それから間もなくして撮影が始まった時...彼女は「行こっ、アクア!」とアクアにスキップするように歩み寄っては笑みを浮かべるような仕草を披露した。

 

全員が全員、その変貌ぶりに驚く...

周りを食らうようなその魅力に遠くから見ていたハジメは思わず苦笑い混じりの笑みを浮かべてしまった。

 

 

 

 

 

「(アクア好みの女を演じるようになったか...恐らく、俺がいない間に皆で会ってた機会があったらしいからその間に決めたんだろう。にしても...すごいな、アイツ。ホントに完璧にやってやがる。まるで別人だよ)」

 

 

 

 

 

そう思いながらもあえて距離を置こうと考えるハジメ。一同がいる出入り口とは逆側の方から出ようとドアに手を伸ばすと、「ちょっとアンタ?」と誰かに声を掛けられた。ゆっくりと振り向くとそこには有馬かなの姿が....

 

 

 

 

 

「なーに、辛気臭い顔してんのよ?芋臭い姿が余計臭く感じるんだけど」

 

 

 

 

 

いつもならここで何時ものスイッチが入って痴話喧嘩に発展するのがお約束とも言える流れ。だが...この時のハジメはそんなスイッチが入る気力すらなかった。いや、入れるも何も大元の電源からすっぱりと切られているような雰囲気すらある。向き合うどころか、再び背中を見せるようにすると「悪い」と一言謝ってからこう言い残した。

 

 

 

「今...そういう気分になれない。他のヤツんとこ当たってくれ」

 

 

 

そう言ってドアを開けて立ち去って行くハジメ。虚しく廊下に鳴り響くカツ、カツ...という靴音と共に遠ざかってい彼の背中をかなはただただ見ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日 鈴鹿サーキット

 

 

 

この日は予定されていたGR86タイムアタックの日だ。

 

いつも通り蛇行運転でタイヤを温めてからウォームアップの軽い慣らし運転に入るハジメ。

 

ブォゥゥンッ!とボクサーエンジン特有の低く野太いエンジンを周囲に轟かせながらもコーナーに突っ込んでいく。ブレーキングと共にブォウンッ!ブォウンッッ!!とシフトダウン。

 

 

エンジンの吹き上がりも好調、路面に吸い付くような足回り...パーフェクトとも言っていい状態だ。

 

 

この日のアタックの目標は車検対応NA仕様のGR86の最速ラップタイムを塗り替えることだ...ショップ側もかなり気合を入れて仕上げてきたのがよく分かる。

 

 

だが...何かが足りない。

 

 

車ではない、自分に対してそう抱き始めるハジメ。

 

 

自分でも分かってるが別の答えがあると勝手に思い込んで考えていた時、そちらに気を取られ過ぎて次のコーナーが迫っているということに気づくのが遅れてしまった。

 

しかも、そのコーナーは鈴鹿サーキットで魔のコーナーと呼ばれているほどのコーナー...デグナーだ。

 

 

 

 

 

「っ、やば...!!?」

 

 

 

 

 

咄嗟にブレーキングからのシフトダウンに移行。

 

しかし、それだけではオーバースピードだ...

 

サイドブレーキをガッ!と引き上げて更に対応を重ねる。

 

 

キィィッ!とスキール音を上げながらも減速しきったGR86。安全面を考慮して速度を完全に殺し切るような状態になってしまった....

 

 

 

 

 

「(だっさ...なにやってんだよ)」

 

 

 

 

 

インカム越しに「―大丈夫か?」と彼の師匠でもある小柏カイから確認するような呼びかけがあった。咄嗟に「大丈夫です」と答えながらの再びウォームアップを再開するハジメ。

 

 

 

しかし、ウォームアップ後のアタックも目標タイムとはほど遠いものだ。ピットに戻ってきてショップのオーナーと話を終えた彼が帰り支度を進めて去ろうとする背中を見た小柏は「待て」と呼び止めた。

 

 

 

 

 

「おめえ、最近ひでえぞ。明らかにパフォーマンスが落ちてる」

 

 

 

 

 

「ヒドイって...単に停滞期ってだけです。誰にだってあるやつです」

 

 

 

 

そう言って再び去ろうとするハジメの肩をガシッと掴む小柏。彼にしては真っ直ぐとした真剣な眼差しだ...そこから若干ため息をつきそうな表情を浮かべながらもこう述べた。

 

 

 

 

 

「俺の目を誤魔化そうたって、そう簡単に行かねえよ。お前のこと何歳から見てると思ってんだ?中坊の頃からずっとだ...見逃すわけねえだろ」

 

 

 

 

 

「ホントに何もないですって...俺、もう行きますよ」

 

 

 

 

 

そう言って再び歩を進めるために肩を掴む小柏の手を振り払おうとする。だが、彼は頑なに掴んだ手を離そうとはしない...

 

 

 

 

 

「離してください」

 

 

 

 

 

「お前の方こそ"話しな"。弟子が迷ってたらその道を教えてやるのが俺の勤めだ」

 

 

 

 

そう言う小柏に対し、頑なに口を開かないハジメ。勢いをつけて腕を振りほどいた時...小柏の方は更に勢いがつくように彼の胸ぐらを掴んでガンッ!と壁の方まで押し付けた。

 

 

 

 

 

「いいか、これはお前一人だけの為じゃねえ。俺らレーシングチーム·カタギリの為でもあり、スポンサーや依頼人の為でもある...自分が色んなもの背負って走ってるって現状を忘れるな。その為のメンタルケアだ...溜めてるモン全部吐き出しな」

 

 

 

 

 

そう言う小柏に対して目を逸らすハジメ...自分の悩みは決して他人に言えたようなモノじゃない。だが、そんな彼の思いを見抜くように小柏がある言葉を彼に告げた。

 

 

 

 

 

「...あの"炎上した女の子"のことか」

 

 

 

 

 

その指摘に思わず目を見開くハジメ...その視線を察すると先程とは打って変わり、小柏はハジメの胸ぐらから手を離し、肩にポンポンッと手を置いてはニッと笑みを浮かべてきた。

 

 

 

 

 

「言ったろ?中坊の頃からずっと見てるってな」

 

 

 

 

 

図星とも言える発言...

 

この人には何を隠しても筒抜けかもしれない。

そう思ったハジメは「ハァ...」とため息を小さくつくと観念したように「あっちで話します」と告げてその場から離れ、廊下の片隅で話すことにした。

 

その場にあった椅子に両手を組むようにして打ち明けていくハジメ...

 

 

 

自分があかねに相談を受けていたこと、

 

それにも関わらず彼女を助けられなかったこと、

 

彼女に恋をしていることに気づいたこと、

 

それと同時に失恋したこと、

 

そして...今、番組内で孤立しかけてること。

 

 

一から十まで全て打ち明けた。

 

小柏は腕を組みながらも壁に凭れるようにして静かに聞いていた。すると、ため息混じりにこんなことを告げた。

 

 

 

 

 

「お前、戦ってやろうって気にならねえのか?」

 

 

 

 

 

「戦ってやろうって...武器なんて」

 

 

 

 

 

「あるだろ...あの出演者の中でオメエにしか扱えねえ、最高にクールな武器が」

 

 

 

 

 

そう言いながらも彼が目を向けたモノ...それは廊下に並べられた歴代のGTマシンのミニカーたちだ。

 

 

 

 

 

「車...ですか?」

 

 

 

 

 

「そうだ、他の出演者が自分たちの武器であるちゃっちいダンスやらバンド演奏なんか披露してるが...お前はまだ武器を使って戦ってねえ」

 

 

 

 

 

「でも...番組の方向性とは合わないだろうし、それにアクアみたいな頭いい奴に言い包められたら終わりじゃ?」

 

 

 

 

 

ハジメの心配するような発言...しかし、小柏はその心配をフッと鼻で笑ってはこんなことを告げてきた。

 

 

 

 

 

「昔、ちょいとばかしやったゲームでこんな言葉を目にしたことがあってな...

 

 

"ペンは剣よりも強し"と言った人間はおそらく自動小銃をみたことがないんだろう....って言葉。

 

お前のドライビングは言ってみりゃ、"自動小銃"だ。全員ぶち抜いてやれ」

 

 

 

 

 

「番組の方向性は?そんなの披露できるようには...」

 

 

 

 

「なら...披露出来るようにもっとデカい大元を動かしてやる。なに、心配するな...不平等だった戦いを平等にしてやるだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ・

 

 

 

 

 

 

 

 

―ベリッシモ本社 CEO室

 

 

 

 

タイから帰国し、玉座とも言える椅子に座る井出の元に一本の電話が...ガチャッと受話器を取ると電話番をしている受付からその相手について告げられた。

 

 

 

 

 

「―CEO、レーシングチーム·カタギリの皆川様からお電話です」

 

 

 

 

 

「うむっ...繋げてください」

 

 

 

 

 

許可を出して玉座とも言える椅子を180°回して外の景色を眺めていると皆川が電話に出てきた。

 

 

 

 

 

「―レーシングチーム·カタギリの皆川です、今...お時間よろしいでしょうか?」

 

 

 

 

 

「コチラは構いませんよ。ですが...そちらは大丈夫でしょうか?小柏カイのアキュラ(北米ホンダ)メンバーとしてのデイトナ出場も近くなっている頃合いだと思うのですが...」

 

 

 

 

 

「―その小柏からの頼みです。アメリカに出国する前に貴方に進言したいことがあるということで」

 

 

 

 

 

皆川の話を聞きながらも「ふむ」と答えては秘書の斎藤にジェスチャーでコーヒーを持ってくるように伝える井出。一礼して一旦退出したのを確認してから「なんでしょうか?」と問いかけると皆川は単刀直入にその内容を答えた。

 

 

 

 

 

「―貴方の会社がメインスポンサーをしている"今ガチ"についてです。ウチの五十嵐の扱いが雑なので改善してほしいとのことで」

 

 

 

 

 

皆川の言葉を聞いた時に斎藤がコーヒーを持ってきたのを確認する井出。再び180°椅子を回転させてコーヒーを手にとって一口だけ飲むと珍しく遠くを見据えるようにしてこう答えた。

 

 

 

 

 

「私も同じことを思っていました。やはり、私や秘書以外にも同じことを思っている方が居ましたか...

少し前まで芸人のような扱いを受けていたかと思いきや、最近の放送ではほとんど出番なし...顔さえ見ることもなくなりました。

番組上層部が扱いづらいからって省いているようにすら見受けられます。私としては彼の大ファンなので是非とも出して欲しいのですがねぇ」

 

 

 

 

 

「―では...ご助力いただけませんか?五十嵐の出演の改善に関して」

 

 

 

 

 

皆川の恐る恐るの頼みに「わかりました」と言いながらも立ち上がる井出。そのまま握り拳をつくるようにして手を震わせるとこう伝えた。

 

 

 

 

 

「私も番組のプロデューサーを勤めるミスター鏑木に言いたいことが山ほどありましてね...なのでちょうど良いタイミングとも言えます。ついでに五十嵐ハジメのことも進言致しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               ・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―今ガチ収録終了後、教室

 

 

 

ハジメが居づらそうに「お疲れさん」と言い残して足早に去っていく中、他のメンバーは中央に集まって色々と話していた。

 

お題はあかねがアクアの好みを完全に演じ切ってることだ。

 

 

 

 

 

「あかね、スゴいよー!まるっきり別人みたい!」

 

 

 

 

 

「ホント、私たちが言ってた"B小町のアイ"にそっくり!」

 

 

 

 

 

「ま、まあ...ちょっとはやるじゃない」

 

 

 

 

 

有馬かなだけ控えめな言い方だが、あかねの演技について褒める女性陣。あかねが「そ、そうかな...」と照れている横で男性陣は去っていくハジメの背中に目を向ける。そしてノブユキが「はぁー、あ」と哀れむような目を向けながら言葉を零すとそのままある言葉を呟いた。

 

 

 

 

 

「アイツ、マジで最近ノリ悪いよな」

 

 

 

 

 

「なんかの大会が近いから練習してるって聞いたけど」

 

 

 

 

 

「前の収録ん時もそうだったじゃんかよ」

 

 

 

 

 

「まあ、色々事情があるんだよ」

 

 

 

 

 

ノブユキの肩にポンポンッと手を置くケンゴ。気を取り直すように話に入るとアクアがあかねに対してある質問を投げ掛けた。

 

 

 

 

 

「黒川、アイについて...どれぐらい調べたんだ?」

 

 

 

 

 

アクア質問に対して「うーん...」と自らの思考を辿っていくあかね。そして、ゆっくりと口を開けると知っていることを全て語り始めた。

 

 

 

 

 

「色々調べたよ。性格から仕草、家庭環境...あと、実は隠し子がいたんじゃないかってところまで」

 

 

 

 

 

隠し子...このことは世間に広まっていないことだ。

 

そして、この時...アクアは確信した。

 

黒川あかねはアイを殺した自分の父親を辿るのに使えると...

 

そして、それを有効活用するには彼女を手に入れる必要がある...と。

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