馬車の扉が開きカタリナが外へ歩み出ると、先ほどまで動揺と疑心暗鬼に包まれていた10万の軍勢が、物音1つせずに静まり返った。
彼女は悠然とした足取りで陣立ての最前列へと進み、帝都の城壁、そして全軍から最もよく見える小高い丘の上へと立った。
そして、その後ろから毛皮のコートを着た小太りの男、アレクセイ・スメルジャコフがわざとらしく卑屈な笑みを浮かべてすり寄っていく。
「で、殿下ァ。帝都のプロパガンダなどお気になさらず。私どもは、最後まで殿下のパトロンとして――」
「――黙れ、豚め」
空気を切り裂くような、冷酷で、絶対的な覇者の声。カタリナは振り返りざまに剣を抜き、その切っ先を辺境伯の喉元にピタリと突きつけた。
「ひ、ひぃぃぃっ!?」
辺境伯が、見事な悲鳴を上げて尻餅をつく。さっき馬車の中で打ち合わせた通りの完璧なリアクションだ。流石は海千山千の油狸、三下の演技が板についている。
「余が何も知らないとでも思ったか? お前が裏で帝都の簒奪者と通じ、余の首を売って帝国の関税を誤魔化そうとしていたことくらい、とうに見抜いている」
「な、なんのことやら……! わ、わしはただ、殿下のために資金を……っ!」
「資金? 笑わせるな」
カタリナの足が、辺境伯の胸ぐらを踏みつける。
城壁の上の帝国兵たちも、我が軍の10万の兵士たちも、息を呑んでその光景を見つめていた。
「我が帝国は誰の持ち物でもない。ルーシの金貨で余の忠実な兵たちを買い叩き、この国を裏から支配しようとする企み……万死に値する!」
「お、お許しをぉぉっ! 命、命だけはぁぁ!」
「消えろ。二度と余の視界に入るな。お前の汚い金などなくとも、余と、余を信じるこの兵たちがいれば帝都の扉など容易く開いてみせる」
辺境伯は裏ポケットに帝国中央銀行の支配権の契約書を大事にしまい込みながら、「ひ、ひえぇぇぇぇっ!」と情けない悲鳴を上げ、転がるようにして自陣の馬車へと逃げ出していった。
ルーシの豪商が皇帝の威光の前に屈服し、命からがら逃亡した。
……という、10万の兵士に向けた完璧なマッチポンプである。
カタリナは剣を鞘に納めると、動揺する10万の兵士たち、そして帝都の城壁に向かって、高らかに宣言する……はずだった。
「全ては殿下の御為にィ! 殿下の一番槍であるこのクリエムヒルト・ライデンシャフトがァ! 聖人君子の殿下に代わってェ! 下劣なルーシの悪徳貴族と下賤な売国奴ヨーゼフ・ハーゲンをォ! 地獄に落として進ぜよう――!」
影から飛び出した血走った目のクリエムヒルトが剣を抜き放った。想定通り。俺たちの交渉を目の当たりにしていた剛毅一徹の狂犬が、ただ指をくわえてこの茶番を見ているはずがないのだ。
大佐はまず、背を向けて走っている辺境伯の片足を切り落とした。そして、悲鳴を上げてうずくまった辺境伯を見て取ると、即座に馬車の中で様子を伺っていた俺をロックオンした。真紅の瞳が鬼火のように発光する。
俺は意気揚々と言い放った。できるだけ、クリエムヒルトの怒りを煽れるように。
「さあ、第2幕を始めようか! かかってこいよ大佐! 俺とお前、どっちの現実が正しいか決着をつけようじゃないか!」
慌てて馬車から飛び降りた俺は、盛大にずっこけ地面とキスするハメになった。足をもつれさせながらも、必死にあの狂人から距離を取るべく走り出す。わかっていても怖すぎるだろ!
俺の目的は単純明快。ここで大佐に裏切り者として処刑されることで、辺境伯と一緒に表舞台から降りること。
あの裏契約書の名義は全てフリードリヒ! 俺がいなくても効力は発動する! もうどこにも逃げられないかと思ったか? 残念! 俺は今日、このクソみたいな茶番からおさらばするんだ!
「こっちだハーゲン! 今貴様に死なれては敵わん!」
グレゴールが木陰から手招きをしてくる。一見、あちらは安全なように見える。しかし、これは罠だ。やつの手を取ったが最後、命は助かるかもしれないが一生帝国のためにこき使われるのは火を見るより明らかだ。だから無視して突っ走る!
しかし、この騒動で幾千の敵を屠ってきた大佐が俺を仕留めることなぞ児戯にも等しい。死の予感を感じて咄嗟に身を伏せると、大佐の大剣が髪の毛をかすめた。
あの野郎、ぶん投げやがったな! しかし、やつは今丸腰! 俺は護身用のリボルバーを引き抜いて大佐に突きつけるも、一瞬でシリンダーごと握りつぶされてしまった。そんなのありかよォ!?
いつかの舞踏会のときと同じナイフを握って、大佐が俺に躍りかかった。すんでのところで凶刃を避け、ナイフを持った手をつかむ。しかし、大佐はその腕を振り回し、普通に刺すのではなく俺の身体ごと固定されたナイフに突き刺そうとしてきた。
「哀れだなクリエムヒルトォ! 妄想こじらせてとうとう殿下の一番の忠臣である俺に牙を剥くとは!」
「黙れ逆賊がッ! よくも、よくも私を騙し、殿下の御心を誑かしおったな! 貴様だけは、例え相討ちになってでも殺してやるッ!」
ぎゃああああああやばいマジで死ぬうううううう!?
クリエムヒルトのナイフが俺の頬をかすり、鮮血が溢れ出る。ちょっと俺一人じゃやばいかも! 誰か助けろよ! 総司令官が大佐に襲われているんだぞ! どっちが逆賊かなんて一目瞭然だろうが!
しかし、周囲の兵士たちは止めることができないようだった。下手に手を出したやつから殺されかねない剣幕だ。
なんで兵士が束になってもビビっているようなやつと、文官の俺が戦わなきゃいけねえんだよ! でもやるしかねえ! 全てはこの先の隠居計画のために! ここまで胃痛に耐え、丹念に組み上げてきた最後の舞台を、いつもみたいに暴力でぶち壊されてたまるものか!
「勝負だクリエムヒルトォ! ナイフを捨てろ! 最後は素手で殴り合おうか! 立ってた方が勝ちな!」
「上等だ軟弱者! 一撃でその意識、刈り取ってくれるわ!」
俺が放ったヤケクソの右ストレートは、大佐の鋼のような手のひらに容易く受け止められてしまった。そのままギリギリと骨が軋む音を立てて拳を握り潰され、空いた大佐の左拳が、俺の顔面めがけて致死量の風圧とともに迫り――
「――やめろ、クリエムヒルト」
カタリナの一声と、背筋が凍るような絶対的な覇気が周囲に迸った。
俺の顔面を粉砕せんとしていた大佐の拳が、鼻先数ミリのところでピタリと止まる。畜生、やはり止めてきたか、カタリナァ!
「……っ! し、しかし殿下! こやつは殿下の御名を騙り、帝国を金で売り渡そうとした大逆人ですぞ!」
「知っているよ。だから何だと言うんだい?」
カタリナの冷たすぎる声に、大佐が息を呑む。
「ヨーゼフは、ボクの所有物だ。ボクの最高の頭脳である彼が、あんな小悪党の商人ごときに本気で尻尾を振ったとでも思っているのかい?」
静かだが、一切の反論を許さない絶対者の響き。
その威厳溢れる顔を見上げた瞬間、大佐の顔からスッと血の気が引いた。彼女の真紅の瞳が揺れ、やがて最も狂信的で、最も滑稽な解釈へと辿り着く。
「……あ、ああ……! 私としたことが、なんという浅はかな……!」
大佐は俺の手を放し、その場に崩れ落ちるように平伏した。
「あの不届きな商人を炙り出すため……ヨーゼフは自ら泥を被り、あえて契約を呑む囮をしておられたというのですね! 殿下の神の如き深遠なる御心をつゆ知らず、勝手に忠臣に刃を向けた私の愚かさ……! どうかお許しください!」
そんな戯れ言信じるバカがどこにいるんだ? だが、この狂犬と民衆の頭の中では、あえて悪役になったヨーゼフとそれを把握していたカタリナというストーリーが完成してしまったらしい。辺りを熱狂が席巻した。つくづく幸せな頭をしてやがる。
しかし、そう思ったのは俺だけではないようだった。叔父上……ヴァルデマールが城壁の上から喚き立てた。
『わ、訳がわからぬ……! 帝国の民とはこれほどまでに愚かだったのか……!? なぜそのような痴れ者の妄言を信じるのだ……!』
逃亡の最後の希望は絶たれた。もう疲れた。後は野となれ山となれだ。それならばせめて、諸悪の根源であるこいつには文句をいわなければ我慢ならない。俺はメガホンをひったくると叫んだ。
「ああそうだな! 全くもって同意する! 揃いもそろってバカばっかりだ!」
『なんだと!? ではなぜこのような暴挙を企てたのだ!?』
皇帝が驚愕の言葉を漏らし、カタリナが目を丸くした。しかし、もう俺の舌は止まらない。流れるようにこれまでの鬱憤をぶちまけていく。
「あのなあヴァルデマール! 元はといえば全部てめえの自業自得だ! 俺が初めから欲しかったのは玉座なんざじゃなくて、ただ年金付きの自由で平穏な生活を送りたかっただけなんだよ! それをてめえのしょうもない陰謀で潰しやがって!」
『そ、そのことは謝罪しよう。し、しかしここまでする必要はないであろう? 貴様は今や、国を混乱に陥れた大罪人であるぞ!』
「俺もここまでするつもりじゃなかったから! 周りの連中はいっつもいっつも自分勝手に妄想を爆発させて拡大解釈しやがる! 動機なんか困ってるガキと俺の利害がたまたま一致したってだけだわ! そのガキがちょっとばかしアホどもに好かれやすかったってだけでこのざまだ! 本当はこんなふざけた皇太子も何もかもほっぽり出して逃げてえよ!」
『そ、そうだハーゲン。それならば余が貴様に何でも与えよう。余の別荘で一生、酒池肉林に耽りたくはないか?』
「ちょっと魅力的……いやいや、そんな古典的な娯楽なんかいらねえんだわバーカ! 俺は正義を振りかざすこのカスどもが大嫌いだ! でもな、うちの殿下は少なくともお前よりマシなんだわ! だからお前、俺のために死んでくれよ!」
再び湧き上がる大歓声。もうなんでとか野暮なことは聞かない。そういう生き物なんだよ、こいつらって。もう俺が何いっても都合良く解釈するフェーズに入っちゃったんだ。
『交渉決裂か……ああ、嘆かわしい』
諦めたように片手を振るヴァルデマール。しかし、俺はそこで見てしまった。カタリナの遙か背後、林の中で冷たく光る鉄の筒を。彼女に迫り来る凶弾を。
辺境伯と交渉したあの時と同じだ。ヴァルデマール、最後の最後まで卑怯な男。
クリエムヒルトは動き出している。しかし、距離が遠い。彼女じゃ間に合わない。今、カタリナの近くにいるのは俺しかいない。俺がこのまま傍観していれば、弾丸はカタリナに当たるかもしれない。
サファイアの瞳が俺を捉えた。いや、違う。この瞳は、最初からずっと俺しか捉えていなかった。彼女は俺の感情の揺らぎを捉えたのだ。
俺は自分のために何をすれば正解なのかを知っている。しかし、俺の魂のために何をすれば良いのかも、また知っていた。
鉛の球が俺の腹を食い破った。口から鮮血が溢れ出す。気がつけば俺は射線に飛び出して、カタリナを庇っていた。
「ぶはぁッ!」
「ヨーゼフ!? ヨーゼフ! なんで!? どうして……っ!」
倒れ伏す俺をカタリナが抱きかかえた。止めどなく流れでた涙は、紅潮した頬を伝って俺の顔へと落ちていく。俺は最後の力を振り絞って叫んだ。
「愚民ども! 最後まで暗殺を目論んだ卑劣漢ヴァルデマールを許すな! 俺が亡き後も必ずや殿下をお支えするのだ!」
口から血が溢れ出てむせてしまう。身体の震えが止まらない。血と涙が混ざり合う。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったカタリナの顔が、みるみるぼやけていく。
「だめだめだめ死んじゃやだ! ボクを置いてかないでよヨーゼフッ!」
「初めからこうなる運命だったのかもな……後はがんばれよ。愛してるぞカタ、リ……」
そこで、俺の意識は暗転した。
次に目を覚ましたとき、俺の目に飛び込んできたのは見慣れぬ豪奢な天蓋と、目の下に恐ろしい隈を作って俺の手を握り続けているカタリナの姿だった。
俺は結局、カタリナの必死の応急処置によって生き延びてしまった。総司令官の英雄的な身代わりに心を打たれた兵士と帝都の民は、怒り狂う軍神クリエムヒルトとともに宮殿に突入、卑劣帝ヴァルデマールを血祭りに上げたらしい。
彼は死に際「フリードリヒはあの日俺が殺したのだ! だからあれが本物のはずがないのだああああ!」と絶叫したという。誰も信じずに今では物笑いの種になっているが、俺はそれを聞いたとき寒気がした。真実がこれほどまでに脆かったとは……。全ての元凶だし、暗殺者や鎮圧軍で殺そうとしてきたものの、叔父上には少し同情する。
そして、戴冠式。
ステンドグラスから差し込む荘厳な光の中で、カタリナが帝冠を戴いた。
その神々しい姿に、居並ぶ諸侯も、彼女を狂信的に崇めるクリエムヒルトも、法悦の表情でひれ伏している。
当然そこにあの油狸、アレクセイ・スメルジャコフ辺境伯の姿はない。
彼はあの日、全軍の前でカタリナに剣を突きつけられ、命からがらルーシへ逃げ帰った「事」になっている。帝国兵たちは今も、「殿下があの強欲な商人を追い払ってくださった」と熱狂的に信じ込んでいた。……片足を切り落とされたから文字通り命がけではあったが。
しかし、やつは見事に帝国経済の支配権を握りしめて逃げおおせたのだった。
……よし、今だ。
俺は式典の喧騒に紛れ、音もなく広間を抜け出した。
懐には辺境伯から特別ボーナスとしてせしめた、一生遊んで暮らせるだけの金額が書かれた手形が入っている。
馬車は裏口に手配済みだ。このまま国境を越え、名前を変え、二度とこのふざけた歴史の表舞台には戻らない。
さようなら、偽物の皇帝。さようなら、狂った大佐。俺は平和な田舎で毎日消化にいいうまいものを食べて、胃を労わって暮らすんだ。
裏口の扉を開ける。そこには、1台の豪華な馬車はなく――
「どこへ行くつもりだ、ヨーゼフ」
漆黒の礼装に身を包んだクリエムヒルト・ライデンシャフトが、仁王立ちで立っていた。その瞳には先日の殴り合いの殺気はなく、逃亡を阻止せんとする鋼鉄の忠誠が宿っている。
「……大佐、いや、今は准将だったか。式典の最中だろう、なぜここにいる。まさか俺をまた殺しに来たのか?」
「貴様、まだそのような寝言を! 先日は私の浅はかな勘違いで無礼を働いたが、殿下の御心は疾うに承知している。……殿下からの仰せだ。『ヨーゼフはすぐに1人でどこかへ行きたがる癖があるから、逃げ出さぬよう片時も離さず見張っておけ』とな」
大佐は俺の首根っこを獲物を狙う鷹のような力強さでつかみ、死刑宣告を発した。
「貴様は今日この時から、新生帝国の『帝国宰相』だ。……殿下が仰せだ。『キミがいないと、ボクの帝国は1日で破産して、3日で崩壊してしまうよ』とな」
大佐の背後。戴冠式を終えたばかりのカタリナが、重い帝冠を放り投げ、スリの少女のような足取りで近づいてきた。
彼女は絶望に染まる俺の顔を覗き込み、あのぞっとするほど美しい、そして抗いようのない怪物の微笑みを浮かべ耳元で囁く。
「ああ、ヨーゼフ。命がけでボクを守ったヨーゼフ。大好きだよ。愛してる。もう絶対に離さないよ。だってボクの身も心も全部キミのものだし、キミの全てはボクのものなんだからね。でも安心して。もしもボクが偽物だとバレちゃったとしても、死ぬときは一緒だよ?」
カタリナの白魚のような指が服の中を泳ぐように入り込み、俺の腹に巻かれた包帯を優しく逃がさないように撫でる。
その隣では、大佐が「全くだ! 貴様のような見上げた忠義者を隠居などさせてたまるか! これから死ぬまで、私と共に殿下を支えるのだぞ、ヨーゼフ!」と、地の果てまで付きまとわんばかりの激励を飛ばしてくる。何が「全くだ!」だよ。絶対何一つ聞こえてなかっただろ!
ゆっくりと俺から離れたカタリナの手には、辺境伯から貰った手形が握られていた。スローライフの象徴が、小気味よい音を立てて真っ二つに裂かれていく。熱を帯びた瞳のカタリナが、まるでいたずら成功とでもいうかのように片目を閉じた。
「だからさ……こんなもの、もうキミには必要ないだろう?」
代わりに准将から手に捻じ込められた辞令を握りしめ、俺は天を仰いだ。
グレゴールが大量の書類が載った台車を押してくる。
辺境伯の借金取り立て、10万の軍勢の再編、占領地の統治、そしてこの最強の番人に監視されながらの執務。辺境伯の娘からの求婚もいずれくるだろう。
……あの日、ただの政治犯だった俺が吐いた小さな嘘が、自身の首を絞める永遠の鎖になってしまった。
「……は、ははは」
俺はもう一生手放せないであろう瓶から真っ白な錠剤を取り出した。
「誰でもいい……誰か、誰か俺と代わってくれ――!」
悲痛な叫びは、舌の上に乗った胃薬のように帝都の歓声に溶けていった。
――『帝国標準歴史教科書』187ページより抜粋――
帝国の動揺と偽帝時代
帝国歴451年、下級官吏であったヨーゼフ=ハーゲン(431~456)が、出自不明の少女カタリナ(?~456)を皇太子フリードリヒ(436~451)と偽って擁立し、大規模な反乱を起こした。軍部急進派やルーシの有力者と結んだハーゲンは、時の皇帝ヴァルデマール2世(398~451)を殺害し、自らは帝国宰相として実権を握った(偽フリードリヒ事件、またはハーゲンの乱)。
新政権は、ルーシとの関税協定締結による財政再建をはじめ、兵站システムの統制、救貧法の制定など急進的な内政改革を断行した。また、厳格な身分証明制度を導入して中央集権化を図った。
一方で、偽フリードリヒは反対派の粛清を繰り返し、政権は恐怖政治の様相を呈した。しかし治世5年目、皇帝の懐妊を契機として女性であることが露見すると、民衆の反乱が勃発した(ヴィントミューレ13日の革命)。政権は崩壊し、捕らえられたハーゲンとカタリナは、大砲によってルーシ方面へ射出されるという特異な極刑に処された(注1)。
(注1)遺体が確認されなかったため、腹心の将校とともに新大陸へ逃亡したとする生存説も流布した。この一連の政変は、のちに劇作家エヴァンジェリーナ=スメルジャコフ(435〜512)が著した戯曲『皇子カタリナ』の題材となり、「ライデンシャフト伝説」などの歴史的脚色を生んだ。
ということでこれにて『偽皇帝の脚本家』完結です! 最後まで読んでいただきありがとうございました!
久しぶりにスラスラ書けたのでとても楽しかったです! もう少しヨーゼフをいじめても良かったのですが、まあこれくらいで勘弁してやりましょう!
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ではでは、またどこかで!