テスト小説   作:暇人な大賀さん

4 / 4
後始末

俺はみんなを支えながら、入渠ドックに到着した。

(うわ……ここ、ゲームみたいに広大な風呂みたいなドックだ……みんな一斉に入るのかよ……金剛のデカパイが湯にプカプカ浮かんで湯気で透けるとか、比叡のムチムチ太ももが水滴で光るとか、雷のプニプニ幼フェチボディが湯に沈んで泡立つとか、曙のツンツンした表情で濡れた髪が張り付くとか……エロすぎてヤバい! マジで理性が吹っ飛ぶわ……こんな状況で勃起とか最悪だろ! いや、見るな! 絶対見るな! 変態心を全力で封印しろ、俺!)

艦娘たちに囲まれて、心臓がバクバクしっぱなし。みんなの傷が治っていく様子を見てるだけで、胸が熱くなる。でもこの光景、現実だぜ……このエロい湯煙と裸体みたいな光景、絶対に一生忘れねぇ。高校生の俺には刺激が強すぎるけど、それ以上に、みんなを救えてる実感が嬉しい。

近くの雷に相談した。

「雷……みんなを入渠させるには、どうすればいい?」

雷が少し無理をした明るい顔で、

「……ここに、みんな入るだけ……資源があれば、自動で……」

「わかった。みんな、入渠して。俺はちょっと、食堂に戻るよ。ご飯作って待ってるからな」

俺はそう指示を出して、みんなをドックに残し、先程の部屋から繋がる食堂に戻ってきた。

(食堂……ここで何か食べ物作れないかな。みんなお腹空いてるはずだぜ。腹減ってちゃ、傷も治りにくぃし、心も折れちまうだろ。俺が作って、みんなに笑顔を届けたい)

部屋を見回す。埃っぽくて、荒れ放題。棚は傾き、テーブルは傷だらけ。でも、まだ使える。

妖精さんがいるか確認したけど、

……いた。しかも、20人以上。

小さな妖精さんたちが、棚の上やテーブルにちょこちょこ集まってる。みんな元気いっぱいだ。

一人の妖精さんが、金剛っぽい元気な感じで近づいてきた。

「てーとく! おかえりなさいでーす! やっと来たっぽい!」

もう一人は、駆逐艦みたいな可愛らしい感じ。

「ごはん、つくるの? おてつだいするっぽい! わーい!」

天龍みたいな姉御肌。

「よし、みんなでやるぜ。てーとく、しきってくれよな」

睦月型っぽい幼い感じの。

「にぎにぎ、おにぎりつくりたいなー! 丸く丸く〜」

などなど、20人の妖精さんたちが、それぞれ艦娘の特徴を反映した口調で、わちゃわちゃ集まってくる。まるで本物の艦娘たちみたいに賑やかで、俺の心が少し和む。

だから…俺は笑って、

「みんな、手伝ってくれる? 食材、神様に頼むよ。今日はみんなで最高のご飯作ろうぜ!」

スマホを取り出して、神様に電話をかけた。

「おーい、坊主、どうしたんじゃよ?」

神様の声がすぐに出た。

「神様、ちょっと頼みがあるんだけど……食材、支援してくれない? みんなにご飯作ってあげたいんだ。腹ペコで傷も治りにくいし、心も元気にしてやりてぇ」

「ほうほう、食材じゃよのう。ふむふむ、わしの支援でできるだけやっちゃろうわい。どんなもんが欲しいんじゃよ?」

「えっと……基本的なもの。米、野菜、肉、調味料とか……たくさん! あと、みんなが喜ぶようなおかずも!」

「よしよし、わかったぞい! 今から送ってやるわい! 腹いっぱい食わせてやれよ」

スマホが光って、通知が来た。

【食材セット × 1 支援完了】

【米 × 100kg】

【野菜詰め合わせ × 50】

【肉類 × 30kg】

【調味料一式 × 1】

【その他厨房用品 × 1】

(すげぇ……これで料理できるぜ! マジ神様、最高! みんな喜ぶ顔が見たい)

「ありがとう、神様! あ、あと……あのクズ提督の後始末、どうしようかと思って……頼めない?」

「ふむ、クズ提督じゃのう。わしが、憲兵呼んでやるよ。海軍に引き渡して、きちんと始末させてやるんじゃよ」

「マジで? 助かるよ、神様」

「まかせておけよ。もうすぐ行くからな」

電話が切れた後、すぐにドアの外から音がした。

バタバタと、憲兵の集団が入ってきた。

厳しい顔の男たちが、クズ提督を縄で縛って、引きずり出していく。

「この男、海軍本部に引き渡します。神様の指示通り、厳罰に処します」

俺は頷いて、見送った。

(これで、後腐れなしだ…! みんな安心して治せるぜ。もう誰も怖がらなくていい)

妖精さんたちが、わいわい言いながら食材を運び始める。

「てーとく、こっちきってー! 米研ぐよ!」

「おにぎり、にぎにぎー! 具は何入れる?」

「よしよし、みんなでやるか! 野菜切るぜ!」

俺はみんなと一緒に、料理を始めた。

簡単なおにぎりとおかず。みんなで手分けして、楽しく、真心込めて作る。妖精さんたちの小さな手が忙しく動き、笑い声が食堂に響く。俺も包丁を握って、みんなの分を丁寧に作った。

(これ食ったら、みんな笑顔になるかな……エロいボディも元気になって、ますますヤバくなるけど……いや、守るんだよ、俺! みんなの笑顔が一番だぜ)

入渠ドックの湯気が、ゆっくりと天井へ昇っていく。

あたしは目を閉じたまま、湯の中に体を預けていた。

傷口がじんわり熱い。けど、それは痛みじゃない。治っていく感覚だ。

ずっと慣れ親しんだ痛みが、少しずつ消えていく。それが逆に落ち着かなくて、あたしは小さく息を吐いた。

「……はぁ……」

隣では龍田が眠っている。呼吸はまだ浅い。顔色も悪いままだ。けど――生きてる。

それだけで十分だった。

あたしはそっと手を伸ばして、龍田の指先に触れた。温かい。ちゃんと温かい。それだけで胸の奥が少し軽くなる。

「……ったく」

思わず小さく笑いが漏れた。あんな形で助けられるなんて、思ってもみなかった。あの提督。

いや――新しい提督。

あいつ、何なんだ本当に。急に現れて、クズ野郎をぶっ飛ばして。資源出して。修理させて。飯まで用意してるらしい。意味が分からねぇ。普通の提督じゃねぇのは確かだ。

それに――

思い出す。あいつが刀を拾った時のこと。あたしの刀だ。折れてもいねぇ、まだ使える刀。

あたし自身がもう動けなかったのに、あいつはそれを拾った。「借りるね、天龍」あんな状況で、そんなこと言う奴がいるかよ。

普通は黙って使う。命かかってんだからな。でもあいつは違った。ちゃんと許可を取った。あたしを「物」としてじゃなく、ちゃんと「艦娘」として扱った。

……あのクズとは、真逆だ。あいつは、俺たちを「兵器」じゃなく「仲間」として見てくれた。それが、胸に刺さる。

湯気の向こうで、駆逐艦の連中が話してる声が聞こえる。

「助かったね……」

「うん……」

「もう叩かれないよね……?」

小さい声だ。怯えた声だ。でも――少しだけ明るい。

あいつら、ずっと一緒だったからな。殴られるのも。罰受けるのも。泣くのも。全部一緒だった。だから今も、固まってる。それが少し安心なんだろう。

反対側では戦艦連中が静かに話している。声は聞こえない。けど分かる。多分まだ疑ってる。無理もねぇ。

今まで何人も提督が来た。優しいこと言って、すぐ消えた。中には、途中からクズに変わった奴もいた。だから信じられない。それが普通だ。

あたしだって――最初は疑った。今も少し疑ってる。あんな都合のいい奴がいるわけねぇってな。

でもよ。助けられたのは事実だ。龍田も生きてる。みんなも治ってる。それは現実だ。

湯の中で拳を握る。力が戻ってきてる。指がちゃんと動く。腕も上がる。

さっきまで死にかけてたのが嘘みてぇだ。

「……すげぇな」

思わず呟いた。資源が潤沢ならここまで治るのか。

いや――違うな。資源だけじゃない。あいつは迷ってはいたな。でも逃げなかった。あの部屋で。

あたしらを見て。逃げなかった。それだけでも十分すげぇよ。

普通は無理だ。あんな光景見たらな。吐くか、逃げるか、固まるかだ。それこそあいつの仲間じゃねぇ限り…

でもあいつは飛び出した。叫んでた。怒ってた。本気で怒ってた。……あれは演技じゃねぇ。

分かる。

長く生きてりゃな。そういうのくらい分かる。

湯気の向こうで、第六駆逐隊のやつらが笑っている。小さな笑い声だ。

久しぶりに聞いた気がする。それだけで胸の奥が少し軽くなる。

あたしは天井を見上げた。

白い。ただの天井だ。でも――もう血はついてない。あの部屋の天井とは違う。静かだ。

悲鳴もない。鞭の音もない。足音に怯える必要もない。

「……終わったんだな」

口に出して、やっと実感した。長かった。本当に長かった。

あたしは目を閉じた。これからどうなるかは分からねぇ。あの提督が本物かどうかも分からねぇ。

でも――今はいい。今だけは信じてやる。

あいつはあたしらを助けた。それだけで十分だ。

龍田の手を軽く握る。

「……なぁ龍田」

返事はない。まだ眠ってる。でも構わねぇ。

「今度の提督はよ……」

少し考えて。少し笑って。小さく呟いた。

「……当たりかもな」

湯気が静かに揺れる。体が軽い。痛みはもうほとんどない。もうすぐ動ける。

そしたら――やることは決まってる。

あたしはゆっくり目を閉じた。

少し休んだら。ちゃんと礼を言わねぇとな。あたしらの提督に。

「……頑張るよ、提督さん」

今度ははっきりと口にした。誰に聞かせるわけでもなく。ただ静かに。でも確かに。

そう誓った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。