想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う― 作:berunarudo
想界石への付与は――
成功した。
広間に静寂が落ちる。
石の奥から、脈動のような振動が伝わってくる。
代償は大きい。
私の肉体。
それを完全に犠牲にした。
肉体はすでに崩れ、
想界石の中へと溶け込んでいる。
これにより。
私はもう他の存在に自身を付与することはできない。
解除すら不可能だろう。
だが。
それでいい。
なぜなら。
私は想界石そのものになった。
想界石。
古代より存在する石。
この世界を管理する石。
人類が歴史を刻むよりも前から、
静かにこの世界を見続けてきた存在。
この石こそが。
人類に式想という力を与えた。
想獣に対抗するため。
人類が滅びないために。
そして。
もう一つの役割。
想獣による被害を。
一般人から隠すこと。
世界の裏側。
その均衡を維持する装置。
つまり――
人類の守護者。
その石は今。
私のものだ。
想界石に触れる。
その瞬間。
膨大な情報が流れ込む。
理解した。
人類の記憶。
人類の身体。
それらすべてに。
アクセスできる。
まるで。
世界そのものに手を伸ばしているような感覚。
私の理想。
それを実現できる。
だが。
石のままでは不便だ。
動けない。
ならば。
分身を作ればいい。
想界石の一部を切り離す。
黒い光が石から剥がれ落ちる。
それが形を取り始める。
分身を作る。
そして。
私の肉体。
それも。
想界石によって再構築される。
骨。
筋肉。
皮膚。
すべてが石の力で再生する。
私は目を開く。
「……素晴らしい」
手を見る。
想力が流れている。
血液の代わりに、
力そのものが体を巡っている。
「さすがは」
「想界石製の肉体」
想力が。
空気のように分かる。
大気の流れ。
生命の気配。
この世界のすべてが見える。
私は理解した。
私は神になった。
両手を広げる。
「さあ」
微笑む。
「世界を作り替えよう」
その瞬間。
城が染まる。
黒く。
闇が広がる。
そして。
広がる。
街。
国。
大陸。
世界。
すべてが。
落葉松の力で覆われる。
見えない波が広がる。
世界中の人間。
その記憶。
書き換えられる。
偽りの記憶。
そして。
力。
式想。
それが与えられる。
人々の意識の奥底に、
新しい世界の常識が刻み込まれる。
今までの世界は。
影に沈む。
そして。
新しい世界。
偽りの世界に朝日が照らされる。
落葉松が笑う。
「ハッピーバースデー」
空を見る。
「新世界」
神が笑う。
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「……ここは」
目を開ける。
冷たい土の匂い。
鳥の声。
体を起こす。
「どこだ……」
思い出す。
俺は戦っていた。
落葉松と。
「そうだ」
立ち上がる。
「止めないと」
周囲を見る。
森。
大自然。
風が吹く。
木々が揺れる。
朝日が差し込む。
見覚えのない景色。
「……どこだここ」
頭が混乱する。
「確か」
思い出す。
「石に」
「吸い込まれて……」
その時。
声が聞こえる。
「お」
振り向く。
男が立っていた。
木にもたれながら、
こちらを見ている。
「起きたみたいだな」
笑う。
「坊主」
その声。
「……荒木さん?」
だが。
違う。
顔が。
若い。
男が不思議そうに見る。
「なんだその顔」
笑う。
「そんなに俺の顔がおかしいか?」
肩をすくめる。
「まあいい」
手を差し出す。
「まずは自己紹介だ」
ニヤリと笑う。
「俺の名前は」
「
「よろしくな」