想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う― 作:berunarudo
突然の出来事に、俺は戸惑っていた。
体から白い光が溢れている。
「なんで俺まで光ってるんだよ……」
思わずそう言うと、燈真は腕を組み、じっと俺を見つめた。
少し考え込んだあと、ゆっくり口を開く。
「この世界には王が必要だ」
一拍。
「だが、この世界に不測の事態が起きた時のために――」
「想界石は現世にも“予備”を用意している」
俺を指差す。
「想王の器だ」
「適性の高い人間に与えられる」
そして、言った。
「それがお前だったってことだ」
俺は自分の体を見下ろす。
白いオーラ。
静かに揺れている。
「……じゃあ」
思わず呟く。
「俺が今まで何気なく使ってたこの力って」
一拍。
「想王の力ってことかよ」
「そうだ」
燈真は迷いなく答えた。
「その力は、想王しか使えない」
俺は思わず笑った。
「なら問題解決じゃねえか」
「王になればいいんだろ?」
だが、燈真は首を横に振る。
「違う」
「お前の力は、あくまで“器”だ」
「王になる適性があるってだけだ」
俺は眉をひそめる。
「じゃあ、どうすれば王になれる?」
その問いに、燈真の表情が真剣になる。
「……分かっているのか」
「王になるってことは、この世界を管理するってことだ」
一歩近づく。
「お前は死んだ後も、王としてこの世界に縛られる」
その目は、試すようだった。
「それでもなるのか?」
俺は即答した。
「それがなんだ」
一歩踏み出す。
「約束を果たすためだ」
「それに――」
拳を握る。
「全部救えるなら、喜んで王になる」
燈真は黙った。
俺は続ける。
「それにあんただって」
「自分を犠牲にして世界を救ったんだろ?」
その言葉を聞いた燈真は、悔しそうに顔を歪めた。
そして、ふっと息を吐く。
「……分かった」
諦めたように言う。
「だが王になるのは簡単じゃない」
遠くの山を指差した。
「この世界ができた時から存在している神殿がある」
「そこで三つの試練を受ける必要がある」
「三つ?」
俺が聞くと、燈真は指を三本立てた。
「力」
「精神」
「仲間」
「どれも簡単な試練じゃねえ」
一拍。
「そもそもこの試練は想獣が行う」
「人間のお前には相当きつい」
燈真は、にやりと笑った。
「だから――」
「俺が鍛えてやる」
拳を握る。
「想王の力を使いこなせれば、試練も突破できるかもしれねえ」
そして俺を見る。
「覚悟はあるか?」
俺は笑った。
「もちろんだ」
その瞬間。
燈真も笑った。
その笑顔は――
驚くほど、荒木相馬に似ていた。
「よし」
燈真は肩を回す。
「まずはその白いオーラの仕組みを教えてやる」
「その力の名は――」
「純力《じゅんりょく》」
俺は首を傾げる。
「純力《じゅんりょく》?」
「純粋な力って意味だ」
燈真は説明を続けた。
「俺たちが使う想力は、魂の色が反映される」
「だが純力には色がない」
「すべてに適応する力だ」
一拍。
「相手の色に合わせればダメージを中和できる」
「逆に真逆の色にすれば弾き返す」
「使い手次第で、いくらでも化ける」
俺は白いオーラを見つめた。
「この力の強さは、感情で変わる」
燈真は続ける。
「怒りに飲まれれば、破壊の力になる」
「だが善良な心なら」
一拍。
「悪を退け、希望を与える力になる」
説明を終えると、燈真は首を鳴らした。
そして拳を握る。
「さて」
にやりと笑う。
「やろうか」
俺も拳を握った。
その瞬間。
燈真の足が動く。
拳かと思った。
だが次の瞬間――
回し蹴り。
俺は慌ててガードする。
だが。
「――っ!!」
衝撃。
凄まじい威力。
俺はそのまま吹き飛ばされた。
「この際だから教えてやる」
燈真が言う。
「俺の力は――不魂《ふこん》」
次の瞬間。
拳が飛んできた。
「魂が絶対に壊れない」
俺はなんとか回避する。
だが燈真の動きは止まらない。
「普通ならそれだけの能力だ」
そして――
拳を握る。
「だが俺は考えた」
その拳が、黄金に輝いた。
「魂の力を“纏う”方法をな」
燈真は笑う。
「絶対に壊れない魂を、拳に」
黄金の拳。
「歯食いしばれよ」
次の瞬間。
腹に拳が叩き込まれた。
「ガハァッ!」
今までで一番重い一撃。
さらに、弾き飛ばされる感覚。
俺は宙に吹き飛ばされた。
地面に膝をつく。
意識が飛びそうになる。
だが。
俺は耐えた。
「ほう」
燈真が笑う。
「俺の一撃を耐えたか」
「見込みあるじゃねえか」
「さすが相馬の弟子だな」
立ち上がろうとする。
だが。
無理だ。
顔は蒼白。
足は生まれたての小鹿みたいに震えている。
燈真は笑った。
「俺の拳はな」
「壊れないバリアみたいなもんだ」
「殴られたら押し出される」
一拍。
「普通は一撃で気絶する」
そして俺を見る。
「よく耐えたな」
俺は立てない。
だが。
燈真は親指を立てた。
「安心しろ」
「ここで過ごした時間は現世とズレてる」
にやりと笑う。
「お前が最強の王になれるように」
拳を鳴らす。
「特訓祭りだ」
燈真は、ものすごく楽しそうだった。