想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―   作:berunarudo

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第103話 巡り合う「想い」

 そして――

 

 長い、長い修行が始まった。

 

「お前はまだ純力《じゅんりょく》を使いこなせていない」

 

 燈真はそう言った。

 

「そのためにはまず、自分と向き合う必要がある」

 

 一拍。

 

「自分とは何なのか」

 

「なぜ戦うのか」

 

「自分を理解することは、力を鍛えることにも繋がる」

 

 そうして、俺の修行は始まった。

 

 座禅を組む。

 

 山の中で一人、体を鍛える。

 

 戦う。

 

 考える。

 

 また戦う。

 

 長い時間を過ごすうちに――

 

 少しずつ、自分が見えてきた。

 

 俺は思い出す。

 

 中学の頃のことだ。

 

 親友がいた。

 

 あいつは悩みを抱えていた。

 

 だが、俺はそれを重く受け止めていなかった。

 

 大丈夫だろう。

 

 その程度に思っていた。

 

 ――だが。

 

 あいつは耐えきれなかった。

 

 自殺しようとした。

 

 俺は最後のメッセージを見て、急いで向かった。

 

 間に合うと思った。

 

 だが。

 

 遅かった。

 

 俺の目の前で――

 

 あいつはビルから落ちていった。

 

 それからだ。

 

 何度も思った。

 

 次は、手を届かせる。

 

 もう「間に合わなかった」なんてことは起こさない。

 

 だから動き続けてきた。

 

 そして。

 

 式想を手にしたことで――

 

 少しずつ届くようになってきた。

 

 それでも。

 

 今回、落葉松には届かなかった。

 

 俺は拳を握る。

 

 次は――

 

 絶対に届かせる。

 

 その瞬間だった。

 

 全身から純力が溢れ出す。

 

 白いオーラが体を包んだ。

 

 自分を理解したとき。

 

 初めて――

 

 この力の輪郭が掴めた。

 

「どうやら理解できたようだな」

 

 燈真が俺の頭を軽く撫でる。

 

「なら次は想いだ」

 

「その想いこそが、お前を強くする」

 

 一拍。

 

「必死に思い続けろ」

 

 俺は頷いた。

 

 そしてまた修行が始まる。

 

 来る日も来る日も。

 

 俺は自分の想いと向き合った。

 

 その間、何度も燈真に挑んだ。

 

 だが――

 

 一撃も入らない。

 

 燈真の力は、圧倒的だった。

 

 何度戦っても。

 

 何度挑んでも。

 

 届かない。

 

 それでも、戦い続けた。

 

 燈真はいろんな話をしてくれた。

 

 相馬のこと。

 

 愛華のかわいいところ。

 

 今まで戦ってきた敵。

 

 自分の人生。

 

 俺も語った。

 

 自分のことを。

 

 そうして話しているうちに――

 

 俺と燈真の想いは、少しずつ繋がっていった。

 

 そして。

 

 ある日。

 

 ついに――

 

 俺は燈真の力を破った。

 

 案外あっけなかった。

 

 燈真は笑う。

 

「いいじゃねえか」

 

「これで試練も落葉松も」

 

 拳を鳴らす。

 

「全部殴り飛ばせる」

 

 俺の力は、ここに来た時とは比べものにならないほど成長していた。

 

 燈真の戦闘技術。

 

 知識。

 

 すべてを叩き込まれた。

 

 そして――

 

 俺たちは神殿を目指して旅に出た。

 

 様々な場所を巡った。

 

 マグマが噴き出す巨大な火山。

 

 そこにはドラゴンのような想獣がいた。

 

 その攻撃で服が燃えかけたこともある。

 

 大海を自作の船で渡ったこともあった。

 

 クラーケンのような想獣に襲われ、遭難しかけたこともある。

 

 そして――

 

 ついに辿り着いた。

 

 世界の果て。

 

 そこに、神殿はあった。

 

 俺は思わず息を呑む。

 

 御生万も十分神秘的だった。

 

 だが。

 

 それ以上だ。

 

 神殿は、世界の果てで静かに佇んでいた。

 

「大地」

 

 燈真が言う。

 

「ここから先は俺はいけない」

 

 一拍。

 

「試練は一人で乗り越えなければならない」

 

 燈真は拳を突き出した。

 

「俺はお前を信じている」

 

 俺も拳を出す。

 

 二つの拳がぶつかる。

 

「乗り越えてみせる」

 

 そう言って、俺は神殿に入った。

 

 その瞬間。

 

 声が響く。

 

「汝が、この世界の王になろうとする者か」

 

「そうだ」

 

 俺は答えた。

 

「ならば――」

 

「三つの試練を乗り越え」

 

「その想いをここに示せ」

 

 重い音が響く。

 

 長い年月、開かれることのなかった門。

 

 それが、ゆっくりと動き始めた。

 

 神殿に響く、重い音。

 

 そして。

 

 門が完全に開く。

 

 俺は中へ進んだ。

 

 そこにいたのは――

 

 一体の想獣。

 

 老いた獅子だった。

 

「おぬしが王にならんとする者か」

 

「そうだ」

 

 獅子は静かに言う。

 

「我はこの世界の前王」

 

「ガイア」

 

 一拍。

 

「我を倒すこと」

 

「それが力の試練だ」

 

 なるほど。

 

 王になるには、前王を倒せ。

 

 理にかなっている。

 

 俺は拳を握った。

 

 ガイアと向かい合う。

 

 だが。

 

 その目は――

 

 どこか悲しげだった。

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