想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―   作:berunarudo

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第138話 書き紡がれていく「想い」

 あれから、世界は元に戻った。

 

 落葉松が無茶苦茶にした東京も。

 巻き込まれた人々の暮らしも。

 崩れた街も、壊れた日常も。

 

 俺は、自分の力と想界石の力を使って、世界を元の形へ戻した。

 

 ……いや、正確には。

 

 戻せるものだけを、戻した。

 

 戻らないものもある。

 

 その一つが、人々に一度刻まれた式想だった。

 

 あれはもう消えない。

 この先、いつかまた大きな問題になるかもしれない。

 

 でも――

 

「その時は、またみんなでどうにかするだけだ」

 

 俺がそう言うと、隣を歩く号が短く答えた。

 

「……そうだな」

 

 それだけで十分だった。

 

 俺たちは、あの戦いを越えてきた。

 なら次だって、きっと越えられる。

 

 日常は戻った。

 

 朝、一緒に登校して。

 授業を受けて。

 委員会の仕事をして。

 困っているやつがいれば手を貸して。

 

 案外、日常ってやつは忙しい。

 

 でも、そんな毎日が俺は好きだった。

 

 特別じゃない時間。

 誰かが笑っていて、誰かが明日の話をしているだけの時間。

 

 それが、どれだけ大事なものだったのか。

 今の俺にはよく分かる。

 

 もしかしたら俺も――

 

 もう、とっくに理想の一つを手にしていたのかもしれない。

 

 想界にも、変化があった。

 

 前のような荒れた空気は消え、少しずつ平穏が戻っているらしい。

 

 あの二人がいるなら、大丈夫だろう。

 

 そう思えるだけの安心があった。

 

 そして、想獣にも変化が生まれ始めていた。

 

 人を襲うだけじゃない。

 人のために動こうとする想獣も現れ始めたのだ。

 

 最近では、人間のことが大好きな犬の想獣が現れて、みんなで可愛がったりもした。

 

 ……まあ、もちろん。

 

 全部が全部、丸く収まったわけじゃない。

 

 想獣の中には、まだ悪さをするやつもいる。

 あの獅子や杖の想獣も、どこかへ逃げ延びたらしい。

 

 だから、戦いはきっとこれからも続く。

 

 いろんなやつが、この世界にはいる。

 

 現世にも。

 想界にも。

 

 苦しんでるやつ。

 迷ってるやつ。

 間違えるやつ。

 それでも、前に進もうとするやつ。

 

 だから俺は思う。

 

 みんなが一度くらい、チャンスを掴める世界であってほしいと。

 

 誰かが最初から諦めなくていい世界であってほしいと。

 

 そのために、俺は今日も拳を握る。

 

 守るために。

 届かせるために。

 誰かの明日を、少しでもマシにするために。

 

 ――138ページ

 

 

 遠く離れた場所。

 

 何もない大自然の中。

 

 青く澄んだ空。

 深い緑。

 遠くで流れる水の音。

 風が草原を揺らし、木々がざわめいている。

 

 そんな世界に、一人の男が立っていた。

 

 静かに。

 

 ただ静かに、世界を見渡している。

 

 彼はもう理解していた。

 

 自分こそが、王であると。

 

 背負うべきものを。

 見つめるべき世界を。

 

 ――150ページ

 

 この物語は、まだまだ書き紡がれていく。

 

 それが戦記だ。

 

 だが――

 

 ここまでが、想想戦記の138ページ。

 一人の王が生まれるまでの物語は、ここで終わる。

 

 そして、王として生まれた者の物語は――150ページ目に記される。




あとがき
ここまで見てくださった方、ここだけ見た方、どちらも読んでくださり、ありがとうございました。
この物語は私が、なかなか書く勇気が出ずに想い描くだけだった物語です。
ですが、想いは伝えてこそようやく始まる。
そう想い、私は書き始めました。
未熟な私ですが、これからも想い付いたことがあれば書いていきたいと思っています。
改めて皆様読んでくださりありがとうございました。
続編の予定は未定です
ですが、もしかしたら新たな作品が描かれるかもしれません
その時はまた、お楽しみください!

皆さんも一緒に想いはできるだけ伝えていきましょう!
何かが動くかもしれませんからね

またね!
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