想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―   作:berunarudo

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第72話 不思議な「想い」

 国重の修行は、

 これまでとは明らかに違っていた。

 

「二人一組になれ」

 

 それだけだ。

 

 翔は迷いなく瑠偉の方へ行き、

 烈と号も自然に並ぶ。

 

 俺が一人になる。

 

 その時だった。

 

「私と組まないかい、大地君」

 

 振り返る。

 

 そこにいたのは――

 楽座落葉松《らくざからまつ》だった。

 

「……なんで、俺なんだ」

 

「それに、あんた今まで修行にいなかっただろ」

 

「そうだね」

 

 落葉松は、あっさり頷く。

 

「私は基本、外に出られないから」

 

「だから、ここだけ参加するんだ」

 

 そういう問題か。

 

「烈は弟君と仲が良すぎてね」

 

「邪魔するのも悪いだろ?」

 

「それに――」

 

 一瞬、目が合う。

 

「君に興味があってね」

 

 胸の奥が、ざわつく。

 

「……わかった」

 

「俺でよければ、組もう」

 

「助かるよ」

 

 落葉松は笑った。

 

「友達が少なくてね」

 

「断られたら、困るところだった」

 

 国重が声を上げる。

 

「よし、組んだな」

 

「修行内容は、迷宮攻略だ」

 

 次の瞬間。

 

 床が、消えた。

 

「うわ――!」

 

 落下。

 

 反射的に目を閉じる。

 

 だが。

 

 衝撃は、なかった。

 

「びっくりしたね」

 

 横を見ると、落葉松が立っていた。

 

「ここは……結界内か?」

 

「正解」

 

「父の結界術は、歴代でも上位だからね」

 

「それでも、ここまでできるのか……」

 

「闘技場の再調査で見つけた技術の一部さ」

 

 あの結界に、そんな機能が。

 

「さあ、進もう」

 

 迷いがない。

 

 俺も、頷いて歩き出す。

 

「いやあ、闘技場では大変だったね」

 

「私は構造調査で手一杯だったけど」

 

「あんた、結界に詳しいんだな」

 

「詳しいどころか、専門だよ」

 

「君たちが使う転移門も、私が作った」

 

「……あれ、俺使ってない」

 

 事情を話すと。

 

「ぷはははは!」

 

 落葉松が吹き出した。

 

「そんな状況だったとは」

 

「笑うなよ、知らなかったんだ」

 

「ごめんごめん」

 

 軽い。

 

 だが。

 

「――ストップ」

 

 落葉松が、俺を止めた。

 

「ここから先、落とし穴だ」

 

「……分かるのか?」

 

「地面の気配が違う」

 

 集中すると、

 確かに違和感があった。

 

「よく分かるな」

 

「能力の都合さ」

 

「都合?」

 

「私の式想は、附与」

 

「常に“付与できるか”を見ている」

 

「だから、違和感に気づきやすい」

 

「便利だな」

 

「君の拳も、十分異常だよ」

 

 そう言って、笑う。

 

 扉が現れた。

 

 開けると――

 想獣が、二体。

 

 俺は拳を握り、

 落葉松は刀を抜く。

 

「やろうか」

 

「おう」

 

 俺は大型へ。

 落葉松は小型へ。

 

 回避。

 打撃。

 

 距離を取って。

 

「フィストブラスト!」

 

 貫く。

 

 だが――

 再生する。

 

「再生持ちか!」

 

「了解」

 

 落葉松が結界を展開。

 

 指を鳴らす。

 

 火が、付与される。

 

 燃える。

 

 それでも、再生。

 

「……だめだな」

 

 結界を解除。

 

 俺たちは、背中を合わせた。

 

「どうなってる」

 

「分からないが」

 

「父も言っていた」

 

「連携が、肝だろう」

 

「――同時撃破は?」

 

「いいね」

 

 笑った。

 

 息を合わせる。

 

「フィストアッパー!」

 

 拳で貫かず、

 叩き飛ばす。

 

 小型の方へ。

 

 その瞬間。

 

 落葉松が、二体を包む結界を張る。

 

 勢いのまま、

 操作。

 

 ――着弾直前。

 

 結界解除。

 

 同時。

 

 二体が、消えた。

 

 扉が、開く。

 

「……やったな」

 

「うん」

 

 自然に、ハイタッチ。

 

「いい連携だった」

 

「だな」

 

 俺たちは、

 また奥へと進んでいく。

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