想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―   作:berunarudo

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第82話 語り明かす「想い」

ジョンの式神が、いきなり踏み込んだ。

 

「――おらよ」

 

拳が来る。

 

反射で受け止める。

 

重い。

 

腕が軋む。

 

「ぐっ……!」

 

後ずさる。

 

止まらない。

 

二撃、三撃。

 

拳の連打。

 

速いだけじゃない。

一発一発が重い。

 

なめるなよ。

 

「フィストガン!」

 

顔面へ放つ。

 

直撃。

 

だが――

 

「いい一撃だぜ」

 

嬉しそうに笑う。

 

勢いは、落ちない。

 

(……強い)

 

式神なのに。

 

いや、式神“だから”か。

 

動きが洗練されている。

 

まるで、吉沢さんみたいな武術。

 

攻めづらい。

 

だが。

 

こっちも修行した後だ。

 

ただやられるわけにはいかない。

 

白いオーラを纏う。

 

踏み込む。

 

殴り合う。

 

「かはっ……なんだその力」

 

式神が笑う。

 

面白れぇ、と。

 

拳を腹に近づける。

 

想力を一点に。

 

解放。

 

「フィストバースト!」

 

白い閃光。

 

衝撃。

 

爆ぜる。

 

俺も、反動で吹き飛ぶ。

 

床に転がる。

 

息が詰まる。

 

どうだ――

 

視線を上げる。

 

腹に穴が空いた式神が、立っていた。

 

「はははは!」

 

笑っている。

 

やべ。

 

やりすぎた。

 

一瞬、背筋が冷える。

 

「安心しろよ」

 

体が、修復していく。

 

「俺は式神だ。本体が壊れなきゃ、すぐ戻る」

 

穴が塞がる。

 

(……やっぱり強い)

 

式神が、にやりと笑う。

 

「ここいらで、俺も見せてやるか」

 

ジョンの持つリボルバーへと戻ろうとする。

 

一方。

 

号は、ジョンと打ち合っていた。

 

近接は苦手。

 

そう踏んで、距離を詰めた。

 

それが誤算だった。

 

なんて武術だ。

 

想力の流れが読めない。

 

普通なら、わずかな揺らぎで予測できる。

 

だが――

 

滑らかすぎる。

 

洗練されすぎている。

 

刀で攻めきれない。

 

その時。

 

「そろそろだ」

 

ジョンが、小さく呟いた。

 

次の瞬間。

 

拳が当たる。

 

――爆発。

 

さっきの倍以上の威力。

 

「ぐぁあ!」

 

吹き飛ぶ。

 

防御に全力で想力を回して、なんとか耐える。

 

(今のは……能力か?)

 

思考が追いつく前に。

 

銃声。

 

弾丸。

 

弾こうとする。

 

重い。

 

受け切れない。

 

号の身体が、俺の方へ飛んできた。

 

「号!」

 

駆け寄る。

 

「ああ……なんとかな」

 

息は荒いが、立てる。

 

「だが、あいつ……くそ強いぞ」

 

「みたいだな」

 

号がここまでやられる。

 

式神も強い。

 

ジョンも強い。

 

二人で一人、みたいな圧だ。

 

ジョンのリボルバーに、式神が入り込む。

 

銃から声が響く。

 

「弟弟子にプレゼントだ。死ぬ気で耐えろよ」

 

空気が張りつめる。

 

その瞬間。

 

「馬鹿ども!」

 

荒木さんの怒号。

 

「誰が殺し合えって言った!」

 

次の瞬間、ジョンの頭に拳が落ちる。

 

ごん。

 

鈍い音。

 

ジョンが座り込む。

 

めちゃくちゃ痛そうだ。

 

荒木さんが、こちらに歩いてくる。

 

「どうだ。強さは分かっただろ」

 

にやり。

 

「どう考えても、お前らの負けだ」

 

嫌な予感。

 

「だから――お仕置きだ」

 

ごん。

 

頭に拳。

 

「ぎゃあああ!」

 

道場に悲鳴が響いた。

 

……一番痛かった。

 

その後。

 

改めて向き合う。

 

「つまり、あんたは銃の式神なのか?」

 

号が聞く。

 

「そうだ!」

 

胸を張る。

 

「俺はこの銃の式神、ビリー様だ!」

 

マッスルポーズ。

 

最後の攻撃は何だったのかと聞くと。

 

ビリーは鼻を鳴らす。

 

「俺もジョンとは別に能力を持ってる」

 

「だが使いづれぇ」

 

やっぱり、二つ持ち。

 

そりゃ強い。

 

「ジョンの力、すごかっただろ?」

 

号が頷く。

 

「突然、威力が跳ね上がった」

 

ビリーが笑う。

 

「幸運だ」

 

「幸運?」

 

「相手と自分に、威力が上がる“チャンス”を与える」

 

「やり方次第じゃ、連発できる」

 

ゲーマーだろ、と。

 

へへへ、と笑う。

 

(……ギャンブル能力か)

 

自分にも跳ね返る。

 

危うい。

 

だが、面白い。

 

「俺もゲームはやるぞ」

 

何気なく言った。

 

「最近はFPSとか」

 

ジョンが、勢いよく顔を上げる。

 

「君もやるのか!?」

 

今までで一番大きな声。

 

「お、おう。そこそこだけど」

 

そこから。

 

流暢なゲーム談義が始まった。

 

ビリーが横で呆れるように呟く。

 

「……こりゃあ三時間コースだな~」

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