想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う― 作:berunarudo
「くそ……強すぎる……!」
低等級の想界師たちが、床に転がる。
血。
割れた床。
息が荒い。
俺たちの役目は――
敵の能力を引き出すこと。
金等級の人たちに、情報を渡すこと。
分かっている。
分かっているのに。
何もできない。
「もう……無理なのか……」
視界が揺れる。
いや。
ダメだ。
ここで折れたら、あの人たちに顔向けできない。
俺の命と引き換えでもいい。
能力を暴いてやる。
「うおおおお!」
突っ込む。
目の前の女――テンポ。
「無駄なのよ、あなたたちなんて」
蹴り。
肺の空気が抜ける。
視界が白く弾ける。
床に叩きつけられる。
(ここで、終わるのか……)
影が覆いかぶさる。
とどめ。
その瞬間。
カーン、と金属音。
「ようやくお出ましね」
女の声。
「すまんな」
落ち着いた関西弁。
「部下ボコボコにされて、黙ってるのはできひんかった」
目を開ける。
そこに立っていたのは――
金等級、盤条司《ばんじょうつかさ》。
「まだ……ダメです」
必死に言葉を吐く。
「能力の全貌……明かせてません……」
司は一瞬、こちらを見る。
それから、笑った。
「それくらい問題ないわ」
目が細くなる。
「それよりな」
「ワイは君らをこんな無残にしたことが、許されへんねん」
振り向く。
「さあ戻り」
「ここはワイらの仕事や」
視界が揺れる。
転移。
医療室へ。
涙が、止まらなかった。
― 楽座家チーム―
司が手を鳴らす。
ぱん、と乾いた音。
「どっちから死にたいん?」
ディレイが笑う。
「俺たちの愛を邪魔する奴は皆殺しだ」
「そうかいな」
司の視線が鋭くなる。
「ほな地獄で愛し合ってくれや」
空気が歪む。
その横。
「司~、こっちは私が持とう」
落葉松が歩み出る。
テンポが笑う。
「ごめんなさい。私には夫がいるの」
「安心してくれ」
落葉松は穏やかに返す。
「君に興味はない」
一瞬、冷たい目。
「だが、仕事でね」
「彼の邪魔はさせないよ」
テンポと、落葉松が対峙する。
― 鳴海家チーム ―
「悪いな、お前ら」
低い声。
烈と号が降り立つ。
「こいつらの能力は、判明している」
「ここからは俺たちのターンだ」
想界師たちが転移する。
空間が静かになる。
「久しぶりだな」
烈が牙を剥く。
クラッシュが笑う。
「あの時の狼か。楽しめそうだ」
「借りを返しに来たぞ、ミュート」
号が刀を抜く。
「それはどうかな」
線が走る。
空間が裂ける。
兄弟対決、再び。
― 荒木チーム ―
「待て、大地」
ビリーが低く言う。
「まだだ」
「でも……みんなボロボロだぞ!」
拳が震える。
「今出たら、あいつらの命懸けが無駄になる」
ぐっと奥歯を噛む。
悔しい。
悔しい。
その時。
「ちっ、うざい連中だ」
スケールが指を鳴らす。
世界が、決まる。
七秒。
想界師たちの身体が、勝手に動く。
スケールの元へ歩いていく。
「やめろ……!」
コードが鎖を振る。
処刑。
その瞬間。
鎖を掴む手。
ビリー。
「能力、使ったな」
鎖を、力任せに投げ飛ばす。
想界師たちを転移。
「大地」
ビリーが睨む。
「俺とジョンで、あのスケールってやつをやる」
「お前は鎖の方だ」
俺は頷く。
「そのつもりだ」
コードが微笑む。
「なんとなんと……運命ですね」
「あの時の続きを」
「あの時みたいにはやられない」
拳を握る。
白いオーラが、立ち上る。
― 天舞家チーム ―
やめ――
ドン。
肉体が、破裂する。
「きゃははは!」
クレッシェが笑う。
「花火みたい!」
フォルテの瞳が光る。
感情が増幅する。
想界師たちが暴走。
味方を殴る。
刃が振り下ろされる。
笑い声が、広間を満たす。
「……限界だな」
低い声。
翔が降り立つ。
瑠偉。
花崎。
優華。
残りの想界師を転移。
「俺とお嬢様で、あの子を止める」
「そっちは任せるぞ」
瑠偉が剣を構える。
「もちろんよ、お兄ちゃん」
クレッシェが首を傾げる。
「なになに? 今度は何見せてくれるの?」
翔がギターを鳴らす。
弦が震える。
「最高の子守歌さ」
瑠偉が前に出る。
「私とこいつで、ぶっ飛ばす」
フォルテが微笑む。
「楽しみだわ」
戦場が、さらに割れた。
夜は、まだ終わらない。