想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―   作:berunarudo

88 / 138
第88話 辿り着く「想い」

荒木家チーム ―

 

俺は、攻めきれない。

 

殴れば、破片が刺さる。

 

フィストブラストは、吸収される。

 

「どうしました?」

 

コードが微笑む。

 

「あなたの想いは、その程度ですか?」

 

鎖が爆ぜる。

 

バースト。

 

加速。

 

拳。

 

ぐあっ――!

 

壁に叩きつけられる。

 

視界が揺れる。

 

(……立て)

 

なに諦めてるんだよ。

 

みんなと約束しただろ。

 

吉沢さんの仇も、まだだ。

 

ここで止まるわけにはいかない。

 

「ぐぉぉぉ……!」

 

血を吐きながら、立つ。

 

コードの目が愉快そうに細まる。

 

「そうこなくては」

 

俺は踏み込む。

 

殴る。

 

破片が刺さる。

 

想力が吸われる。

 

関係ない。

 

殴る。

 

殴る。

 

白いオーラが、燃える。

 

床が軋む。

 

大地が震える。

 

ついに――

 

鎖の再生が、追いつかない。

 

拳が、肉に届く。

 

コードがよろめく。

 

「……いい」

 

彼は笑う。

 

「その熱い想い」

 

「私はこれを感じるために、ここにいる」

 

鎖が軋む。

 

「この世はつまらない」

 

「言いたいことを隠し、生きる」

 

「社会のために、想いを殺す」

 

目が、狂気に染まる。

 

「その点、戦いは最高だ!」

 

「もっと……もっと!」

 

なら――

 

味わえ。

 

俺の想いを。

 

拳の甲を合わせる。

 

想力を圧縮。

 

「フィストブラスター!」

 

白い閃光。

 

鎖を、貫く。

 

ドーーン。

 

衝撃が部屋を揺らす。

 

鎖が砕ける。

 

コードが、後ろに倒れる。

 

「……実に、すばらしい想いでした」

 

「満腹です」

 

静かに、崩れる。

 

俺も、倒れる。

 

どん。

 

「くそ……やりすぎた……」

 

まだ。

 

二人は戦っている。

 

行かなきゃ。

 

だが、身体が動かない。

 

ちきしょう。

 

―――――――――――――――――――――

 

ジョンとビリーは、殴られ続けていた。

 

七秒。

 

どうしても抜け出せない。

 

スケールが笑う。

 

「なあ、お前ら」

 

「この世はつまらないと思わないか?」

 

「社会のために生き、社会のために死ぬ」

 

「お前らも同じだ」

 

拳を構える。

 

「俺のもとに来い」

 

「命は助けてやる」

 

ビリーが、血を吐きながら笑う。

 

「へへ……誰が行くかよ」

 

「強い奴は、どこでも強い」

 

「社会でも、組織でもな」

 

「弱い奴は、どこ行っても弱い」

 

「変わろうとしねえからな」

 

スケールの顔が歪む。

 

「所詮、歯車か」

 

「なら七秒で殺してやる」

 

ジョンが立つ。

 

「それは、こっちのセリフだ」

 

「相棒、やるぞ」

 

ビリーが銃に宿る。

 

「七音裁定」

 

世界が縛られる。

 

「トリガーは押せないさ」

 

スケールが嗤う。

 

その瞬間。

 

ジョンが叫ぶ。

 

「ようやく分かったよ、お前の弱点」

 

「裁定できる行動は」

 

「お前が“想像できる範囲”だけだ」

 

スケールの眉が動く。

 

「俺の銃はな」

 

「ビリーも押せるんだよ!」

 

引き金が動く。

 

ジョンの指ではない。

 

ビリーの想力が、トリガーを引く。

 

「俺様の必殺技――」

 

「反神弾(ゴッドキラー)!!」

 

七秒の外。

 

スケールの予測を、外れる。

 

銃弾が肩を抉る。

 

ぐぁああああ!

 

床に転がる。

 

ジョンも、崩れ落ちる。

 

「さすがに……想力切れだ……」

 

ビリーが笑う。

 

「勝ったな、相棒」

 

「へへ……ああ」

 

だが。

 

スケールが、立つ。

 

血を流しながら。

 

叫ぶ。

 

「このゴミどもが!」

 

「神までも、この俺を裏切るというのか!」

 

目が、開く。

 

「なら見せてやる」

 

「戯眼――」

 

空間が歪む。

 

「神律裁界(しんりつさいかい)」

 

世界が、塗り替わる。

 

巨大な時計。

 

空に浮かぶ。

 

床が、巨大な譜面に変わる。

 

秒針が、鳴る。

 

カチ、カチ。

 

スケールが笑う。

 

「この世界は」

 

「俺がすべて決める」

 

ジョンが息を呑む。

 

「まずい……」

 

「開眼に対抗する力までは残っていない……!」

 

その時。

 

空気が、変わる。

 

影が落ちる。

 

一人の男が、降り立つ。

 

「真打登場」

 

低い声。

 

「よくやったな」

 

「そこで倒れてる大地を持って下がれ」

 

視線が、スケールに向く。

 

「ここからは――俺の幕だ」

 

荒木相馬 現着

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。