想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う― 作:berunarudo
荒木家チーム ―
俺は、攻めきれない。
殴れば、破片が刺さる。
フィストブラストは、吸収される。
「どうしました?」
コードが微笑む。
「あなたの想いは、その程度ですか?」
鎖が爆ぜる。
バースト。
加速。
拳。
ぐあっ――!
壁に叩きつけられる。
視界が揺れる。
(……立て)
なに諦めてるんだよ。
みんなと約束しただろ。
吉沢さんの仇も、まだだ。
ここで止まるわけにはいかない。
「ぐぉぉぉ……!」
血を吐きながら、立つ。
コードの目が愉快そうに細まる。
「そうこなくては」
俺は踏み込む。
殴る。
破片が刺さる。
想力が吸われる。
関係ない。
殴る。
殴る。
白いオーラが、燃える。
床が軋む。
大地が震える。
ついに――
鎖の再生が、追いつかない。
拳が、肉に届く。
コードがよろめく。
「……いい」
彼は笑う。
「その熱い想い」
「私はこれを感じるために、ここにいる」
鎖が軋む。
「この世はつまらない」
「言いたいことを隠し、生きる」
「社会のために、想いを殺す」
目が、狂気に染まる。
「その点、戦いは最高だ!」
「もっと……もっと!」
なら――
味わえ。
俺の想いを。
拳の甲を合わせる。
想力を圧縮。
「フィストブラスター!」
白い閃光。
鎖を、貫く。
ドーーン。
衝撃が部屋を揺らす。
鎖が砕ける。
コードが、後ろに倒れる。
「……実に、すばらしい想いでした」
「満腹です」
静かに、崩れる。
俺も、倒れる。
どん。
「くそ……やりすぎた……」
まだ。
二人は戦っている。
行かなきゃ。
だが、身体が動かない。
ちきしょう。
―――――――――――――――――――――
ジョンとビリーは、殴られ続けていた。
七秒。
どうしても抜け出せない。
スケールが笑う。
「なあ、お前ら」
「この世はつまらないと思わないか?」
「社会のために生き、社会のために死ぬ」
「お前らも同じだ」
拳を構える。
「俺のもとに来い」
「命は助けてやる」
ビリーが、血を吐きながら笑う。
「へへ……誰が行くかよ」
「強い奴は、どこでも強い」
「社会でも、組織でもな」
「弱い奴は、どこ行っても弱い」
「変わろうとしねえからな」
スケールの顔が歪む。
「所詮、歯車か」
「なら七秒で殺してやる」
ジョンが立つ。
「それは、こっちのセリフだ」
「相棒、やるぞ」
ビリーが銃に宿る。
「七音裁定」
世界が縛られる。
「トリガーは押せないさ」
スケールが嗤う。
その瞬間。
ジョンが叫ぶ。
「ようやく分かったよ、お前の弱点」
「裁定できる行動は」
「お前が“想像できる範囲”だけだ」
スケールの眉が動く。
「俺の銃はな」
「ビリーも押せるんだよ!」
引き金が動く。
ジョンの指ではない。
ビリーの想力が、トリガーを引く。
「俺様の必殺技――」
「反神弾(ゴッドキラー)!!」
七秒の外。
スケールの予測を、外れる。
銃弾が肩を抉る。
ぐぁああああ!
床に転がる。
ジョンも、崩れ落ちる。
「さすがに……想力切れだ……」
ビリーが笑う。
「勝ったな、相棒」
「へへ……ああ」
だが。
スケールが、立つ。
血を流しながら。
叫ぶ。
「このゴミどもが!」
「神までも、この俺を裏切るというのか!」
目が、開く。
「なら見せてやる」
「戯眼――」
空間が歪む。
「神律裁界(しんりつさいかい)」
世界が、塗り替わる。
巨大な時計。
空に浮かぶ。
床が、巨大な譜面に変わる。
秒針が、鳴る。
カチ、カチ。
スケールが笑う。
「この世界は」
「俺がすべて決める」
ジョンが息を呑む。
「まずい……」
「開眼に対抗する力までは残っていない……!」
その時。
空気が、変わる。
影が落ちる。
一人の男が、降り立つ。
「真打登場」
低い声。
「よくやったな」
「そこで倒れてる大地を持って下がれ」
視線が、スケールに向く。
「ここからは――俺の幕だ」
荒木相馬 現着