想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う― 作:berunarudo
正式に、緑等級の想界師となった。
そう告げられたとき、実感はなかった。
胸が高鳴るより先に、背中に責任の重さを感じていた。
そして、すぐに初任務が与えられた。
集合場所は、市街地から少し外れた古い工業区画。
昼間だというのに、人通りはほとんどない。
「遅刻はしてないな」
監督官として先に立っていたのは、吉沢だった。
いつもの軽い調子だが、今日は少しだけ空気が硬い。
「今回の任務は調査と排除。
新人の顔合わせも兼ねてる」
そう言って、後ろに立つ二人を示す。
一人は、俺と同じくらいの年の少年。
落ち着かない様子で、視線があちこちに泳いでいる。
「
「……よろしく」
声は小さく、肩も少しすぼんでいた。
もう一人は、雰囲気がまるで違った。
長い髪を揺らし、こちらを値踏みするような目。
立っているだけで、自信がにじみ出ている。
「
ぶっきらぼうに名乗り、ふっと鼻で笑った。
「……全員、新人ってわけじゃないんだ」
その視線が、俺と花崎を順に撫でる。
「足、引っ張らないでよ」
空気が、わずかに張りつめた。
「……あの」
花崎が、おずおずと口を開く。
「作戦とか……どうします?」
天歌は、即座に答えた。
「決まってるでしょ。
私が前に出る」
「え……?」
「赤等級なんだから。判断は私がする」
花崎は言葉に詰まり、視線を落とす。
俺は、少しだけ考えてから口を開いた。
「……役割は、吉沢さんが決めた方が――」
「は?」
天歌が、ぴたりとこちらを見る。
「監督官は“監督”するだけ。
現場の判断は等級が上の人間がする」
正論だ。
だが、言い方が鋭すぎる。
花崎の肩が、ぴくりと揺れた。
「……すみません」
小さく、そう呟く。
吉沢は、二人のやり取りを黙って見ていた。
止めもしない。
「じゃあ、行くよ」
天歌が背を向ける。
「ついてきて」
歩き出す背中は、迷いがない。
けれど、その足取りはどこか速すぎた。
花崎は慌てて後を追う。
俺も続くが、自然と距離ができる。
――噛み合っていない。
それは、能力の話じゃない。
花崎は慎重すぎる。
天歌は強引すぎる。
俺は……どちらでもない。
それぞれの「想い」が、向いている方向が違う。
任務区域に入った瞬間、空気が変わった。
「……来る」
天歌が言う。
「気配、感じます」
花崎の声は震えていた。
俺は、拳を握る。
まだ、何も始まっていない。
それなのに、嫌な予感だけが強くなる。
――このままじゃ、危ない。
吉沢が、ぽつりと呟いた。
「……若いね~」
不揃いな想いを抱えたまま、
俺たちは、最初の任務へと踏み込んでいった。
あとがき
等級の順番がややこしいのでここにまとめておきます!
想界師は式を持ち、想力を自在に操る者。
等級は緑→青→赤→金→黒の順 黒は別格で4人しかいない
緑青など次に昇格する間の等級もある。