想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―   作:berunarudo

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第94話 金のなる「想い」

司は、目の前の光景を思い出す。

 

自分の部下たち。

 

無残な姿。

 

その原因。

 

ディレイ。

 

司は拳を握る。

 

「しゃあない」

 

「ここから本気や」

 

能力を発動する。

 

「課金《マネーブースト》――」

 

財布を取り出す。

 

「100万や」

 

想力が爆発する。

 

身体が強化される。

 

想力が溢れる。

 

司が笑う。

 

「ワイの能力はな」

 

「金を対価に身体を強化する能力や」

 

拳を握る。

 

「対価が多いほど強くなる」

 

ディレイへ踏み込む。

 

「これが――」

 

拳を振る。

 

「100万のパンチや!!」

 

ドゴォ!!

 

ディレイが後ずさる。

 

「なるほど」

 

少し驚く。

 

「バカげた力だ」

 

だが。

 

すぐ笑う。

 

「だが」

 

指を鳴らす。

 

「俺には届かない」

 

能力発動。

 

「テンポ・ブレイク」

 

その瞬間。

 

司の動きが遅くなる。

 

世界がスローになる。

 

司が顔をしかめる。

 

「なんやこれ」

 

「体が重い」

 

すぐ気づく。

 

「いや違う」

 

「速度落とされたんか」

 

ディレイが近づく。

 

「100万でこれか」

 

拳を叩き込む。

 

ドン!!

 

「どうした」

 

「遅いぜ」

 

司が吹き飛ぶ。

 

「いったろ」

 

ディレイが笑う。

 

「俺たちの愛を邪魔する奴はいない」

 

能力解除。

 

司が起き上がる。

 

「ぐぅ……」

 

痛みが遅れてくる。

 

「最悪やで」

 

スローモーションで殴られた痛み。

 

じわじわ響く。

 

司が立つ。

 

「でもな」

 

笑う。

 

「遅いなら」

 

「加速すればええだけやろ」

 

再び叫ぶ。

 

「課金《マネーブースト》!」

 

「1000万や!!」

 

想力が膨れ上がる。

 

ディレイが笑う。

 

「無駄だ」

 

「テンポ・ブレイク」

 

再び遅延。

 

だが。

 

司が踏み込む。

 

ディレイの目が見開く。

 

「……止まらない?」

 

拳が届く。

 

ドゴォ!!

 

ディレイが殴られる。

 

能力解除。

 

司が笑う。

 

「しゃっ!」

 

「ワイの力なめるなよ」

 

拳を構える。

 

「1000万の力は偉大や」

 

胸を叩く。

 

「お前らと違って」

 

「こっちは汗水たらして稼いだ金や」

 

「重みが違うねん」

 

ディレイが笑う。

 

「盗人が」

 

司が答える。

 

「金は平等や」

 

真顔になる。

 

「善人も悪人も持つ権利がある」

 

指を向ける。

 

「でもな」

 

「盗みは違う」

 

「他人から奪うのはズルや」

 

拳を握る。

 

「正々堂々稼いで」

 

「見返すもんやろ」

 

ディレイが笑う。

 

「同じだ」

 

「社会のゴミから盗んで何が悪い」

 

「所詮同じだろ」

 

目が冷える。

 

「その口」

 

能力発動。

 

「時間の牢獄に入れてやる」

 

「テンポ・ハイブレイク」

 

世界が止まる。

 

先ほどの何倍もの遅延。

 

司が動けない。

 

「1000万でも無理か」

 

ディレイが近づく。

 

司が舌打ちする。

 

「ちっ」

 

「煽りすぎたか」

 

ため息。

 

「金使うの嫌やけどな」

 

笑う。

 

「使いどころで使わんのはもっと意味がないわ」

 

叫ぶ。

 

「廃課金《マネーハイブースト》!」

 

「一億や!!」

 

想力が爆発する。

 

身体能力が跳ね上がる。

 

黒等級に迫る強化。

 

遅延が――

 

効かない。

 

ディレイが驚く。

 

「なっ!?」

 

司が迫る。

 

拳。

 

ディレイが必死で回避。

 

そのまま。

 

一分。

 

能力終了。

 

司が息を吐く。

 

ディレイが笑う。

 

「残念だったな」

 

「俺の勝ちだ」

 

再び能力を発動しようとする。

 

だが。

 

司が笑う。

 

「廃課金《マネーハイブースト》」

 

「一億」

 

ディレイが固まる。

 

「……は?」

 

拳が腹を貫く。

 

ドン!!

 

血が噴き出す。

 

司が言う。

 

「悪いな」

 

「ワイの貯金」

 

笑う。

 

「まだまだあるねん」

 

手を抜く。

 

ディレイが倒れる。

 

司が肩を回す。

 

「今回な」

 

「ファズエット一人殺せば」

 

「三億入るねん」

 

笑う。

 

「儲けもんや」

 

ディレイを見下ろす。

 

「雑魚一人で一億稼ぐ」

 

「ええ商売や」

 

歩き出す。

 

「さて」

 

「もう一人も殺して」

 

「稼ぐか」

 

少し考える。

 

「……あ」

 

笑う。

 

「ワイも悪人やったわ」

 

その瞬間。

 

時間が歪む。

 

テンポが現れる。

 

司が笑う。

 

「お」

 

「そっちから来てくれるんか」

 

拳を構える。

 

だが。

 

テンポは司を無視する。

 

ディレイの元へ。

 

崩れ落ちる。

 

「ディレイ……」

 

震える声。

 

「うそでしょ」

 

泣き出す。

 

「あたしを置いていかないよね」

 

「一緒に暮らすって言ったじゃない」

 

「なんでディレイを殺したのよ」

 

司が言う。

 

「なんで殺したって?」

 

肩をすくめる。

 

「敵やからやな」

 

「そりゃ殺すやろ」

 

冷たい声。

 

「情で逃がしたら」

 

「次に殺されるのはワイや」

 

拳を構える。

 

「安心せえ」

 

「同じところ送ったる」

 

テンポの目が壊れる。

 

「……許さない」

 

震える声。

 

「絶対」

 

叫ぶ。

 

「許さない!!」

 

能力発動。

 

「戯眼」

 

世界が歪む。

 

「愛執疾界《あいそうしっかい》」

 

空間が流れる。

 

地面が曲がる。

 

司が舌打ちする。

 

「ちっ」

 

「戯眼持ちかい」

 

「めんどくさいな」

 

だが。

 

笑う。

 

「戯眼持ちが敵にいるのは」

 

「想定済みや、対策を積むにきまっとるやろ」

 

能力発動。

 

「隻眼《せきがん》」

 

楽座家秘伝の術。

 

空っぽの世界。

 

自分を覆う。

 

開眼の影響を弱める。

 

司の片目が光り輝く。

 

「楽座家にこれを教えてもらった貸しがあるんや」

 

「だから手伝っとるわけ」

 

ニヤリと笑う。

 

「さて」

 

「やろか」

 

その瞬間。

 

テンポが動く。

 

愛執の速度で。

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