想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う― 作:berunarudo
「ほら行くわよ、花崎」
瑠偉が言う。
「なんで僕を引きずるんだよ!」
花崎が怒る。
「うるさいわね」
瑠偉は振り返る。
「あんたがボロボロだから、この私が運んであげてるのよ」
花崎が言い返す。
「君がボコボコにしたんだろ!」
瑠偉が顔を逸らす。
「あんたが変態発言するからでしょ!」
「あれは隙を作るためだったんだ」
「うるさいわね!」
二人は言い合いながら医療室へ向かう。
だが。
妙に静かだった。
瑠偉の足が止まる。
(……静かすぎる)
その瞬間。
背後の気配。
瑠偉が叫ぶ。
「何者!」
回避。
同時に花崎を引きずる。
「痛いよ瑠偉!」
「敵よ」
振り返る。
そこにいたのは――
忍者。
黒装束。
「まさか気づかれるとは」
忍者が肩をすくめる。
「忍者失格ですね~」
瑠偉が剣を構える。
「何者よ」
忍者が笑う。
「忍者が名乗るわけないんですが」
少し考える。
「まあどうせ忘れますし」
指を立てる。
「僕の名前は」
「ノクターン」
微笑む。
「音を消す者さ」
その瞬間。
瑠偉が言葉を止める。
「……っ」
声が出ない。
音が消える。
世界が無音になる。
瑠偉の瞳が揺れる。
ノクターンが短刀を構える。
(終わり)
その瞬間。
衝撃。
ドン!
ノクターンが吹き飛ぶ。
「痛いな~」
振り返る。
そこにいたのは。
吉沢。
「間に合ってよかったよ」
瑠偉が驚く。
「吉沢さん!?」
吉沢が笑う。
「僕は内緒の警護役だったんだ」
肩をすくめる。
「まさか忍者が来るとは思わなかったけど」
ノクターンが言う。
「なるほど」
「リバーブを倒したのか」
吉沢が答える。
「安心して」
「殺してはいない」
ノクターンが吐き捨てる。
「役に立たない男だ」
その時。
女医の悲鳴。
「きゃあああ!」
医療室から女医が飛び出す。
「なんなのこれ!」
逃げようとする。
吉沢が手を掴む。
「危ない」
その瞬間。
女医が囁く。
「リチューニング」
吉沢の視界が揺れる。
「……っ」
そのまま崩れる。
瑠偉が叫ぶ。
「吉沢さん!」
だが。
女医が触れる。
「リチューニング」
瑠偉の意識が沈む。
「逃げて……花崎」
そのまま倒れる。
花崎が叫ぶ。
「瑠偉!」
だが。
女医の手が触れる。
「リチューニング」
花崎も倒れる。
女医があくびする。
「仕事終わり」
後ろでノクターンが言う。
「相変わらず悪い女だ」
女医が笑う。
「失礼ね」
振り返る。
「作戦をこなしただけ」
その女。
チューナー。
「これでノイズ様の依頼は終わりかしら」
ノクターンが答える。
「あとは待つだけだ」
その瞬間。
世界が変わる。
闇。
城が黒く染まる。
チューナーが叫ぶ。
「なによこれ!」
結界が生まれる。
二人を包む。
「作戦と違うわよ!」
一方。
荒木。
スケールを破壊した瞬間。
時間が戻る。
荒木が愚痴る。
「なんだよ」
「こんなもんか」
「がっかりだぜファズエット」
その瞬間。
世界が闇に染まる。
「……なんだこれ」
荒木の周囲に結界。
「楽座家の結界?」
刀を抜く。
斬る。
だが。
傷一つ付かない。
「おいおい」
「まずったか?」
荒木の意識が落ちる。
そのまま倒れる。
別室。
大地。
ジョン。
ビリー。
休んでいた。
その時。
結界が生まれる。
ジョンを包む。
「なんだこれ!」
ビリーが叫ぶ。
「おいジョン!」
だが。
ジョンは眠る。
ビリーだけが無事だった。
理由は。
式神。
机に置かれた本体である銃。
ビリーが大地を揺らす。
「おい大地!」
「起きろ!」
「緊急事態だ!」
俺は目を覚ます。
「……なんだよビリー」
起き上がる。
ジョンを見る。
結界に閉じ込められている。
「どうしたんだ」
触れる。
だが。
結界は破れない。
ビリーが言う。
「訳は分からん」
城の奥を見る。
「だが」
顔が青い。
「とんでもねえ気配がする」
俺も感じる。
確かに。
城の奥から。
吐き気がするほどの気配。
「そこに原因があるのか」
ビリーが頷く。
「多分な」
俺は立つ。
「行く」
ビリーが言う。
「待て」
銃を持ち上げる。
「俺も連れてけ」
ニヤリと笑う。
「役には立つぜ」
俺が笑う。
「分かった」
銃を手に取る。
「借りるぜジョン」
ビリーが肩に乗る。
俺たちは走る。
城の奥へ。