男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴   作:陽波ゆうい

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第1話 男の方が数が多いなら、諦めるしかない

 俺は、異世界へ転生した。

 

 転生先は、『男女比が偏った貞操逆転世界』と聞かされていた。

 

 貞操逆転世界。 

 つまりは、男の数が少なくて、可愛い女の子たちの方からぐいぐい積極的に迫ってきてくれて……。

 

 男であるだけで、そこにいるだけで、モテモテで甘やかされて、夢のハーレム生活が送れる。

 

 そんな最高の世界で2度目の人生を謳歌する――はず、だったのに。

 

 

()()()()()()の貞操逆転世界って……俺なんかが1番モテないパターンだろうがぁぁぁ! ちくしょおおおおおおおーー!!」

 

 叫んだところで、どうにもならない。

 これがもう手遅れってやつなのか。

 

 転生してすぐに、この世界の違和感には気づいた。

 

 外に出れば……何故か、男ばかりなのだ。

 

 ようやく見つけた女性はというと、複数人の男に囲まれていた。

 しかも、その男たちがまたイケメン揃いで……。

 

 そうしていくうちに、この世界が男女比3:1であることを知った。

 

 女性が貴重。

 男の方が数が多い貞操逆転世界に、俺は転生したのだ。

 

 なーにが逆転してるんだよ。

 こんなの、逆に悪化してるだろっ。

 

 男の方が数が多いとどうなるか?

 それはもう、女の子の取り合いになるに決まっている。

 

 そして……寝取られが増えるに決まっている。

 

 幼馴染が金髪黒肌ムキムキに寝取られるやつ。

 学級委員長が禿げデブおじさんに寝取られるやつ。

 人妻が巨根ショタに寝取られるやつ。

 

 そういうのが各地で発生しまくるに決まっているんだ!!

 

 そして、俺が好きになった女の子だって、高収入の爽やかイケメンに取られるに決まっている。

 ……昔みたいになぁ。

 

 俺は、寝取られが大っ嫌いなんだ!!

 

 寝取られないためには、どうしたらいいか?

 

 女の子を好きにならなければ良い。

 恋愛なんてするだけ無駄だ。

 何よりも、俺のメンタルが持たない。

 

 だから、俺はこの世界に期待しなくなった。

 女の子たちにモテることを諦めることにしたのだ。

 

 ただ……そんな俺でも転生者だ。

 

 転生者ということは、お馴染みの神様にチートスキルを貰っているやつがある。

 

 女の子にモテなくとも、チートスキルを使えるということで、それなりに楽しい日々は送れた。

 

 その延長線で……幼い頃は、ヒーロー活動みたいなことをやったものだ。

 

 男女比が偏っているといえど、人であることは変わらないため、助けたらそれなりには感謝してもらえるみたいで……。

 

「貴方の名前を教えてください! そして、私の傍にずっといてください!」

「君の名前を教えてよ! アタシ、君のことが気になってっ」

「わ、わたし……これからもあなたの隣にいたいから。だからね……」

 

 中でも印象的だったのは、()()()()()()から、好意があるようなアプローチみたいなこともされたことだ。

 

 命の危機をたまたま助けた俺に、彼女たちは心から感謝してくれていた。

 凄く恩を感じてくれていた。

 

 正直、めちゃくちゃ嬉しかった。

 しかも、その3人は幼いながらかなり可愛かった。

 

 将来は絶対に美女になる。

 間違いなく、いい奥さんにもなる。

 

 だけど……彼女の周りにはたくさんの男たちがいた。

 しかも全員、モデル顔負けの容姿の良さ。それがずらっと並んでいるの。

 

 そんな中で……。

 

 俺が言い寄られる。

 俺がモテる。

 俺がハーレムを築く。

 

 ……ねえな。可能性ゼロだわ。

 

 たとえあったとしても、1週間も経てば顔を忘れられて終わりだ。

 

 だからこそ俺は、変な期待はせず……彼女たちを適当にあしらうつもりだった。

 

 けれど……数少ない女の子を相手に、無礼なことを言う方が重罪だと、周りの男たちの妙にピリついた雰囲気で察した。

 

 結果的に俺は……前向きっぽく、それでいて、いつでも忘れてもらえるような言葉を口にしたのだ。

 

「なら……もう少し大きくなったら結婚しよう」

 

 できるだけ優しい口調でそう言った。

 

 彼女たちは、目を輝かせて喜んでいた。

 

 けど、数年後には忘れているだろうな。

 もしかしたら、笑い話にされているかも。

 

「ぷっ、もう少し大きくなったらって……御伽話じゃないんだからっ」

「お前みたいな平凡な見た目の男に、待ってくれる女なんかいねぇよ」

「笑ってやるなよ、お前ら……ぶふっ、ぶふふっ!!」

 

 彼女たちの周りにいた男たち……イケメンたちには、その時には笑われたけどな。

 アイツらの顔は絶対に忘れない。

 

 

 そんなこんなで、俺がこの世界に来て15歳になった。

 

 学園入学を目指して、追い込みの時期でもある。

 

「しかし、学園ねぇ……。学園はもっと女の子の取り合いとか、寝取りとか多いんだろうなぁー。もはや、乙女ゲーの寝取りルートだろこれ」

 

 なんて愚痴りながらも、俺は日課である素振りを再開することにした。

 

 

 さて、この男……前世の知識がある故か、ただ単に勘違い野郎なのか、男女比が偏っている世界の()()をまだ知らないでいた。

 

 何故なら、男の方が数が多くたって……ここは紛れもなく、貞操逆転世界。

 

 性欲も、力も、地位も……女の方が強いのだ。

 

 そんな彼女たちに目を付けられれば、絶対に逃れられない。

 

 さらには、結婚の約束みたいなことをすればもう……引き返せない。

 

 そんな、とうとう手遅れになる男の物語である。

 

 

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