男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴   作:陽波ゆうい

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第11話 入学式ですでに揃っていることは知らない

 王都に着いた頃には、入学式当日になった。

 

 身だしなみを再確認してから、俺は足を進めて……王立学園カルリーネの正門をくぐった。

 

「ここが俺が3年間通う学園かぁ……」

 

 改めて実感すると、試験の時とは景色がまた違って見えるな。

 

 王立学園カルリーネは、男女共同の言わずと知れた名門校である。

 貴族や平民、男女を問わず、優秀な人材を育て排出することを目的としている。

 

 王立学園の名から察するが、国からの支援を受けており、質の高い授業内容や教育環境、サポートなどが充実していることから、数少ない女子たちからも絶大な支持を受けおり、国内外から見ても女子の在籍数はかなり多いとのこと。

 

 だから田舎とは違って、同年代の女子をあちらこちらに見かける。

 

 やっぱり女の子がいるだけで華やかなになるな。

 

 ここだけ見ると、前世の学園生活と変わらないんだけどな。

 

 だだ、女子たち全員、険しい顔をした大人たちに囲まれていた。

 ここでナンパでもしてみろ。入学式に出られなくなりそうだ。

 

 それでも、俺たち男というのは女子のことをついつい視線で追ってしまうもの。

 

 そんな中でも、一際注目を浴びている人物が……。

 

「あの方が公爵位であるフィリスト家の唯一の女性であり、次期当主である……」

「噂だけでしか知らなかったが、実際に見るとなんともお美しい……」

「あんな美女と同じ学園とかテンションあがるなぁ……!」

「婚約者候補もたくさんいるに違いないな……」

 

 艶やかな銀色の長髪を靡かせて優雅に歩く彼女は――公爵令嬢のネリネ様だ。

 

 まるで大名行列のような人数を引き連れているので、それで目立っているというのもあるけど……。

 

 それでも、埋もれない存在感があるというもの。

 

 やはり釘付けになるのは、ネリネ様のその完璧な容姿である。

 容姿も相まって、同じデザインの制服を身に纏っているはずなのに、彼女が着るとより華やかに、煌びやかなに見えるのだ。

 

 だけど、俺は……彼女のことを前から知っている。

 

 ネリネ様とは、1週間前ほどに会っており、会話だって交わしたのだ。

 

『そのお礼として、私から提案するのはおこがましいことなのですが……。学園では――従者として、頼っても良いですか?』

 

 そんなことも言われたものだ。

 

 だが……俺は、簡単に勘違いしないと決めている。

   

 ネリネ様はあくまで頼っても良いか、と聞いてきたのだ。

 それは、困った時に頼れるようにするための保険的なものだろう。

 

 別に悪くないことだ。

 頼ってもらえるなら、俺だってそれに応える!

 

 しかし、学園ではネリネ様が連れているような大人たちは入れないとはいえ……彼女であれば人望はすぐできる。

 

 なんなら、貴族位の男たちに言い寄られ放題だ。

 

 そんな中で、俺が優先的に頼られるとは考えにくい。

 

 だから俺は、この世界に期待しないのだ。

 

 俺なんて、頑張っても知り合いAくらいの立ち位置だろうな。

 

 そんなことを考えていたら、また周囲が騒がしくなった。

 

「あのお方はもしや、聖女様候補と名高い……」

「か、可愛い……」

「見ているだけでも癒される……」

 

 男たちの視線を追ってみると……やはり、女の子であった。

 

 けれど、注目を集めるだけあって容姿はかなり整っている。

 

 薄紫色の長髪にピンク色の大きな瞳。

 全体的にスレンダーであり、制服のスカートから伸びる脚は黒色のストッキングで覆われている。

 

 清楚で、雰囲気は落ち着いており、何より目を惹くのは……頭には、模様が入った白いベールを被っているところ。

 

 周りの男たちの浮ついた声を聞き取れば、『聖女様候補』というワードが出ていた。

 

 確かに、見た目的にも聖女様って感じがするな。

 

 というか、聖女様候補と言われる存在でも学園に通うんだな。

 魔力の質をより高めるために学ぶのかな?

 

 ただでさえ女子ってだけでも高嶺の花なのに……聖女様候補となれば、それはもう近づくことさえおこがましい存在だなぁ。

 

「拝めるだけでもラッキーだよなぁ」

「……っ!」

 

 と……不意に、彼女が後ろを振り返った。

 

 ぱちっと、目が合った気がした。

 でも、すぐに前を向いた。

 

 ふーむ、人見知りか? それとも、男嫌いとか?

 

「まあ目が合っただけでも、今日は良いことがありそうだなー」

 

◆◆

 

 煌びやかな装飾が施された会場で、学園長や来賓の話など、入学式は順調に進んでいた。

 

「――生徒会長挨拶。壇上へご注目ください」

 

 進行役の男性のアナウンスの後、壇上に立った人物に全員の視線が集中する。

 

 いや、むしろ釘付けになる。

 

「こほんっ。新入生のみなさん、この度は王立学園カルリーネへのご入学おめでとうございます! 在校生徒を代表しまして、生徒会長である私が――」

 

 その声は、明るくハキハキしていて聴きやすい。

 

 そして、王立学園カルリーネの生徒会長は……女子生徒であった。

 

 サラサラの金髪ロングヘアをサイドテールに纏めている。

 パッチリとした瞳に、健康的な白い肌、目鼻立ちがくっきりとした顔立ち。

 

 制服を押し上げるほどの存在感ある胸は、少しの動作だけで揺れる。

 いかにも、男好みの容姿だ。

 

 雰囲気も明るいことから、前世で例えるなら陽キャギャルって感じ。

 

 それが、この男女比3:1世界だと生徒会長であるとは……。

 人は見た目によらずってことかな?

 いや、きっと本人の頑張りに違いないな!

 

「――以上、生徒会長アザレア・ベリトロア」

 

 そんなことを考えているうちに、生徒会長である彼女が話を終えていた。

 

 盛大な拍手が場を包む。

 もちろん、俺だって拍手している。

 

 数少ない女子ってだけじゃなくて、人柄からも惹かれるものがありそうだな。

 さすが、生徒会長に選ばれる人だ。

 

「……ちゃんといるね。ふふっ」

 

 ふと、彼女がこちらを見て、口角を上げた気がした。

 

 あれかな? みんなの様子を見て、挨拶が上手くいったと分かったからかな?

 

 それからもスムーズに進んで、入学式は無事に終了した。

 

「新入生の皆さんは、会場を出てすぐの掲示板にて、クラス発表がありますので速やかに移動するように」

 

 進行役の男性にそう促されて、ぞろぞろと新入生たちが動き出す。

 俺もその中に混ざりながら、胸が高鳴っていた。

 

「俺のクラスはどこになるんだろうなー」

 

 最初が肝心っていうし、いいクラスになるといいけど。

 

 

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