男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴   作:陽波ゆうい

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第12話 本命は、ホームルームの後

 自分のクラスを確認するため、会場を出てすぐの掲示板には人だかりが出来ていた。

 

 まず、A〜Dの4クラスの振り分けが書かれた紙を見る。

 

 異世界モノの学園といえば「Aクラスが優秀。Dクラスは落ちこぼれ」なんてイメージがあり、それがカーストやざまぁとかに繋がる傾向があるが……。

 

 さっきあった男性教師のアナウンスによれば、「クラスは成績が均等になるよう振り分けている」とのこと。

 

 だから、どのクラスに入っても特別嬉しいわけではないのだけど……。

 

「よっしゃ! 俺、Aクラス〜。なんか頭良さそうじゃね? 俺、入試の成績は良かった的な?」

「ばっか、お前、さっきのアナウンス聞いてなかったのかよっ。クラスがAだろうがDだろうが関係ないつーのっ」

 

 クラス発表は、大いに賑わっていた。

 

 結局のところ、俺たち男子はこういうノリで騒ぐのが好きなのだ。

 

 貞操逆転世界といえど、男女比3:1で男の数が多い。

 それ故なのか、男の性格も前世とそんなに変わりはない。

 

 俺としては、変わらないことが多い方が馴染めるから良い。

 

 田舎出身とあり、男は誰1人として知り合いがいないので、友達作りとかも頑張らないとな!

 

「まあ、女子は確認しに来ないよなー」

「だな。どうせ、全員が同じクラスなんだろ」

 

 近くにいた男子たちのそんな会話が耳に入って、俺はふと周囲を見回す。

 

 掲示板を見ている新入生たちとは、全員……男なのだ。

 

 クラス分けの結果が気になるのは、男女関係なく当然のことなはずなのに……女子の姿は1人も見当たらない。

 そこは俺も気になっていたところだ。

 

 改めて、掲示板へと視線を向ける。

 

 AからDまで、4つのクラス。そこに並ぶ名前を順に見ていくけど……女子っぽい名前は、どこにもない。

 

 まあ、異世界では名前がカタカナ表記だから断言はできないけどな。

 

 けれど、その隣に貼られた紙。『特別クラス』と書かれたところに、ネリネ・フィリストの文字――ネリネ様の名前があった。

 

 ただ単に、ネリネ様の成績が良かったのかもしれないが……他にも並んでいるのは、どれも女子の名前らしきものばかり。

 

 つまり……そういうことかも。

 

 この世界の男女を同じクラスにしたら、問題が起こらないはずがない。

 

 狙われると分かっている女子たちを守るためにも、纏めて『特別クラス』にしたというわけかもな。

 

 それに、男子と女子とでは秘めた魔力量の差もあって、授業内容も大きく違ってくるだろう。

 

 女子は膨大な魔力を持ち、その反面、男は微量な魔力でできることが少ない。

 同じ教室で学ぶより、最初から別々のクラスにした方が効率的だよな。

 

 それを察してか、事前に知らされていたのか……女子たちがクラス分けを見にこないとにしたら、納得がいく。

 

 さて、自分のことに戻ろう。

 

 俺のクラスはどこになったかというと……。

 

「Aクラス……か。確かに、頭良さげなクラスだと思っちゃうなー」

 

 Aクラスというワードで、ちょっと嬉しくなった。

 

◆◆

 

 Aクラスに移動後は早速、ホームルームの時間になった。

 

 担任の先生はもちろん、男である。

 なにせ、男女比3:1。男の方が多いからな。

 

 前世でも馴染みのある自己紹介や先生からの連絡事項など、スムーズに進んでいき、時間も過ぎていき……。

 

「明日からは通常通りの授業があるから、しっかり受けるように。以上、解散!」

 

 先生がホームルームの終わりを知らせた瞬間、クラスの男子たちが机や椅子をガタガタと揺らして歓声を上げた。

 

「よっしゃ、やっと終わった! 女子のいる校舎に行こうぜー!」

「急げ急げっ! 校門出られたら、すぐに護衛来るからな!」

「待て、俺が先だ! この日をどれだけ楽しみにしてたと思っていたかっ」

「てか、お前ら女子の前では下心隠せよっ。怯えられたら大目玉喰らうだろうからっ」

 

 打ち合わせしたかのように、男子たちは一斉に教室を出ていく。

 

 速攻帰るのではなくて……女子たちを見るためだ。

 

 そう、女子たちとはクラスが違うだけではなく……校舎まで違うのだ。

 

 女子生徒がいるのは、窓から見える第2校舎。

 

 男子だけが集まるこの校舎よりも新しめなことから、昔は男女同じクラスで授業をしていたかもと思った。

 

 そこで問題があったからこそ、今では隔離みたいなことになっている。

 

 まあ、クラスの男子たちの様子を見ていたら察するところはあるよな。

  

 俺は女子にモテないし、取り合いにもしないので靴箱の方へ向かう廊下を歩く。

 

 でも、家に帰るわけではない。

 

「寮についての説明会は14時頃か。昼飯食べたらちょうど良い時間になるな」

 

 長い間、あの村には帰れない。

 俺の新たな家は、この学園の敷地内にある寮である。

 

「説明会の場所を確認してから、飯屋探すかー」

 

 段取りも決まり、歩くスピードも上がる。

 角を曲がろうとした時だった。

 

「きゃっ!」

「うおっ」

 

 ドンっ、と。何かとぶつかった。

 学園なので、生徒に違いないな。

 

 そんなことを考えながらも、咄嗟に相手の腕を掴み、こちらへ引き寄せる。

 

 お互いに、固い床に身体を打ちつけることは回避したのだった。

 

「っと……危ないところだった。って、ぶつかっているんだからダメなんだけどな。俺の不注意だ、ごめんっ。怪我とかはない? ……って」

 

 突然のことで言葉が上手く纏まらないが、相手の様子は見ようと……視線を合わせた時。

 

 俺の言葉は、途中で止まった。

 

 何故なら、その相手が……見覚えのある人だったから。

 

 サラサラの金髪をサイドテールにしており、吊り気味の大きな瞳。

 今は制服を軽く着崩していて、豊満な胸に長い手脚という抜群のプロポーション。

 

 何よりも、生徒会長として入学式では代表挨拶をしていた――

 

「アザレア・ベリトロア……様?」

 

 ぽつりと、その名前を口に出した。

 

 すると、彼女は目を丸くして……。

 

「アタシのこと……()()()()()()()()()()()

「ええ、まあ……」

 

 なんだか凄く驚いている様子だけど……誰であっても、すぐに覚えるに決まっている。

 この王立学園の生徒の中でトップの存在である生徒会長だし、数少ない女子側なのだから。

 

 って……俺、生徒会長の腕を掴んだままだ!

 あの時、倒れないようにと、咄嗟に掴んで……。

 

 でも他の誰かに見られたら、勘違いされるよな。

 何よりも、目の前の彼女に嫌がられていないか心配で……。

 

「……アタシと一緒に来て。ねっ?」

 

 俺が腕を離すよりも先に……彼女が顔を近づけてそう告げた。

 

 これは……逃げられないって感じ?

 

 もしかして……俺、ピンチ??

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