男女比3:1でも貞操逆転世界なのに「もう少し大きくなったら結婚しよう」でとうとう引き返せなくなった奴   作:陽波ゆうい

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第6話 舞台も役者も揃う時

 試験を受けて1週間が経った頃。

 

 1通の封筒が届いたと、親父から受け取った。

 

「ふ、フェイ! まま、まさかこれ……!」

「あー、うん。そういうことだな」

  

 親父の動揺っぷりから、差し出し人を見なくともその内容が分かる。

 

 もっとも、書いてあることによっては、俺の人生が変わるけども……。

 

 慎重に開けて、中にある紙を見てみると……『合格』の文字が目に入った。

 

 その数日後には……。

 

「「「王立学園合格おめでとう、フェイ!!」」」

「あざぁーーす!!」

 

 野太い歓声に負けじと声を上げる。

 

 村のみんなが俺のために合格祝いパーティーを開催してくれたのだ。

 

 そう、俺は王立学園カルリーネへの入学を決めたのだ。

 

 推薦状もあったし、実技の手応えも周りの反応も悪くなかった。

 

 それでもこうして正式に決めると、心の底から嬉しさが込み上げてくるよな。

 

 俺が『合格』と書いてある印章入りの通知書を掲げてると、「うおおおおおお!!」と雄叫びが上がる。

 

 この場には、男しかいない。

 けれど、こういう男のノリというか、自分のことのように盛り上がってくれるのはめちゃくちゃ嬉しいよな!

 

「フェイ〜〜! よくやった! いつも頑張っていて偉いなと思っているが、今回はもっと頑張ったなっ。偉いなぁ〜。俺の自慢の息子だぞぉぉぉ!」

「はいはい、ありがとうな親父。それ、合格通知がきた日にも言ってくれたよな。もう、15回目だ」

「何回言ってもいいじゃねえかぁ! アンコール、アンコールしようぜっ」

「親父に必要なのは、アルコールだろ? 俺はあまりお酒は好きじゃないから代わりにたくさん飲んでくれよ」

「おうよ!!」

 

 俺が注いだ酒を一気飲みする親父。

 

「俺は今、最高に幸せだぜ! ハッハッハッ!!」

 

 親父もこんなに喜んでくれていて、俺としても王立学園を選んで良かった。

 

 食べて飲んでの大賑わい。

 

 途中でトイレに行って、帰ってきた時だった。

 

「おーい、フェイ! お前宛に花束がきているぞー! こりゃ、かなりの上等ものだっ」

「花束? 誰か頼んでくれたのー?」

 

 そう言って周りを見渡すけど……みんな首を横に振っていた。

 

 誰も心当たりがないらしい。

 

 となると……外部の知り合いか?

 でも、村の人たち以外には王立学園の合格は知られていないと思うし、言ってもいないし……。

 

 ひとまず、花束を受け取り……まじまじと見つめた。

 

 綺麗にラッピングがされているのはもちろん、花びらが1枚1枚が際立っており……思わず見惚れる。

 そこらへんに生えている花ではない。

 ちゃんとお店で選んでくれたような上品なものであると分かる。

 

 見たところ、危険な感じもしないし……。

 

「ありがたく貰っておこう! うん、いい香りもするなぁ〜」

 

 匂いを嗅げば、穏やかな気持ちになる。

 あとで花瓶に大事に飾っておこう。

 

「フェイ、こっちにこいよ! 親父さんが呼んでいるぞー!」

「はいはーい!」

 

 その日は、夜が更けるまで大いに盛り上がったのだった。

 

◆◆

 

(???side)

 

 王都の街外れの教会にて。

 ベールをつけた彼女がいた。

 

 祈りを捧げる姿はまさに、聖女そのもので……。

 

 そこに、物腰柔らかな神父が礼をして現れた。

 

「祈りの最中に失礼致します」

「いえ、今終わったところですから大丈夫ですよ」

 

 振り返った彼女が微笑む。

 その笑みだけで、癒されるものがある。

 

「聞きましたよ。この度は、名門である王立学園カルリーネへの合格、おめでとうございます」

「ありがとうございます。といっても、わたしは女性であるため必然的というものですが……。それと、『聖女様』呼びは恐れ多いです。わたしはまだ見習いの身であり、他の方よりも少し治癒魔法の扱いに慣れているだけですから」

「いやはや、ご謙遜を。貴方には数々の実績がございます故、その名で呼ばれるのが相応しいかと。学園卒業後は、本格的に聖女としての活動を始められるかと思いますし、今か後の話ですよ」

 

 神父がそう言うも、彼女は決して慢心する様子はなかった。

 

「学園でのご活躍も期待しております。また、ご学友との交流も楽しまれてくださいね」

 

 神父は穏やかに告げつつも、言葉を重ねる。

 

「しかしながら……聖女様直々に推薦状を出すなんて驚きでしたよ」

「わたしの推薦状が無事に通ったようで良かったです」

「貴方ほどの名の知れた方の推薦が却下されることなどないとは思いますが……」 

「名が知れたとしても、わたしも王立学園の受験者の1人に過ぎないですからね。……()も無事に合格したようですし、花束も喜んでくれていると良いのですが。ふふっ」

 

 彼女が頬をほんのりと染めて呟く。

 

「おや? また、例の彼のことを思い浮かべているのですか?」

 

 神父が微笑ましげに尋ねた。

 

「……はい。むしろ、考えない日のことがないぐらいです。わたしは彼に救われました。だからこそ、わたしも救う活動をしたいと思い、この道に生きることを決めました」

「そうですか。そんなに想っているのなら、直接会いに行かなくてよろしいのでしょうか?」

「ふふ、行きますよ。学園で、これからは同じ場所にいることができますから」

 

 それから神父との会話を終えて、再び1人になった彼女。

 

「田舎でのんびりと過ごす彼を迎えにいっても良かったのですが……それだと、邪魔が入りますからね。学園という、周りの大人たちに邪魔されない空間で彼と過ごせる。それに、3年もあれば十分です」

 

 彼女がさらに頬を染めて、見上げる。

 

「わたしも15歳。彼も15歳で成人を迎えた。子供の頃のもう少し大きくなったら……結婚。ぜひとも、期待していますからね、フェイ君」

 

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