転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

101 / 107
第8話

 

遡ること数千年。精霊の国。

 

様々な花が咲き乱れ、穏やかな時が流れる。小鳥が歌い、精霊たちが遊ぶ。

 

「今日も平和ですわね」

緑色の髪をなびかせて優雅に飛んでいるのはアイリス。

「きゃはは。平和過ぎて退屈だね」

紫の髪のメルティナは、咲いている花の花びらを一枚ずつ取っては放り投げている。

二人は性格は全く違うが幼い頃から仲が良かった。次期精霊神候補として切磋琢磨するライバルであり親友でもあった。

 

「メルティナ。精霊神様のところに行く時間よ」

「アイリス、もうちょっと遊ばない?」

「ダメですわ、時間は守らないと」

「真面目なんだから、アイリスは」

そう言うとメルティナは、口をすぼめた。

 

「いいから、行きますわよ」

「わかったよ」

二人は精霊神の待つ神殿に向かった。

真っ白な立派な石造りの神殿は鬱蒼とした木々に囲まれている。さながら、木々の中に浮かぶ方舟のようだ。

 

神殿の中を進んでいくと一番奥の広間に精霊神がいた。

「精霊神様。メルティナとアイリス、参りました」

「待ってましたよ。メルティナ、アイリス」

精霊神は優しく話す。

「二人は精霊神見習いとして、毎日鍛錬していると聞いています。頑張っているわね」

「ありがとうございます。精霊神様」

アイリスとメルティナは頭を下げる。

「まもなく私の次の精霊神が決まります。二人とも最後まで頑張ってくださいね」

精霊神はそう言うと飛び上がり光の中へと消えた。

アイリスとメルティナは神殿を後にした。

 

「メルティナ、どちらが選ばれても恨みっこなしですわよ」

「きゃはは。きっとあたしの方が選ばれるけどね」

メルティナはそう言うとクルッと宙返りした。

 

二人がツリーハウスの近くまで来ると、一羽の小鳥が地面に落ちているのを見つけた。どうやら怪我をしているようだ。

「可哀想に。今、治してあげますわ」

アイリスが回復魔法をかけようとすると、メルティナが小鳥を奪った。

「なにをするの!メルティナ」

アイリスが驚いて声を上げる。

「きゃはは。この子はあたしの"おもちゃ"にするわ」

メルティナは、そう言うと小鳥の首を折った。

「メルティナ!やめて!」

アイリスは目に涙を浮かべて言う。

「これでこの子はもう痛みを感じなくて済むの。あたしは良いことをしたの。」

メルティナはそう言うと小鳥を持って走り去った。

「メルティナ......」

アイリスはそれをただ見送ることしか出来なかった。

 

 

数日後。

 

精霊神の後継者が決まる日。

 

アイリスはメルティナを呼びに彼女のツリーハウスに行ったが誰もいない。

「先に行ったのかしら?」

アイリスは一人で神殿に向かった。

 

何か嫌な予感がする。

アイリスが神殿の前に着くと、中から言い争いをしているような声が聞こえてきた。

慌てて神殿の中に入る。

 

「やめなさい!メルティナ!」

精霊神の叫び声が聞こえた。

「精霊神様!」

アイリスが神殿の広間にたどり着くと、そこには信じられない光景があった。

 

精霊神が血まみれで倒れている。

まだ息はあるようだが、瀕死の状態だ。

その精霊神の前には、返り血を浴びたメルティナが立っている。その手にはナイフが握られていた。

 

「メルティナ!なんて事を!」

アイリスは叫んだ。

 

メルティナはゆっくりとアイリスの方を向いて静かに話し出す。

「次の精霊神はあたしよ。アイリス、あなたじゃ精霊神は務まらない。精霊神様は間違ってる」

そう言ってメルティナは笑った。

「メルティナ、ナイフを捨てて。」

アイリスは両手をメルティナに向け、魔力を集中する。

「きゃはは。アイリス、あなたもあたしの"おもちゃ"になるの」

「わたくしは、あなたのおもちゃにはならないですわ」

「なら、死ね!」

メルティナがアイリスに向かって飛んでくる。

 

その時、

精霊神が動いた。

「深淵に堕ちよ!メルティナ!」

精霊の手から漆黒の闇が放たれメルティナを包み込む。

「なに!?嫌だ!やめてー!」

メルティナが叫ぶ。が、叫び声と共に闇に飲み込まれ、そして、消えた。

 

精霊神は力尽き倒れた。

アイリスが駆け寄る。

「精霊神様!」

アイリスが精霊神の体を支えるが、顔の血の気が引き、息も絶え絶えの状態だ。

「......アイリス、メルティナは深淵に堕ちました......あなたが次の精霊神になるのです......」

「精霊神様......」

アイリスの腕の中で精霊神は息を引き取った。

 

精霊神を失った精霊の国は悲しみに包まれた。

 

その数日後。

精霊神の葬儀が行われた。

天上界からも神々が参列した。

アイリスは次期精霊神として神殿に住むことになった。

 

「きみがつぎの精霊神か」

アイリスは声をかけられて振り返る。

そこには青いロングヘアの少女がいた。

「ぼくはイブ。女神見習いだ、よろしく」

イブと名乗った少女はニコッと笑った。

イブとアイリスは、後にエルドランド大陸を創造することになる。

 

 

 

 

深淵の国に追放されたメルティナは、堕ちた妖精"ダークフェアリー"となり、後に三司祭の一人としてフィーネたちの前に現れることになるのである。

 

好きなキャラクターは?

  • フィーネ
  • リリィ
  • モック
  • ドンキー
  • イブ
  • ゴブロー
  • オルガ
  • スザク
  • ホウオウ
  • ハク
  • アイリス
  • エリーゼ
  • ミカエル
  • ゲンブ
  • ビャッコ
  • フウジン
  • ライジン
  • バロール
  • アズラエル
  • メルティナ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。