転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい! 作:daisukenote3397
ここは今から数千年前の精霊の国。
メルティナの妹セルティナは微睡の中にいた。
「お姉ちゃん、そっちは危ないよ」
「大丈夫よセルティナ、ついてきて」
セルティナはメルティナの華奢な手をぎゅっと掴む。
「お姉ちゃん、待って!」
そこでセルティナはハッと目覚めた。
目覚めると、そこはツリーハウスの寝室。
窓から差し込む朝の陽射しが痛い。
セルティナは重い心と体を何とか起こす。気力を振り絞って身支度を整え、重い足取りで広場に向かった。
広場にはすでに沢山の妖精たちが集まっている。
あちらこちらからすすり泣きの声が。
広場の中央には色とりどりの美しい花に囲まれた精霊神様が静かに眠っていた。
数日前、セルティナの姉であるメルティナは突然、精霊神様をナイフで刺し殺してしまった。
メルティナはその報いを受け、深淵の国に堕ちた。
知らせを聞いたセルティナは信じられない気持ちだった。
「あたしは精霊神になる!」と笑っていた姉が、そんな酷いことをするなんて。
周りの妖精たちが自分を見てひそひそと話をしている。
「お姉さんが、あんなことをしたのによく来れたもんだな」
「姉が姉なら妹も妹だ」
「精霊神様もきっとお怒りだ」
……耳を塞ぎたくなるような罵詈雑言がセルティナを責める。
「セルティナ!」
急に声をかけられて振り向くと、そこには姉の友人であるアイリスがいた。
「アイリス……私……帰るわ」
セルティナが帰ろうとするのをアイリスは腕を掴んで止めた。
「待って!セルティナ、あなたは悪くない」
「お姉さんの罪は私の罪でもあるわ。お願い離して」
「なら、精霊神様をちゃんとお見送りして」
アイリスに言われてセルティナはその場に残った。
精霊神の葬儀は滞りなく進み、最後にその棺は空高く舞い上がっていった。
精霊神は天に還ったのである。
誰も居なくなった広場にアイリス、セルティナ、イブの3人が残った。
セルティナが言う。
「姉さんの罪は私の罪でもあります。女神イブ様、私にも罰を与えてください」
「何を言っているの、セルティナ。あなたは悪くない」
アイリスがセルティナを真っ直ぐに見ながら言う。
「私は......姉さんを止めることが出来なかった。私を罰することが出来ないならば、私は自ら死を選びます。」
セルティナは隠し持っていたナイフを自分の首筋に当てた。
「やめて!セルティナ!」
アイリスが叫ぶ。
「私は本気です。どうか私に罰をお与えください」
セルティナの首から血が流れる。
「……わかりました。セルティナ。あなたに罰を与えます」
アイリスが言うと、イブが歩み出る。
「いいんだな?セルティナ」
イブが真剣な顔で言う。
「女神イブ様、お願いします」
セルティナは目を閉じた。
イブは一瞬躊躇したが、セルティナに向かって両手を伸ばす。
「大いなる神よ、この者に罰を与えたまえ!リインカネーション!!」
イブの両手から稲妻のような光がセルティナに向かって行き、セルティナは光に包まれた。そして、光の粒になり、消えた。
「セルティナ、そなたには罰として99回の転生を命じる」
イブはつぶやいた。
「セルティナ……また、どこかで会いましょう」
アイリスは涙を浮かべて言った。
こうして、メルティナの妹セルティナは、姉と共に罰を受け、永い永い転生の労苦を味わうことになるのである。
99回目の転生でエルフのフィーネとなって再会することを、この時のアイリスは知らない。
現在。ウエスの森の丸太小屋。
女神イブは、考え事をしていた。
(セルティナの魂とメルティナの残滓が引き合ったと言うのか......)
ウエス城に向かう準備も終わり、あとは出発を待つだけだ。
「どうしたの?イブ。珍しく真面目な顔して」
リリィが話しかける。
「ぼくだってたまには考え事くらいする」
イブが言う。
「ねえ、フィーネを99回転生させたのは、イブなんでしょ?」
「そうだ」
「フィーネって転生する前の最初って、どんな人だったの?」
リリィは時々鋭いことを聞いてくる。
「知ってるが教えない」
「えー!? ケチっ!」
「世の中には知らない方が良いこともある」
「なんか引っかかるなぁ。まぁ、いいか。もうすぐ出発するって」
「わかった、すぐに行く」
リリィは、走り去っていった。
(リリィ、あの子は勘がいいな)
イブは、立ち上がり皆んなの所に向かった。
(アイリスもいずれ気付くだろう。どうしたものか......)
イブはまた考え込んでしまった。
「皆んな!馬車の用意が出来たから乗ってくれ!」
オルガが手綱を持って言う。
留守番のモックとドンキー以外、全員が馬車に乗り込んだ。
「さぁ、ウエスの城に向けて出発だ!」
「いってらっしゃいキー!」
「気をつけるキキー!」
「行ってきます!モック!ドンキー!」
リリィが叫ぶ。
あっという間に丸太小屋は小さくなり、森の木々の間を猛スピードで馬車が駆け抜けていく。
のんびりを守る為の旅がついに幕を開けたのであった。
(探して......)
フィーネの頭の中にあの声が響く。その声は悲しげに聴こえた。
好きなキャラクターは?
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フィーネ
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リリィ
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モック
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ドンキー
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イブ
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オルガ
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スザク
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