転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第16話

 

ここは三司祭バロールの精神世界。

 

 

2人の野原百合と統合をしたリリィは、荒野を一人歩き続けていた。

「はぁ、はぁ……この荒野はどこまで続いてるんだろう? フィーネ! 何処にいるの?」

叫んでも返事は返ってこない。リリィはついに力尽き倒れてしまった。

「フィーネ……」

意識が遠のいていく。

 

 

 

 

一方そのころ、ハンスの幻と決別したフィーネも一人荒野を歩いていた。

「リリィ! 何処にいるの? 返事をして!」

リリィの声は聞こえない。

「のどが渇いた……もう、限界よ……」

フィーネが倒れかけたその時、遠くに人影のようなものが見えた。

「あれは? まさかリリィ?」

フィーネは力を振り絞って足を動かす。

「リリィ!」

呼びかけるが、人影は動かない。ようやく近くまで来ると、赤い髪の少女。リリィだった。

 

「リリィ! 大丈夫! 起きて!」

フィーネはリリィを抱き起す。するとリリィの意識が戻った。

「フィ、フィーネ……良かった……」

フィーネはリリィを抱いて歩こうとするが足が進まない。二人とも体力が限界だった。

「こんなところで死ぬわけにはいかない……!」

フィーネがあたりを見回すと緑に囲まれたオアシスを見つけた。

「あそこまでたどり着けば……!」

必死の思いでフィーネはリリィを抱えてオアシスまでたどり着いた。リリィに水を飲ませると、フィーネは力尽き、意識を失った。

 

 

 

 

ノーザリアの雪原。

 

イブ、アイリス、ミカの三人はバロールと対峙していた。

「魔法は効かない。直接攻撃も効果なし。どうしたらいいんだ?」

イブがつぶやく。

「とにかくやるしかなかろう? もう一度じゃ!」

ミカがバロールに向かって行こうとしたその時。

「待ってください!」

アイリスが叫んだ。ミカが慌てて立ち止まる。

「なんじゃ?」

ミカとイブがアイリスを見て近づく。

「わたくしに考えがあります。イブ、ミカ、二人で同時に魔法を放つのです。光と闇の魔法を合わせればバロールに効くかもしれません。」

「わかった。やってみよう」

イブはうなづいた。ミカもうなづく。

「イブとミカ同時に魔法を放ってください。バロールが倒れてもトドメを刺してはいけません。フィーネとリリィが精神世界から脱出するまで待つのです。」

アイリスが言うと、イブとミカは視線を交わして、バロールを挟み込むような位置についた。

 

「何をするつもりか知らぬが、俺には効かんぞ」

バロールは余裕の表情を浮かべている。

「ライトニングアロー!」

「ダークネスアロー!」

イブとミカは同時に魔法を放った。バロールの身体を直撃する。

「ぐぬうぉー!!」

バロールは必死に耐えているが苦しそうだ。バロールの全身が赤く光りだす。

「もう少しですわ!」

アイリスが叫ぶ。

「フィーネ! リリィ! 聞こえますか! 二人で力を合わせて精神世界から脱出するのです!」

 

 

 

 

バロールの精神世界。

「う、う……ん」

リリィが目を覚ます。

(……二人で力を合わせて精神世界から脱出するのです!)

「今のは……? アイリス!」

リリィは隣で倒れているフィーネの身体をゆする。

「フィーネ! 起きて! ここから出よう!」

フィーネの意識は戻らない。

「フィーネ! お願い! 起きて!」

リリィがフィーネの手を握る。と、何か温かい感触があって、フィーネが目を覚ました。

「う、ん。リリィ。良かった。無事ね」

「フィーネ! 良かった。」

リリィはフィーネに抱きついた。

(フィーネ、リリィ、二人の力を合わせて脱出するのです。)

頭の中に声が聞こえた。

「今のは……アイリスね。力を合わせる……どうしたら良いのかしら?」

フィーネは考え込む。すると、空から一筋の光が射してきた。それは次第に空を切り裂くように一本の線になり、文字通り空が割れた。

「すごい……」

リリィは思わず見惚れる。フィーネはリリィの手を引いて立ち上がった。

「リリィ、二人の魔法を合わせて、空に向かって撃つのよ」

フィーネが言う。

「わかったわ、フィーネ」

リリィはフィーネの手を握る。

「フィーネ、行くわよ。」

フィーネは左手を、リリィは右手を上げる。

「ライトニングアロー!」

二人の手から放たれた2本の光の矢が一つになり、空に突き刺さる。

「頑張って! リリィ!」

「フィーネ!」

空の割れ目が広がっていく……

 

 

 

ノーザリアの雪原。

 

「行け―!」

イブとミカは魔法を放ち続けている。バロールの身体が熱せられるように赤くなり地割れのような亀裂が走る。そして、その亀裂から光が溢れ出す。

「うおー!私は負けるのか……ゲンブ! 地獄で会おう!」

バロールがそういうと、まばゆい光と共に爆発した。

「やった……のか?」

ミカがつぶやく。

「フィーネとリリィは?」

ミカが目を凝らすが雪煙と土煙でなかなか見えない。しばらくして、バロールのいた場所に二人の人影が現れた。

 

「フィーネさん! リリィさん! 良かったですわ!」

アイリスが真っ先に飛んでいく。

そこには、フィーネとリリィの二人が手をつないで立っていた。

戦いを離れて見ていたオルガたちも駆け寄る。

「ここは……? みんな!」

リリィが叫ぶ。

「リリィ! 良かったにゃー!」

エリーゼがリリィに抱きつく。

「フィーネ!」

オルガがフィーネを抱きしめる。

「イブとミカのお陰だな!」

ゴブローが二人の肩をたたく。イブとミカはがっつりと握手をしたがすぐに話してしまった。

「あれは?」

スザクが空中を指さす。そこに黒い裂け目が現れ、中から少女が現れた。

「メルティナ!」

ホウオウが叫ぶ。

「あーあ、あたしのおもちゃが無くなっちゃった。きゃはは、でもまだおもちゃはあるから、また、遊びましょ! じゃあね!」

そういうと、メルティナは消えた。

「メルティナ……人の命を弄ぶなんて、許せない」

フィーネは怒りを込めてつぶやいた。

 

その後、壊滅的な打撃を受けたノーザリアとイストリアは軍を引き上げ、和平協定を結んだ。

フィーネたちは丸太小屋への帰路についた。

 

しかし、世界はフィーネたちを放っておいてはくれない。新たな戦いの火種が燻っていたのである。

 

 

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