転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第19話

 

ここは、エルドランド城。

「国王陛下! 朗報でございます!」

大臣が国王の寝室に慌てて入ってきた。

「どうした? 大臣」

「国王陛下、良い知らせでございます」

大臣は興奮している。

「とりあえず落ち着け。大臣」

「はっ! し、失礼しました」

国王に言われて、大臣は我を取り戻した。

「リリィ様が! 王女様が見つかりました!」

「何と! リリィが!」

国王は咳き込む。

「まもなく、城に到着されます。」

「分かった。ありがとう、大臣」

大臣は、慌ただしく部屋を出ていった。

「リリィ......やっと会えるな」

国王は涙を流した。

 

 

 

 

馬車は城門をくぐり城下町へと入って行く。

「ここがエルドランド......」

リリィは窓から街並みを眺めた。整然とした美しい建物、綺麗に整備された道路。行き交う人々は活気に溢れている。

馬車は、真っ直ぐにエルドランド城に向かった。

「これが、お城ね」

リリィの目の前に美しい真っ白な城が佇んでいる。

馬車が停まった。

「リリィ様が到着されました!」

警備の兵士が整列している。

馬車の扉が開き、出迎えの従者に促され、リリィは馬車を降りた。

「すごい......!」

築数百年以上の歴史を持つエルドランド城。その歴史を感じさせる重厚な建造物。リリィはその存在感に圧倒された。

「こちらです。リリィ様」

従者に先導され、部屋に通された。

長テーブルに椅子が整然と並んでいる。

「おかけ下さい。お疲れでしょう、お茶をご用意します」

「あ、ありがとうございます」

リリィは言われるままに椅子に座る。しばらくしてお茶とお茶菓子が出された。

リリィは一口、紅茶を飲む。

(......美味しい!)

疲れていたリリィは、お茶菓子に手を伸ばした。

(これも、美味しい!)

次々に手を伸ばす。

「リリィ様」

背後から声をかけられて

「ごめんなさい!」

思わず謝ってしまった。

 

「リリィ様、お着替えを用意してあります」

従者に促され別室に向かう。

そこには綺麗な赤いドレスが用意してあった。

「リリィ様、これにお着替え下さい」

女性の従者が数人、リリィの前に並びお辞儀をする。

リリィは言われるままにドレスに着替えた。

鏡を見ると、そこには真っ赤なドレスを着ている自分の姿が映る。

(綺麗......)

見違えた自分の姿に、釘付けになった。自分の姿に高貴さの片鱗を感じる。

「リリィ様、お似合いでございます」

従者の一人が言う。

「では、別室でお待ち下さい」

リリィは、元いた部屋で待たされた。

 

 

 

 

数分後。

「リリィ様、これから国王陛下とご面会していただきます」

「お父さんと?」

リリィは、物心ついた時から母親と二人暮らしだった。父親に会ったことは無い。毎月決まった日に男の人がお金を持って来る。そのお金で生活をしていた。

 

(百合......!)

リリィの頭に百合の父親の声がする。

「こんな時に、やめて。」

(百合!すまなかった、許してくれ)

「今は、やめて!」

百合の父親の幻聴は消えた。

 

「リリィ様、どうされました?」

「何でも無いです」

リリィは首を振って前を見た。

「こちらです」

扉の前で足が止まった。

従者が扉を開ける。

部屋の中に入ると、立派なベッドが見えた。

初老の男性がベッドに横たわっている。

「あれが、お父さん......」

リリィがつぶやく。

「国王陛下、リリィ様をお連れしました」

従者が言う。

ベッドに横たわる男性が体を起こし、こちらを見た。

「分かった。ご苦労。二人だけにしてくれるか?」

「畏まりました」

従者は部屋を出て行く。

 

部屋にはリリィと国王だけが残された。

 

リリィは恐る恐るベッドに近づく。

 

「獲って喰ったりはしないよ。リリィ、さあこちらへ」

国王は優しくリリィに話しかける。表向きの威厳のある国王ではなく、父親の顔になっていた。

「お......お父さん......」

リリィの目に涙が浮かぶ。

「リリィ......」

国王の目にも涙が光る。

そして、リリィは国王に抱きついた。

「お父さん!」

「リリィ、すまなかった。私は......」

国王の声が詰まる。

「お父さん、会いたかった......」

リリィの涙が止まらない。

 

「リリィ、お母さんは、"ローズ"は元気なのか?」

国王の言葉に、リリィの顔が曇る。

「お母さんは......死にました」

国王は驚いて絶句する。

「......そうか、ローズには悪いことをした。せめて最後に会って謝りたかった」

「お母さんは、人買い集団に襲われて殺されたの。私だけが助かった」

リリィはうつむいた。

「リリィにも苦労をかけた。今更、父親ヅラをするなと言われても仕方ない。だが、どうか私の願いを聞いて欲しい」

国王は、リリィの手を握った。

「お父さん......」

「リリィ、私はもう長くない。私の後を継いでくれ。」

「私......考えさせて、少し」

「わかった。リリィ」

 

その日からリリィは、エルドランド城で暮らすことになった。

次期女王としての教育も始まる。

リリィの人生が大きく変わっていく。

 

 

 

 

夜空には流れ星が流れる。

 

リリィとフィーネ。運命は二人に試練を与えようとしていた。

 

 

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