転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない 作:daisukenote3397
ここは、エルドランド城。
「国王陛下! 朗報でございます!」
大臣が国王の寝室に慌てて入ってきた。
「どうした? 大臣」
「国王陛下、良い知らせでございます」
大臣は興奮している。
「とりあえず落ち着け。大臣」
「はっ! し、失礼しました」
国王に言われて、大臣は我を取り戻した。
「リリィ様が! 王女様が見つかりました!」
「何と! リリィが!」
国王は咳き込む。
「まもなく、城に到着されます。」
「分かった。ありがとう、大臣」
大臣は、慌ただしく部屋を出ていった。
「リリィ......やっと会えるな」
国王は涙を流した。
馬車は城門をくぐり城下町へと入って行く。
「ここがエルドランド......」
リリィは窓から街並みを眺めた。整然とした美しい建物、綺麗に整備された道路。行き交う人々は活気に溢れている。
馬車は、真っ直ぐにエルドランド城に向かった。
「これが、お城ね」
リリィの目の前に美しい真っ白な城が佇んでいる。
馬車が停まった。
「リリィ様が到着されました!」
警備の兵士が整列している。
馬車の扉が開き、出迎えの従者に促され、リリィは馬車を降りた。
「すごい......!」
築数百年以上の歴史を持つエルドランド城。その歴史を感じさせる重厚な建造物。リリィはその存在感に圧倒された。
「こちらです。リリィ様」
従者に先導され、部屋に通された。
長テーブルに椅子が整然と並んでいる。
「おかけ下さい。お疲れでしょう、お茶をご用意します」
「あ、ありがとうございます」
リリィは言われるままに椅子に座る。しばらくしてお茶とお茶菓子が出された。
リリィは一口、紅茶を飲む。
(......美味しい!)
疲れていたリリィは、お茶菓子に手を伸ばした。
(これも、美味しい!)
次々に手を伸ばす。
「リリィ様」
背後から声をかけられて
「ごめんなさい!」
思わず謝ってしまった。
「リリィ様、お着替えを用意してあります」
従者に促され別室に向かう。
そこには綺麗な赤いドレスが用意してあった。
「リリィ様、これにお着替え下さい」
女性の従者が数人、リリィの前に並びお辞儀をする。
リリィは言われるままにドレスに着替えた。
鏡を見ると、そこには真っ赤なドレスを着ている自分の姿が映る。
(綺麗......)
見違えた自分の姿に、釘付けになった。自分の姿に高貴さの片鱗を感じる。
「リリィ様、お似合いでございます」
従者の一人が言う。
「では、別室でお待ち下さい」
リリィは、元いた部屋で待たされた。
数分後。
「リリィ様、これから国王陛下とご面会していただきます」
「お父さんと?」
リリィは、物心ついた時から母親と二人暮らしだった。父親に会ったことは無い。毎月決まった日に男の人がお金を持って来る。そのお金で生活をしていた。
(百合......!)
リリィの頭に百合の父親の声がする。
「こんな時に、やめて。」
(百合!すまなかった、許してくれ)
「今は、やめて!」
百合の父親の幻聴は消えた。
「リリィ様、どうされました?」
「何でも無いです」
リリィは首を振って前を見た。
「こちらです」
扉の前で足が止まった。
従者が扉を開ける。
部屋の中に入ると、立派なベッドが見えた。
初老の男性がベッドに横たわっている。
「あれが、お父さん......」
リリィがつぶやく。
「国王陛下、リリィ様をお連れしました」
従者が言う。
ベッドに横たわる男性が体を起こし、こちらを見た。
「分かった。ご苦労。二人だけにしてくれるか?」
「畏まりました」
従者は部屋を出て行く。
部屋にはリリィと国王だけが残された。
リリィは恐る恐るベッドに近づく。
「獲って喰ったりはしないよ。リリィ、さあこちらへ」
国王は優しくリリィに話しかける。表向きの威厳のある国王ではなく、父親の顔になっていた。
「お......お父さん......」
リリィの目に涙が浮かぶ。
「リリィ......」
国王の目にも涙が光る。
そして、リリィは国王に抱きついた。
「お父さん!」
「リリィ、すまなかった。私は......」
国王の声が詰まる。
「お父さん、会いたかった......」
リリィの涙が止まらない。
「リリィ、お母さんは、"ローズ"は元気なのか?」
国王の言葉に、リリィの顔が曇る。
「お母さんは......死にました」
国王は驚いて絶句する。
「......そうか、ローズには悪いことをした。せめて最後に会って謝りたかった」
「お母さんは、人買い集団に襲われて殺されたの。私だけが助かった」
リリィはうつむいた。
「リリィにも苦労をかけた。今更、父親ヅラをするなと言われても仕方ない。だが、どうか私の願いを聞いて欲しい」
国王は、リリィの手を握った。
「お父さん......」
「リリィ、私はもう長くない。私の後を継いでくれ。」
「私......考えさせて、少し」
「わかった。リリィ」
その日からリリィは、エルドランド城で暮らすことになった。
次期女王としての教育も始まる。
リリィの人生が大きく変わっていく。
夜空には流れ星が流れる。
リリィとフィーネ。運命は二人に試練を与えようとしていた。
好きなキャラクターは?
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