転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第20話

 

ここはエルドランド城。

 

「リリィ様。私は教育係のメリッサと申します。リリィ様には王女としての心構えや礼儀作法などを身に付けて頂きます」

メリッサはリリィの顔をジッと見ながら話した。

「......礼儀作法......」

リリィはつぶやいた。これからの生活を思うと気が重くなるが、自分で決めた道だ。

 

その日から、朝から晩までリリィへの礼儀作法や必要な知識の教育が始まった。

「王女ってこんなに大変なの?」

リリィはため息をついた。

 

一日が終わると寝室のベッドに倒れ込み泥のように眠る。

(百合......! 百合! 許してくれ!)

「また......お父さん。私はあなたを許さない」

リリィの目の前には、スーツ姿の男。リリィの前世"百合"の父親だ。

(百合、父さんが悪かった。お前の話を聞いてやれなかった。すまない)

「私は、お父さんに話を聞いて欲しかった。それだけで良かったのに......」

(百合、何を話したい? お父さんで良ければ聞くぞ)

百合の父親は、リリィの手を握る。

「お父さん、私、王女をちゃんとやれるかな? 不安なの」

リリィは涙を浮かべる。

(百合、君は強い子だ。なんと言っても、お父さんの娘だからね。ちゃんとやれるさ)

「ありがとう、お父さん。百合だった時にもっと話したかった......」

リリィは、百合の父親に抱きついた。

(百合、君はもう大丈夫だ......)

百合の父親の姿が薄くなっていく。

「お父さん!」

百合の父親はリリィの頭を撫でて、そのまま消えた。

「ありがとう、お父さん。私、頑張るよ」

リリィは、そのまま眠りについた。

 

翌日から、リリィは以前よりも真剣に王女教育を受けるようになった。

「リリィ様、最近の上達ぶりは素晴らしいです」

「ありがとう、メリッサ」

「あまり無理はなさらぬよう」

「わかったわ」

教育係のメリッサも目を見張るほどの覚えの速さだった。

 

 

 

ある日。

大臣の執務室。

 

「大臣! ご報告がございます!」

兵士が慌てて部屋に入って来る。

「どうした?」

「魔王城の跡地の辺りで不穏な動きが確認されました」

「不穏な動き?」

大臣の眉がピクリと反応した。

「魔物の数が異常に増えています。魔王城から光が見えたと言う情報もあります。」

「わかった。引き続き調査を頼む」

「はいっ!」

兵士は出ていった。大臣は腕組みして考え込む。

「魔物か......ノーザリアとイストリアの戦争の件といい、物騒だな」

 

 

 

 

魔王城の廃墟。

その奥の部屋に蠢く影があった。

「間も無くだ......時が来る」

白い仮面を付けた人物。三司祭の一人アズラエルだ。

突然、魔法陣が現れ、その中心から黒いモヤが現れた。そのモヤが人の形になりハッキリとしてきた。三司祭の一人メルティナだった。

「きゃは!アズラエル、準備はどんな感じ?」

「順調だ」

アズラエルはメルティナの方は見ずに答える。

「バロールみたいな失敗しちゃダメだよ、アズラエル」

「分かっている」

アズラエルの仮面から覗く目が鋭く光った。

「きゃはは! 期待してるよ! じゃあね。」

メルティナは消えた。

 

「準備を急ごう」

その時、アズラエルの頭の中にまた、あの映像が現れた。

和やかな田園風景が突然、火の海に変わる。目の前には背を向けた一人の女性。こちらを振り向くがその顔は分からない。

「......大好きだよ」

アズラエルは頭を振る。

「まただ、何なんだ一体......」

仮面の中の瞳は潤んでいた。

 

 

 

 

ウエスの森の丸太小屋。

リリィのいない丸太小屋は、一見いつもと変わらない。が、どことなく沈んでいた。

「待つキー!」

「待つキキー!」

「にゃー!(猫)」

モック、ドンキー、エリーゼが追いかけっこをしている。

「今日も平和ね」

フィーネはロッキングチェアに座って紅茶を飲んでいる。

「フィーネ、大丈夫か?」

イブが訊ねる。

「大丈夫って、何が?」

「元気がないように見えるぞ」

イブに言われてフィーネは、笑顔を作る。

「無理するな、フィーネ。話なら聞くぞ」

イブに言われて、フィーネの目に涙が浮かぶ。

「リリィはエルドランドに行けば幸せになれる。そう思ってた。でも、分からないの、本当に良かったのか......」

イブは黙って聞いている。

「リリィは自分で行くと決めた。私はそれを尊重した。でも、今でも迷ってる」

フィーネは必死に涙を我慢している。

「フィーネ......君は間違ってない。リリィのためにはこれで良かったんだ」

イブはフィーネの肩を抱く。

「リリィは、いい王女になれるかしら?」

「なれるさ。あの子は強い」

「イブ......私......」

ついにフィーネは泣き出した。

イブはフィーネを抱きしめることしか出来なかった。

 

「私がエルドランドのリリィのところに行くにゃ!」

エリーゼが突然言い出す。

「エリーゼが? 危険よ、何があるか分からないわ」

フィーネがつぶやく。

「私とスザクが調べに行くよ」

ホウオウが言う。

「いいんじゃないか?リリィの様子も分かるし、エルドランドの内情も分かる」

ミカエルが言う。

「ホウオウ、スザク、頼んでいいか?」

オルガが二人を見て言う。

「任せて、オルガ、フィーネ」

スザクが言った。

 

 

こうして、ホウオウとスザクの二人はエルドランドに向かった。

 

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