転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない 作:daisukenote3397
ここはエルドランド城。
「どこの馬の骨か分からない娘に王位は継がせない......!」
その人物は、苦々しく言い放った。
「早く何とかしなければ」
そう言い残して、部屋を足早に出ていった。
その頃。
リリィは食事をしていた。
(えっと......スープは啜らず、音を立てずに飲む......食器をカタカタ言わせない......)
緊張の面持ちで食事をこなしている。
すると、
「もう嫌! こんなんじゃ、味も分からないよ!」
リリィは椅子の背もたれに寄りかかった。
「リリィ様、はしたないですよ」
メリッサが嗜める。
「食事くらい好きなように食べたいよ!」
「リリィ様、食事のマナーは王族の基本です」
「分かってるわよ」
リリィは席を立った。
「リリィ様!」
メリッサはリリィを止めようとするが、そのまま部屋を出て行ってしまった。
「もう、嫌!こんな窮屈な生活」
リリィは寝室のドアの鍵を閉めて、ベッドに潜り込んだ。
「......丸太小屋に帰りたい......」
リリィは枕に顔を埋めて泣いた。
「リリィ様! ドアを開けてください!」
メリッサがリリィの寝室のドアの前で叫ぶが応答が無い。
その様子をスザクとホウオウも見ていた。
「リリィはまだ子供よ。無理もないわ」
ホウオウがつぶやく。
「私たちが力になれれば良いんだけれど......」
スザクはうつむいて言った。
リリィは、泣き疲れて眠ってしまった。
それを窓の外から覗く怪しい影が......
バリンッ!
窓ガラスが割られて、何かが投げ込まれた。
その黒い球のようなものは、弾けて煙が吹き出す。
リリィは、まだ異変に気づかない。
「うーん......苦しい......」
リリィは息苦しさで目を覚ました。
「な、何? これは!」
慌ててベッドから起き上がり、ドアの鍵を開けて外に出ようとするが
鍵が壊れていて開かない。
「開かない......! 誰か! 助けて!」
部屋の中は煙が充満している。
息が苦しい。リリィは、必死にドアを叩いた。
「だ、だ、れ、か......」
リリィは意識を失ってしまった。
その時。
ドカンッ!
ドアを蹴破る音。そして、
「リリィ! 大丈夫か!」
スザクがリリィの身体を抱え、ホウオウが窓を開ける。
廊下にリリィを寝かせると、リリィは息を吹き返した。
「ゲホッ、ゲホッ! ハァ、ハァ」
リリィは真っ青な顔をしている。
「リリィ! 良かった!」
「スザク......ありがとう......」
「リリィ様! 何があったのです!」
メリッサが駆けつける。
「どうやら、外から何者かがリリィ様のお命を狙ったようです」
ホウオウがメリッサに言う。
「リリィ様の命を......なんて事でしょう」
メリッサはショックを受けている。
「犯人は、内部の者かも知れません」
ホウオウが慎重に言葉を選んで言う。
「この城の中に犯人がいると言うのですか!」
メリッサが声を荒らげる。
「この事は、内密に。私たちだけで収めましょう」
ホウオウの提案にスザクとメリッサはうなづいた。
「では、ホウオウ、スザク。この件はあなたたちに任せます。頼みましたよ」
「畏まりました」
メリッサは、その場を離れた。
ホウオウとスザクは、別室にリリィを寝かせて側に付き添った。
「......くそっ。失敗したか。あの召使いは何者だ......!」
謎の影が、その様子を見て立ち去った。
数日後。
すっかり身体も回復したリリィは、勉強を再開していた。
スザクとホウオウはリリィが狙われた一件からメリッサの補佐としてリリィの身の回りの世話係になっている。
「疲れたー......」
リリィは机に突っ伏した。
「では、休憩しましょう」
メリッサが言うと、ホウオウとスザクは紅茶とお茶菓子を持ってくる。
「リリィ、お疲れさま」
ホウオウは小声で言った。
スザクとホウオウの捜査は暗礁に乗り上げていた。犯人に繋がる手掛かりは無く時間だけが過ぎていく。
そんなある日。
リリィは城内を散歩していた。
ガチャンッ!
リリィの背後で音がした。植木鉢が割れている。どうやら上から落ちてきたようだ。
「姉さん! あれ!」
スザクが声を上げる。人影が動いた。
「捕まえる!」
ホウオウが影を追って走り出す。
「待ちなさい!」
階段を駆け上がり、影の後ろ姿を捉えた。
ホウオウは行き止まりに追い詰める。
「もう逃げられないわよ。覚悟しなさい」
追い詰められたのは、召使いの女性。
「わ、わたしは何もやってません!」
犯人は、怯えている。
「では、何故逃げるの? 正直に言えば罪には問わないわ」
ホウオウは優しく言う。
「姉さん。彼女が犯人ね」
スザクがやって来た。犯人は観念したのか、自分から話し出した。
「申し訳ございません。リリィ様に植木鉢を落としたのはわたしです。」
「何故そんなことをしたの?」
スザクが訊ねる。
「あ、ある方に......頼まれたのです」
犯人がうつむく。
「ある方? 誰なの?」
スザクが問い詰める。
「その方は、副......うっ!」
犯人の左胸に矢が突き刺さる。
「なっ!?」
スザクとホウオウが周囲を見回すが、何者も見つからない。
植木鉢を落とした犯人は、そのまま息を引き取った。
リリィを狙う黒幕は誰なのか?
スザクとホウオウの捜査は続く。
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