転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第23話

 

ここはエルドランド城。

 

「大臣殿。魔王城遺跡周辺の動きが慌ただしくなっているようです。魔物がエルドランドに攻め寄せて来るのも時間の問題......」

男は、大臣に向かって必死に話している。

「我が軍の準備は進んでいる。心配はない」

大臣は答える。

「国王陛下は病に倒れられています。この状況では、軍の士気も上がりません」

男が続けて話す。

「万が一の時にはリリィ様がいる。大丈夫だ」

大臣が言うと、

「あの小娘......失礼。王女様には荷が重いかと......」

男の本音が漏れる。

「私が全力でお支えする。問題無い」

大臣は言い切った。

「承知しました。失礼します」

男ー副大臣ーは、大臣の執務室を後にした。苦々しく歯軋りをしている。

 

「計画を速めなければ......」

副大臣は立ち去った。

 

 

 

 

副大臣の部屋。

椅子に座り腕組みしている。

「あの方にご報告せねば......」

副大臣の目の前に魔法陣が現れる。

その中央から現れたのは、アズラエル。

白い仮面の男は、副大臣に鋭い目つきで話し出す。

「計画の進捗は?」

「じ、順調でございます。アズラエル様」

「速くリリィを連れて来い」

「分かっております。今しばらくお時間を......」

「間も無くエルフとその家族が来る。急ぐのだ」

「......畏まりました」

アズラエルは音も無く消えた。

副大臣の顔には焦りの色が見える。

 

 

 

 

同じ頃。

国王の容体が急変した。

知らせを受けたリリィが、国王の寝室に駆けつける。

「お父さん!」

リリィの呼び掛けに国王は優しい笑顔を向ける。

「リリィ。私はもう長くは無い。あの時の返事を聞かせてくれぬか?」

リリィの顔が覚悟の表情に変わった。

「お父さん、私、あれからいっぱい考えたの......それでね。決めた。」

リリィは国王の手を握る。

「私、女王になる。」

リリィはまっすぐに国王を見つめる。

「そうか、リリィ、我が娘よ。ありがとう」

国王はリリィを抱きしめた。

「お前には父親らしい事が何も出来なかった。しかも一度はお前を捨てた。許してくれ」

国王の目に涙が浮かぶ。

「お父さん、私、もう憎んで無い」

「ありがとう。リリィ」

国王の目から涙が溢れた。

「ローズ......許してくれ」

国王はそう言うと意識を失った。

「お父さん!」

リリィは国王から引き離され、代わりに医者が容体を確認する。

「国王陛下は、かなり衰弱されています。恐らくは今夜がヤマかと......」

「そんな......!」

リリィは、国王の側にずっと付き添った。

 

 

 

 

翌朝。

国王の手を握っていたリリィが話しかける。

「お父さん。私を呼んでくれて、ありがとう。最後に沢山お話しできて嬉しかったよ」

国王の返事は無い。しかし、目から一筋の涙が溢れた。そして、国王は、そのまま息を引き取った。

 

 

エルドランド国王崩御、リリィ女王即位の知らせは、すぐに世界中を駆け巡った。

 

 

 

 

その頃。

フィーネたち一行がエルドランドの城下町に到着した。

「エルドランド......大きな街だな」

オルガが言う。

「流石、世界一の街だ。人も物も多いな」

ゴブローが周りを見回す。

「まさか、また戻って来るとは思わなかったな」

ミカエルがつぶやく。

「新女王の即位と戦争準備で城は大混乱らしいぞ」

イブが言う。

「リリィ、大丈夫かにゃ?」

エリーゼが心配そうに言う。

「リリィなら、きっと上手くやってるさ」

ハクが腕組みしながら言う。

 

馬車は大通りを抜け、城に向かった。

 

フィーネたちは城に着くと、早速、王の間に通された。

 

「女王陛下、フィーネとその家族。ただいま参りました」

フィーネたちは一斉に頭を下げる。

「フィーネ。堅苦しいのは抜きで、いつも通りでいいよ」

玉座に座るリリィが立ち上がりフィーネに近づいていく。

「フィーネ、会いたかった!」

リリィがフィーネに抱きつく。

フィーネはリリィの頭を撫でた。

「立派になったね。リリィ」

「ありがとう、フィーネ」

他の家族とも言葉を交わし、玉座に戻る。

「ここからは私からお話しします」

大臣が話始める。

「魔王城の跡地に魔物が集結しています。それを指揮するのは三司祭の一人アズラエル。」

「アズラエル......!」

フィーネがつぶやく。

「アズラエルの要求は、リリィ女王とフィーネ殿の身柄の引き渡しです」

「リリィとフィーネを渡せって言うのか?ふざけるな」

ゴブローがいきり立つ。

「そして、城の中にもリリィ様を狙う輩がいるようです」

「城内にも敵が......?」

エリーゼが言う。

「皆様には、城を自由に出入り出来る許可を与えます。どうか、女王陛下をお守りください」

大臣が頭を下げた。

「分かりました。全力で女王陛下をお守りします」

フィーネが言う。

「よろしくお願い致します」

大臣は深々と頭を下げた。

 

「フィーネ、気をつけて」

リリィが真剣な顔でフィーネに言った。

 

 

 

 

魔王城跡地。

「エルフがエルドランドに着いたか。役者は揃ったな」

アズラエルがつぶやく。

頭の中に、振り返る少女の幻覚が過ぎる。

「リリィ、フィーネ。必ず手に入れる。待っていろ」

 

アズラエルの瞳は狂気と悲しみを帯びていた。

 

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