転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第24話

 

ここはエルドランド城。

 

リリィの警護を依頼されたフィーネたちは、エルドランド城内を手分けして巡回していた。

 

「城って王様の家なんだよな。リリィはこんな大きな家に住んで迷子にならないのか?」

ハクが周りをキョロキョロしながら歩く。

「こんなの普通ですにゃ。王様は必要のないところには行かないから、迷いませんにゃ」

エリーゼが答える。

「何も起きなくて暇だな」

ハクが欠伸をする。

「ちゃんと見廻りするですにゃ」

エリーゼがハクを嗜める。

 

 

オルガとミカエルは城の庭を見廻っていた。

「懐かしいのう。昔と変わってないな」

ミカエルが話しながら歩く。

「ミカエルは、ここに住んでたことがあるんだよな。敵が潜んでそうな所もわかるか?」

オルガが聞く。

「地下の部屋とかかの?」

「地下か......」

オルガは呟いた。

 

 

アイリスとイブとゴブローは、地下を見廻っていた。

「この部屋はなんだ?」

ゴブローが取っ手の無いドアを指差す。

「魔力を感じるな」

イブが言う。

「魔法で鍵がかけられているようですわ」

アイリスが空中で止まる。

「ここは怪しいな。アイリス、開けられるか?」

ゴブローが言う。

「やってみますわ。むっ!」

アイリスが両手を上げ、扉に向かって念を込める。

「ダメですわ......。特定の人物しか開けられないようです。ただ......」

「ただ?」

ゴブローがアイリスに問いかける。

「魔の者の力を感じます」

アイリスの顔色が変わった。

「よし。この場所の監視をしよう」

イブが提案した。ゴブローとアイリスが頷く。

 

 

リリィは、いつも通り、座学で勉強をしていた。女王となった今では、勉強と女王としての執務もこなさなければならない。

メリッサはリリィの女王としての成長に満足顔だ。

「女王陛下。次は、この書類にサインをお願いします」

「わかったわ。メリッサ」

リリィは黙々と執務をこなしていく。

丸太小屋の天真爛漫な少女の面影は消えていた。

 

スザクとホウオウは、四六時中リリィの近くで警護をしている。植木鉢の一件からは特に大きな動きは無かった。

「静か過ぎるわね」

ホウオウが言う。

「何も起きなければ良いけど......かえって不気味ね」

スザクがつぶやく。

 

 

 

ある日。

いつもと変わらない穏やかな日だった。

「きゃー!」

召使いたちが騒ぎ出す。フードを被った謎の人物が廊下を走る。

「取り押さえろ!」

警備の兵士が追いかけるが、フードの人物は素早い動きで翻弄する。

それにゴブローが気づいた。

「あいつを追うぞ!」

ゴブローとアイリス、イブが後をおう。

フードの人物は副大臣の執務室に逃げ込んだ。

 

 

副大臣は机の前で考え事をしていた。

急に扉が開き、フードを被った男が飛び込んできたので、副大臣は怯んだ。

「な、何者だ!」

「あんたの言う通りに毒を撒いた! すぐに報酬をくれ!」

男は片手に袋、もう片方の手にナイフを握っている。

「何を言っている? 少し落ち着け。座って話そう」

副大臣は、相手を刺激しないように静かに話す。

「こんな......こんなこと、もっと報酬を貰わないと割りに合わない!」

男は震えている。

 

その時、ドアが開いた。

「大丈夫か!」

ゴブローたちだ。ハクとエリーゼも騒ぎを聞きつけてやってきた。

「この男を捕まえてくれ! 殺される!」

副大臣が叫ぶ。

「なっ? あんたの命令で食事に毒を入れたんだ! 報酬を寄越せ!」

男が副大臣にナイフを突き付ける。

ニャー!

一匹の白い猫が男に飛びかかった。

一瞬、男が怯む。その隙を突いて、ゴブローが男を捕らえた。

「こいつ! 捕まえたぞ!」

どさくさに紛れて副大臣が逃げ出す。

「副大臣!」

イブたちが後を追いかける。副大臣は階段を降りて地下に向かう。

そこは、例の地下室だった。副大臣が扉に手をかざすとそのまま吸い込まれた。

「あそこだ!」

イブたちが追いつく。が、副大臣の姿はなく部屋にも入れない。

「魔法でこじ開けますわ!」

アイリスが魔法を唱える。

「お待ちください! グワーッ!」

扉が開くと、中で副大臣が絶命していた。

「遅かったか......」

イブが呟いた。

 

 

 

 

その頃。

 

「リリィ様。休憩に致しましょう」

メリッサが言うと、紅茶とお茶菓子が運ばれてきた。

匂いに釣られたのか、外から小鳥が入って来る。

「あなたも休憩に来たのね? お菓子を分けてあげるわ」

リリィが茶菓子を細かく砕いてテーブルの上に撒く。小鳥は警戒しながらもテーブルの上の茶菓子の欠片を啄ばむ。

「紅茶が美味しい」

リリィは、ホッと一息ついた。茶菓子に手を伸ばして口に運ぼうとした時。

「リリィ! 待って!」

ホウオウが叫んでリリィの手を掴んだ。

「どうしたの? ホウオウ?」

テーブルの上で小鳥が死んでいた。

「毒よ!」

スザクが言うと一陣の風が吹き、魔法陣が現れた。魔法陣の中央から人影が現れる。

「アズラエル!」

白い仮面を被った不気味な男。三司祭の一人アズラエルが現れた。

 

「あと一歩の所を......」

アズラエルは、リリィに向かって手を伸ばす。

「共に来るのだ。リリィ......」

リリィはアズラエルのただならぬ気配に怯えている。

「そうはさせない!」

ホウオウとスザクがアズラエルに斬りかかるが、その魔力で弾き返される。

 

「さあ、リリィ。こちらへ」

アズラエルが手を伸ばすとリリィの身体が吸い寄せられる。

「いやっ! やめて!」

リリィが叫ぶ。

「リリィ様!」

メリッサは腰が抜けて座り込んでいる。

「エルフを魔王城に連れて来い、さらばだ」

アズラエルはリリィを捕らえ、そのまま二人とも消えた。

 

「リリィ! くそっ!」

スザクが叫んだ。

 

リリィがアズラエルに拐われた。エルドランドの軍を指導していたフィーネの耳にもその知らせは届いた。

 

「リリィ。必ず助ける......!」

フィーネと家族たちは、魔王城遺跡に向かう。

 

 

 

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