転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第25話

 

ここは、エルドランド城。

 

リリィ女王が拐われた。

城内は混乱していた。

大臣に呼び出されたフィーネたちは、執務室に集まった。

「リリィを拐ったのは、三司祭の一人アズラエル。アジトは魔王城遺跡です」

フィーネは大臣に報告する。

「フィーネ殿。我々はあなたたちに頼るしか無い。どうか女王陛下をお助けください」

大臣は憔悴しきっている。

「もちろんです。すぐに魔王城に向かいます」

フィーネが力を込めて言う。

「あそこは元々わらわの城じゃ。勝手に使いおって......」

ミカエルは怒っている。

「敵は何をして来るか分からない。エルドランドの軍の助けも必要だろう」

ゴブローが言う。

「もちろん。軍も動かそう。援護は任せてくれ」

大臣はゴブローの方を見て言った。

 

「じゃあ、皆んな。行くわよ」

フィーネの声に皆頷いた。

 

魔王城は、エルドランドとイストリアの国境近くにある。周囲は魔物が多く棲む危険な地域だ。

 

「皆んな、油断するなよ」

オルガが言う。

「リリィ。必ずおいらが助けるぞ!」

ハクがいつになく真面目に言う。

 

(......探して......)

フィーネの頭にあの幻聴が響く。

「こんな時に......」

フィーネは頭を振る。

(......フィーネ、助けて......)

「......この声、ハンス? 何を言いたいの?」

フィーネは、頭を抱えた。

「フィーネ、大丈夫か?」

イブが心配して声をかける。

「大丈夫よ。ありがとう」

フィーネは答えるが、顔は青ざめている。

「城が見えてきたわ!」

ホウオウが叫ぶ。

 

遠くに、真っ黒な廃墟が見えてきた。

辛うじてそれが城だったことが分かるような状態の遺跡。

一段と空気が重くなるのを感じる。

フィーネたちは、リリィ救出に向けて気を引き締めた。

 

 

 

 

魔王城遺跡の地下。

窓の無い牢屋に幽閉されたリリィは出される食事も摂らず、じっと耐えていた。

そこにアズラエルが現れる。

 

「リリィ。エルフがこちらに向かっているそうだ」

アズラエルの言葉は、重く体の芯に響くような冷たさがあった。

「フィーネよ。名前......」

リリィは答える。

「私に大人しく協力すれば、命までは奪わない」

アズラエルは言う。仮面の奥の眼はピクリとも動かない。

「フィーネは? どうするつもりなの?」

リリィが問い掛ける。

「フィーネは、メルティナに引き渡す」

アズラエルの目が一瞬揺らいだ。

「メルティナに? 一体何をするつもりなの?」

「新しい"おもちゃ"にするのだろう」

「そんなこと......許さない!」

リリィは声を荒げる。

「たかがエルフだ。お前が気にすることではない」

「フィーネは......家族よ! あなたたちには絶対に渡さない!」

「家族か......そんなことより、自分の心配をするんだな」

アズラエルはそう言い残し、リリィに背を向けて階段を上がって行った。

「......フィーネ、気をつけて......」

リリィは呟いた。

 

 

 

 

アズラエルは、王の間に戻り玉座に座った。

頭の中にいつものビジョンが現れる。

長閑な田園風景が一瞬にして炎に包まれる。目の前には背を向けた女性、いや、女の子。肩に手を置くと彼女は振り返る。その顔は......

「うわぁー!」

アズラエルは頭を抱えてうずくまる。

はぁっ、はぁっ。

肩で息をしていたが、落ち着きを取り戻した。

「私は......どうしたと言うのだ......」

アズラエルの眼には哀しみの色が浮かんでいた。

 

 

 

 

魔王城の目前に来ていたフィーネたちは、魔物の群れに襲われていた。

 

「ホーリーウインド!」

イブの魔法が魔物を一瞬で消し去る。

「うぉーっ!」

ゴブローとホウオウがその剣捌きで魔物を一刀両断にする。

「このっ!」

スザクの弓から放たれた矢が魔物を貫き、オルガの剣がトドメを刺す。

「こっちですにゃー!」

「任せろ!」

竜の姿のハクがエリーゼを背に乗せ、魔物を薙ぎ払う。

「フィーネ! ここは皆に任せろ!」

ミカエルが叫ぶ。

「皆んな、ありがとう!」

フィーネは魔物の攻撃をかわしながら、魔王城に向かって走る。

 

 

魔王城の扉は開け放たれていた。

フィーネは遺跡の中に足を踏み入れる。

「不気味な遺跡ね......」

フィーネはそう呟きながら慎重に歩く。

突然、異様な重苦しい気配を感じて立ち止まった。

「この気配は......アズラエル!?」

フィーネは、何故か僅かに懐かしいものを感じていた。

 

 

その頃。

「来たな」

アズラエルはフィーネの気配を感じて、リリィの元に向かう。

 

リリィは横になって眠っていた。

「リリィ、起きろ」

アズラエルがリリィに冷たく言う。

リリィは目を擦りながら体を起こす。

「一緒に来い、リリィ」

アズラエルに腕を掴まれ、リリィは無理やり連れて行かれた。

 

 

一方。

フィーネは、大広間で魔物に囲まれていた。

「ライトニングストーム!」

光の嵐が周囲の魔物を一掃した。

が、直ぐに別の魔物が現れる。

「キリがないわね......ライトニングストーム!」

魔物たちはなす術もなく塵と化していく。

 

 

「フィーネ、早く来い。待っているぞ」

王の間では、アズラエルがフィーネが来るのを待ち構えていた。

 

 

 

 

 

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