転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第29話

 

ここはウエスの森の丸太小屋。

 

空が白み始めた頃、小鳥たちのさえずりが聞こえる。

 

ガバッ!

 

赤髪の少女リリィが元気よく起き出す。その隣では猫耳の少女が眠い目を擦りながらゆっくりと身体を起こす。

 

「朝だ!」

「おはようですにゃ」

 

リリィはベッドから出て隣の部屋に向かう。扉を開けるとありえない寝相で寝ている青髪の少女。

「むにゃむにゃ。カレーはいくらでも飲めるのう......」

寝言を言いながら涎を垂らしている。

 

「イブ! 朝だよ! 起きて!」

 

リリィがイブの身体を揺さぶる。

「むにゃ。まだ眠い......」

イブはなかなか起きない。

「早く起きて!」

リリィはイブの鼻を摘んだ。

「......ん......ん、苦しい......」

ガバッ!

「何をする!?」

「イブ! 朝だよ、起きて!」

イブは仕方なく起き出した。

 

隣で寝ていたミカエルも騒ぎに気づいて起き出した。

 

リリィは向かいの部屋に行く。

 

ベッドでは白髪の少年が、スヤスヤと寝息を立てている。

「ハク! 起きて!」

リリィは勢いよくハクの身体に飛び乗る。

「グワッ! 何をする!」

「ハク! 朝だよ!」

ハクを起こしたリリィは屋根裏部屋に登っていく。

 

天井からぶら下がったカゴの中で小さな妖精が眠っている。

「アイリス! 起きて!」

リリィがちょんちょんとアイリスを指でつつく。

ゆっくりと身体を起こして、アイリスは伸びをする。

「おはよう、リリィ」

「おはよう!アイリス」

 

リリィは階段を駆け下り玄関から外へ出る。

丸太小屋の外では、ドリアードの子供モックとドンキーが土に足を突っ込んで眠っている。

「モック、ドンキー! 朝だよ、起きて!」

リリィはモックとドンキーの頭をポンポンと叩く。

「朝だキー!」

「朝だキキー!」

モックとドンキーは両足を土から引き抜き、大きく伸びをした。

 

リリィは丸太小屋の中に戻り、1階の寝室に向かう。

寝室のベッドでは美しい銀髪のエルフが眠っている。その隣には、茶髪の精悍な顔立ちの青年が寝息を立てていた。

「オルガ! フィーネ! 起きて!」

リリィが二人の上に飛び乗る。

 

「んがっ! 苦しい......」

オルガが起き出す。

「......紅茶が美味しい......」

フィーネは、まだ微睡の中だ。

「フィーネ! 朝だよ! 起きて!」

「......おはよう、じゃあ、おやすみ」

フィーネは、一度起きたがまた眠ってしまった。

 

リリィはフィーネを起こすためには手段を選ばない。リリィは魔力を両手に込めた。

「重力よ増せ、グラヴィティ!」

フィーネの周囲の重力が増大する。

ミシッミシッ!

鈍い音を立ててベッドごと床が抜けた。

 

「なっ、なにっ?」

フィーネが周りをキョロキョロと見回している。

「フィーネ! 朝だよ! 起きて!」

リリィがフィーネを見下ろして話す。

「何してるの! リリィ!」

「ごめんなさい。フィーネが起きないから......」

「もう、面倒くさいわね」

フィーネは立ち上がり部屋に這い上がって、呪文を唱える。

「時よ戻れ、リバース」

すると抜けた床が戻り、家具も元通りになった。

 

「私を起こすのにいちいち魔法を使わないで、リリィ」

「だってフィーネ、なかなか起きないんだもん」

「まったく......」

フィーネ、リリィ、オルガはリビングに向かう。リビングには、すでにエリーゼ、ハク、イブ、ミカエル、アイリス、モック、ドンキーが揃っている。

「さて、朝食を作るわよ」

フィーネが両手を挙げると、様々な調理器具や食材が宙を舞い料理が作られていく。

 

リビングのテーブルに朝食が出来上がる。

「わぁ! 美味しそう!」

野菜スープにオムレツ、パンとバター。シンプルだが味は間違いない。

 

「相変わらずフィーネの料理は美味いな」

ハクが頬張りながら話す。

「フィーネさん、美味しいよ」

オルガはニコニコしながら食べている。

 

アズラエル=ハンスとの戦いから数ヶ月後、フィーネ達は丸太小屋に戻り、のんびり生活を満喫していた。

三司祭の最後の一人メルティナは、様子を見ているのか、目立った動きがない。

 

(......探して......)

フィーネの頭の中の声は、相変わらず響いている。何を訴えているのか?それはいまだに分からない。

 

フィーネは、表向きは吹っ切れたように見えているが、まだハンスのことを引き摺っていた。オルガには内緒にしているが、アズラエルのマスクを隠し持っている。

そして、夢で見た数千年前の精霊の国の出来事......。確信は持てないが、フィーネの中で疑念が確信になりつつあった。

深淵の国に堕ちたメルティナ。姉の罪を被り99回の転生の罰を受けたセルティナ。そして、99回目の転生を迎えたフィーネ。

点と点が線で繋がりつつあった。

 

「フィーネ」

「何? オルガ」

「何かあれば絶対に言ってくれよ」

「もちろんよ。約束する」

フィーネは窓の向こうの夜空を見つめていた。

 

 

 

 

深淵の国、魔神城。

ダークフェアリーのメルティナが研究に没頭している。

「アズラエルもヤラレちゃった。私のおもちゃも減っちゃったし。どうしよう?」

メルティナは腕組みをして考える。

「エルフの仲間の中から新しいおもちゃを探そうかな。きゃはは」

真紅の瞳が妖しく輝いた。

 

 

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