転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第32話

 

漆黒の闇の中、バチバチと音を立てて燃え上がる炎の柱。

それを黙って見つめているオルガ、リリィ、ミカエルの眼は真っ赤に染まっていた。

 

「逃げるキー!」

「危ないキキー!」

間一髪で難を逃れたモックとドンキーは、立ち昇る炎を見上げている。

 

バキバキッ!

 

音がして煤まみれの猫が飛び出してきた。

 

「一体、何が起こったにゃあ!?」

エリーゼだ。美しい白い毛並みがすっかり煤にまみれてグレーになっている。

 

バキバキバキバキッ!

丸太小屋は見る影もなく崩れ落ちようとしていた。

 

「フィーネ! ハク! まだ中にいるにゃ!」

 

その時、

 

ドーン!

 

真っ白い竜が丸太小屋の屋根を突き破り空に舞い上がった。その手にはぐったりとしたフィーネをしっかりと握っている。

竜はウエス湖の方に飛んで行った。

 

バチバチと音を立てて燃え上がる炎。ついには、丸太小屋は跡形もなく崩れ落ちた。

 

オルガ、リリィ、ミカエル、そしてハチは、それを黙って見つめていた。

 

「オルガ! 一体何が起きたにゃ!」

人の姿に戻ったエリーゼが問い詰める。

 

「丸太小屋に火をつけた」

オルガは抑揚の無い声で言った。

 

「何でこんなことを......」

エリーゼはオルガを睨みつける。

「必要なことだからだ」

オルガが言う。

エリーゼは、オルガたちの方に歩いて行く。

「オルガ! 今なんて言ったにゃ!」

エリーゼの眼は怒りに満ちている。

「これは必要なことなの」

リリィが生気を失った顔で言う。

 

「オルガ、リリィ。許せないにゃ!」

エリーゼがオルガに近づくと、

「近寄るな」

オルガはエリーゼの身体を両腕で乱暴に押し返した。エリーゼはバランスを崩して地面に倒れてしまった。

 

「束縛せよ、ホールド」

リリィが魔法を放つ。エリーゼは束縛され動けなくなった。

 

 

その頃、異変を察知したゴブロー、ホウオウ、スザクがそれぞれ丸太小屋へと急いでいた。

「一体何があった? フィーネ、リリィ、無事でいてくれ!」

ゴブローは火柱の上がる場所に急いだ。

 

 

 

 

その頃。ウエス湖。

 

間一髪、炎を逃れたハクはフィーネを寝かせ、人間の姿に戻っていた。

ハクは煤にまみれているが無事なようだ。

フィーネは煙を吸ってしまったせいか、意識を失っていた。

「フィーネ! 大丈夫か!」

ハクはフィーネの顔に耳を近づける。

呼吸の音が聞こえる。

「息はしてるな。良かった」

ハクは安堵した。

 

「丸太小屋に戻らなくちゃ。フィーネはここで休んでてくれ」

ハクはそう言うと竜の姿に変身して丸太小屋の方に飛んで行った。

 

 

 

 

丸太小屋は見る影も無く焼け落ちていた。

 

「オルガ!許さないキー!」

「酷いキキー!」

モックとドンキーがオルガとリリィに向かって行く。

「束縛せよ、ホールド」

リリィは無慈悲に魔法をかけた。

モックとドンキーは動けなくなった。

 

 

「さあ、行こう」

オルガたちがその場を立ち去ろうとしたその時。

「フィーネ! リリィ! 無事か!」

森の中からゴブローが現れた。

オルガたちがいるのを見て、ゴブローが叫ぶ。

「オルガ! 一体何があったんだ?」

ゴブローは、ただならぬ気配をかんじていた。

「俺たちが火を付けた」

「何だって? 嘘だろ?」

ゴブローは愕然とした。

「ゴブロー帰って」

リリィが冷たく言い放つ。

「帰らないなら殺す」

ミカエルが言い放つ。

 

「何だと? どうしたって言うんだ? お前たち」

 

ワン!ワン!

ハチが何かを察知して吠える。

 

白い竜が空から舞い降りた。ハクだ。

「オルガ、リリィ、ミカエル、何をした?」

ハクが鋭い目で睨む。

「私とミカエルで丸太小屋に火をつけた」

リリィが言う。

「リリィ! 何でそんな事をした!」

ハクが語気を強めて言う。

「必要だから」

リリィが無表情に答える。

「必要だから? そんな訳あるか!」

ハクは怒りに震えている。

 

 

ガサガサ!

その時、森の中から二人の影が現れた。

 

「一体、何があったの?」

「フィーネたちは無事?」

ホウオウとスザクだ。

 

「事情はわからないが、オルガとリリィとミカエルが丸太小屋に火をつけたみたいだ」

ゴブローが状況を説明する。

「フィーネは無事だ。今は湖で休んでる」

ハクが言う。

 

「オルガ......何で、火をつけたの?」

スザクが問いかける。

「必要だから」

オルガは淡々と答えた。

「なんて事......」

ホウオウは余りの出来事に絶句している。

 

ワンワン!

 

ハチが尻尾を振りながらホウオウに近づいてきた。

ホウオウは思わずハチを持ち上げる。

「お前は、安全なところに行きなさい」

ホウオウがハチに話しかけた時。

目が合った。

その瞬間、ハチの真っ赤な目から視線を外せなくなる。

吸い込まれそうな真紅の目。ホウオウの瞳が真っ赤に染まった。

 

「姉さん? どうしたの?」

スザクの問いかけに答えず、ホウオウはハチを抱きかかえたまま、ミカエルの横に歩いて行った。その目は虚ろに赤く染まっていた。

 

「私たちは必要な事をする」

ホウオウは抑揚の無い声で言った。

 

「姉さん! 何を言っているの?」

スザクは動揺している。

 

オルガがゆっくりと剣を抜いた。

リリィとミカエルは魔力を集中する。

 

そして、ホウオウはスザクに向かってその剣を構えた......

 

 

 

 

ウエスの森の木々が騒めく。

 

事態は最悪な方向に向かおうとしていた。

 

 

 

 

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