転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第33話

 

ここはウエスの森。丸太小屋の焼け跡......

 

ホウオウはゆっくりと剣を抜いて構えた。その切先はスザクの方を向いている。

 

「姉さん......こんなこと、やめて」

スザクは涙声で呟く。ホウオウは身体をゆらゆらと揺らしながらスザクの隙を狙っている。

「これは必要なこと......」

ホウオウはそう言うのと同時に地面を蹴りスザクの間合に飛び込んだ。

スザクは咄嗟に短刀を抜き、ホウオウの刄を受け止める。

「ね、姉さん。元に戻って......!」

スザクが必死に訴えるが、ホウオウの耳には入っていない。

 

 

「必要なことをする......」

リリィは両手に貯めた魔力をハクに向かって放つ。

「ライトニングアロー」

「なっ何をするんだ! リリィ!」

ハクはその尻尾で魔法を弾き返す。

「バリア」

ミカエルが防御魔法を唱え、弾かれた魔法を打ち消す。

「二人ともおかしいぞ! やめろ!」

「ダークネスソード」

「ライトニングソード」

ミカエルは闇の魔法剣、リリィは光の魔法剣でハクに切りかかった。

キンッ!

ハクは尻尾で二人の剣を薙ぎ払う。

「やめてくれよ! リリィ! ミカ!」

ハクが必死に語りかけるが二人とも聞いていないようだ。

「わらわは必要なことをする」

 

 

 

 

「オルガ! 目を覚ませ!」

ゴブローとオルガも激しく鍔迫り合いを続けていた。

「俺は必要なことをする」

「フィーネは、彼女はどうする! 悲しむぞ!」

一瞬、動揺したように見えたが、オルガは手を緩めない。

ゴブローは攻撃を防ぐのがやっとだった。

 

 

「みんな、どうしてこんなことに」

エリーゼは必死に束縛から逃れようともがくが、身体が動かない。

 

「キー......」

「キキー......」

モックとドンキーはもはや気力を奪われていた。

 

 

ゴブローもハクもスザクも防戦一方で徐々に体力を奪われて行く。

 

 

「姉さん! お願いだから正気に戻って!」

「リリィ! ミカ! もうやめてくれ!」

「オルガ! 俺が分からないのか!」

三人とも限界に近づきつつあった。

 

 

 

 

「きゃははは! 遊びはもう良いよ。殺しちゃって!」

メルティナの狂気に満ちた笑い声がハチの思考を通じてオルガ、リリィ、ミカエル、ホウオウに伝播する。

「必要なことをする......」

 

ミカエルとリリィがその両手に魔力を溜める。周りの空気がビリビリと震え出す。

「これは......マズいぞ......!」

ゴブローが身構える。

「リリィ! やめて!」

スザクが叫ぶ。

 

「ダークネスストーム」

「ライトニングドラゴン」

リリィとミカエルの両手から無慈悲に魔法が放たれる。

 

「ゴブロー! スザク! つかまれ!」

ハクが二人の身体を守るように巻き付く。

 

ドドドーーーンッ

 

次の瞬間、魔法が直撃した。

土煙が上がり周りは何も見えない。

次第に視界がクリアになっていく。

 

 

そこにはボロボロの水竜がいた。ハクは力無く地面に横たわっている。

「ハク! 大丈夫か?」

ハクが命懸けで守ったゴブローとスザクは無傷で立っていた。

「ハク! ハク! 起きて!」

スザクがハクの身体を揺さぶる。

 

グハッ!

 

ハクが口から血を吐いた。何とか命は取り留めているようだ。

 

「リリィ! ミカ! もうやめろ! 俺たちは家族だろ?」

ゴブローが叫ぶ。

 

「かぞく......」

リリィが呟いた瞬間、その目に生気が宿ったように見えたが、すぐに虚ろな目に戻ってしまった。

 

「姉さん、リリィ、オルガ、ミカ。こうなったら、力ずくでもあなた達を正気に戻す」

スザクの目には決意が滲んでいた。

 

「ゴブロー! いくよ!」

「分かった!」

ゴブローとスザクは剣を振りかぶり同時に切りかかった。

 

ホウオウは、スザクの剣撃をいとも簡単にいなしていく。

オルガは、ゴブローの大剣を受け止める。

 

「うおー!」

ゴブローは涙を流しながらオルガに連続で切り込んでいく。

 

?!

 

オルガの左腕を大剣がかすめた。その左腕からポタポタと血が落ちる。

「必要なことをする......」

オルガは、その傷を気にもせずにゴブローに攻撃を加える。

 

はぁはぁっ!

 

ゴブローは肩で息をしている。もう体力も限界だ。

 

 

「姉さん。許して!」

スザクはホウオウに二刀流でおそいかかる。ホウオウは、その攻撃を軽々とかわす。

「くっ!」

ホウオウの剣がスザクの右腕に当たった。

 

「私は必要なことをする」

ホウオウは更にスザクに攻撃を加える。

「姉さん......もう、やめて......」

スザクは膝をついた。

 

ゴブローもスザクも満身創痍だった。

「ここまでなのか? 俺たち家族は」

 

「スザク......ゴブロー......ハク......」

エリーゼの目から悔し涙が溢れる。

丸太小屋の家族の絆は今や風前の灯だった。

 

 

その時。

 

森の奥から一条の光が飛んで来た。

 

その光はリリィたちの前に落ちた。

 

 

光の中から現れたのは......

銀色に輝く長い髪。尖った耳。長身の姿。

 

 

「待たせたわね。ゴブロー、スザク」

 

「......フィーネ!」

「フィーネ、待ちくたびれたわ」

 

森の賢者、エルフのフィーネがついにその姿を現した。

 

 

森の木々は、ただ静かに佇んでいた。

 

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