転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第35話

 

ここはウエスの森の新しい丸太小屋。

跡形もなく焼け落ちた丸太小屋はフィーネの魔法で新しく建て替えられた。新鮮な木の匂いがする。

家は新しくなったが、オルガ、リリィ、ミカエル、ホウオウの意識は戻らず居間に寝かされている。

 

「精神世界に入って、精神の核を探すってのは分かった。いつ始める?」

ゴブローが訊ねる。

「すぐにでも始めましょう。これは時間との戦いになりますから」

アイリスが答える。

「心の準備は出来てる。早速始めよう」

スザクの顔に焦りの色が見える。

「では、それぞれペアの横に仰向けに寝て手を繋いでくれ」

イブが言う。

オルガの横にはゴブロー。

リリィの横にはフィーネ。

ホウオウの横にはスザク。

ミカエルの横にはエリーゼ。

それぞれに仰向けに寝て、手を繋いだ。

 

「目を閉じて意識を集中するんだ。相手のことを想像して」

イブが言う。

「これから皆さんを精神世界にお連れします。深呼吸してください」

アイリスの指示に従い深呼吸をする。

 

「5,4,3,2,1......0」

アイリスのカウントダウンでフィーネたちは深い眠りに堕ちた。

「皆さん、頼みましたよ」

アイリスは呟く。

 

こうして精神世界の捜索が始まった。

 

 

 

 

「......おじさん! 大丈夫?」

ゴブローは身体を起こして頭を振った。

目の前には、人間の少年が心配そうに顔を覗き込んでいる。

「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」

そういうとゴブローは立ち上がった。

「俺はゴブローだ。坊主の名前は?」

ゴブローが訊ねると、

「僕はオルガ! おじさん、僕の家で休んで行ったら?」

オルガはキラキラした眼でゴブローを見る。

「そうだな、お言葉に甘えよう。案内してくれるか?」

「もちろん! 付いてきて、ゴブローおじさん!」

オルガは走り出す。慌ててゴブローも付いていく。

ウエスの森の外にある炭鉱の街。厳つい鉱夫たちが街中を闊歩し、活気がある。

「おじさん! こっちだよ!」

オルガが立ち止まって手招きする。

石を積んで作られたその家は、それ程大きくはないが、頑丈そうだ。

「お母さん! ただいま! お客さん連れて来た!」

オルガが家の中に入っていく。

ゴブローは外で躊躇していたが、

「おじさん! 入って!」

オルガにそう促されて、家に入った。

「お邪魔します」

中は意外に広い。綺麗に整理されたキッチンや食器棚、部屋の中央には大きなテーブル。

「おじさん! 座って」

促されるままにゴブローは椅子に座った。

「オルガ、お客さんかい?」

隣の部屋から若い女性が現れた。茶色い長い髪を束ね、意志の強そうな眼差しのその女性はオルガの母親だった。

「お母さん、この人はゴブローおじさん。道に倒れてたんだ。」

オルガが母親に説明する。

「それはそれは、何があったのか分かりませんけど、大変でしたね」

オルガの母親はゴブローに紅茶を出した。ゴブローは恐縮してしまう。

「遠慮せずに飲んでください。お口に合うかどうか」

ゴブローは紅茶を一口飲んだ。鼻の奥に上品な良い香りが漂よう。

「とても美味しいです、奥さん」

ゴブローは感嘆の声を上げた。

「気に入って頂けて良かったわ」

オルガとオルガの母親も椅子に座る。

「オルガくんのおかげで助かりました。ありがとう」

「しばらく休んでいくと良いよ。おじさん」

「そうね。ゴブローさん、あなたはゴブリン村から来たの?」

母親が訊ねる。

「そうです。ちょっと用事で来たんですけど具合が悪くなってしまって」

ゴブローは、必死に話を合わせる。

「おじさん! 晩御飯食べてくと良いよ。お母さんの料理は最高に美味いんだ」

オルガが前のめりに言う。

「流石にそれは迷惑だと思うので、帰ります」

ゴブローが言うと、

「是非、晩御飯も食べていってください。ウチの主人も喜びます」

「そうしよう! ゴブローおじさん!」

オルガの勢いに押し切られてしまった。

「あの、ご主人は......?」

ゴブローが訊ねる。

「街の炭鉱の鉱夫をやってます。見た目は怖いけど優しい人ですよ」

そういうと母親は顔を赤らめた。

 

こうしてゴブローは、オルガの家で晩御飯をいただくことになった。

 

 

夕方。

「ただいま!」

「お父さん、お帰りなさい!」

「あなた、お帰りなさい」

オルガの父親が炭鉱から帰ってきた。

「お邪魔してます。ゴブリン村のゴブローと言います」

オルガの父親は少し驚いた顔をしたが、すぐに元の笑顔に戻った。

「僕が倒れてたゴブローおじさんを助けたんだ」

オルガが父親にいう。

「そうか、オルガ。偉いぞ。困っている人が居たら助けるもんだ」

オルガの父親は豪快に笑う。

「それで、ゴブローさんも晩御飯をご一緒することにしたの、良いでしょ?」

「もちろん?食事は人数が多い方が楽しいしな」

父親にも受け入れてもらえたようだ。

 

ゴブローは、オルガの家で晩御飯をご馳走になった。

ゴブローとオルガの父親はすっかり意気投合して酒を酌み交わし、ついつい深酒をしてしまった。

 

その夜遅く。

 

鉱山の中に怪しいフードを被った男が入っていった。そのあとには、二体の魔物が向き合った紋章が縫われた布切れが落ちていた。

 

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