転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない   作:daisukenote3397

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第40話

 

にゃ〜

エリーゼは伸びをした。

「よく寝たにゃ」

辺りは薄暗く埃っぽい。魔物の気配を感じる。エリーゼは警戒を強めた。

「なんで猫の姿なのにゃ?」

美しい白い毛並みの猫。今のエリーゼの姿である。

「人間に戻るにゃ!」

エリーゼは意識を集中する。しかし、身体に変化は起こらない。

(人間に戻れないですにゃ!)

エリーゼは仕方なく猫の姿のまま、周囲の状況を探ることにした。

暗い石造りの建物。ここは調理場のようだ。血生臭い肉の匂いが鼻の奥に突き刺さる。

エリーゼは部屋を出て建物の探索を始めた。廊下を突き当たりまで歩き階段を上がる。

すると雰囲気が変わった。床には絨毯が敷かれ、豪華な装飾品が並んでいる。エリーゼは慎重に周りの気配を探る。

さっきから威圧するような重苦しい空気をヒシヒシと感じていた。

大広間を抜けて廊下を進むと、大きな階段が現れた。階段の上には、巨大な扉がそびえ立っている。

「あそこから魔物の気配がするにゃ」

エリーゼは階段を登り扉の前に行った。

猫一匹の力ではとてもじゃ無いが開きそうにない。

途方に暮れたその時。

ギィー......

扉が内側に向かって開いた。

エリーゼは、素早く中に入る。

そこは王の間だった。玉座に人影が見える。エリーゼは慎重に近づいた。

 

そこには小さな女の子が座って眠っていた。頭には二本の小さな角。涎を垂らしている。

(ミカエル......?)

エリーゼが近づくと、玉座の少女が目を覚ました。

「お前は誰じゃ?わらわはミカエル。名を名乗れ」

エリーゼは、嘘は通用しないと察すると正直に話した。

「私はエリーゼですにゃ」

ミカエルの目が輝いた。

「そうか、エリーゼと申すか。わらわの配下にしてやろう。近う寄れ」

そう言われて、エリーゼはミカエルの膝の上に乗った。ミカエルはエリーゼの頭を撫でる。

「可愛いのう。気に入ったぞ、エリーゼ」

 

すると、遠くから声が聞こえてきた。

「ミカエル! 何処ですか? まったくあの子はしょうがないわね」

「母上だ。マズいぞ」

ミカエルは玉座から立ち上がり、階段を降りた。

「ミカエル!」

声の主が王の間にやって来た。

大人の女性。だが、頭には二本の立派な角。その瞳は真紅に染まり、口元には牙が見える。

「母上!」

ミカエルが女性に向かって歩く。エリーゼも後ろをついて行く。

 

「ミカエル。ここに居たのですね。王の間には入ってはいけないとあれ程言ったのに」

「ごめんなさい。母上」

ミカエルは顔を伏せる。

「もうすぐ魔王様が帰っていらっしゃいます。お迎えの準備をしますよ」

「父上が? 分かりました」

ミカエルはそう言うと走り出した。エリーゼも慌ててついて行く。

廊下に並ぶ扉の一つを開けると、ミカエルはそこに入った。子供部屋のようだ。エリーゼが遅れて入ると、洋服ダンスの中から服を探していた。

「父上が帰って来る! 嬉しいのう」

ミカエルは、着替え始めた。

「エリーゼ、この服、良いと思うか?」

鏡を前にポーズをとる。普通の女の子のようだ。

「お似合いですにゃ」

エリーゼは答えた。

「よし! これにしよう。」

ミカエルは、そう言うと部屋を出て行く。エリーゼもすぐについて行く。

 

応接室のような部屋に行くと、すでにミカエルの母親が椅子に座っていた。

「母上、お待たせしました。」

ミカエルはそう言うと母親の隣に座る。エリーゼはミカエルの膝の上に乗った。

「ミカエル。その猫は?」

「エリーゼです。私の友達ですわ。」

そう言ってエリーゼの頭を撫でた。

 

 

数分後。

 

トントン。

ドアをノックする音。

 

ミカエルと母親が立ち上がる。

エリーゼは、ミカエルの足元に。

 

ドアがゆっくりと開き、もの凄い威圧感と共に魔王が現れた。その強大な魔力をヒシヒシと感じる。

 

「今、帰ったぞ」

「あなた、お帰りなさい」

「父上、お帰りなさい!」

ミカエルは魔王に抱きついた。

魔王はミカエルの身体を楽々と持ち上げる。

「良い子にしていたか? ミカエル」

「うん!」

こうして見ると、まるで普通の親子だ。

魔王は、ミカエルを降ろして椅子に座った。

母親とミカエルも椅子に座る。

 

「実はな、困ったことになりそうだ」

魔王が深刻な顔をする。

「どうしたの?あなた」

母親は、魔王のただならぬ様子に普段とは違うものを感じていた。

 

「人間の勇者一行が、私を倒しに来る」

魔王の顔が曇る。

「何ですって? 勇者が!」

「私は魔王だ。逃げる訳にはいかない。お前たちは戦いの間、隠れていてくれ。」

魔王は母親の肩を抱く。

「あなた、死なないで」

母親は涙を流す。

それを見てミカエルも泣いていた。

「私にもしものことがあったら二人で逃げるんだぞ」

「分かったわ、あなた。どうか死なないで」

 

「勇者など返り討ちにしてくれる! 任せておけ」

そう言うと魔王は、母親とミカエルを抱きしめた。

「父上......」

ミカエルは涙を拭ってエリーゼを抱いた。

 

それを見ていたエリーゼは、複雑な心境になるのだった。

 

 

勇者一行は、こうしている間にも魔王城に迫っている。

 

決戦は避けられないのであった。

 

 

 

 

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