転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第15話

ここはウエス国の森の中。

 

一人の黒い影が、一軒の丸太小屋に辿り着いた。

「ここは……怪しいわね。」

彼女は、人買い組織の下っ端構成員。今回の任務は、一人の少女を生け捕りにすることだ。

「今なら、眠っているだろうから、慎重に近づけば大丈夫ね。」

下っ端構成員は、忍び足で家に近づく。玄関には鍵がかかっていない。

「ふふ。不用心ね。完全に油断してるわ。」

下っ端構成員は、そーっと玄関から侵入する。寝室は2階のようだ。

そのまま、階段を上がり、2階へ。

下っ端構成員は、2階の扉を順番に開けて、中を確認する。

一つ目の扉は、どうやらエルフの部屋のようだ。ここではない。

二つ目の扉は、青い髪の女性だ。ここも違う。

三つ目の扉に手をかける。下っ端構成員の手も緊張で震えている。

「あのー、さっきから「下っ端構成員」って言ってるけど、私にはスザクっていう立派な名前があるんだけど?」

これは失礼!気を取り直して……下っ端構成員スザクが三つ目の扉を開ける。

「だから、「下っ端構成員」は要らないっていうの!」

……わかりましたよ。えっと、スザクは、ドアを開けて中にゆっくりと入る。

ベッドには、小さな女の子とドリアードの子供が2人。並んで寝ている。

「この子に間違いないわね。一旦、引き上げて報告をしないと。」

スザクの気持ちは任務とは違う理由でざわついていたが、音をたてないように慎重に家を出た。

「さっきから気になってたんだけど、この木の板の壁は何かしら?温かい湿った空気が出てる。」

スザクは、小屋を見つけて中に入った。すると、なんと広い露天風呂があった。

「これは、うわさに聞く大浴場ね。ちょうどいいわ。入って行こう。」

スザクは戦闘服を素早く脱ぎ、湯船にゆっくりと入った。

「温かくて気持ちいい。日頃の任務の疲れが取れるわ。」

 

スザクは、そのまま寝てしまった。

 

 

 

 

翌朝。

 

「お姉さん!お姉さん!起きて!」

誰かに肩を揺さぶられている。

「うーん、ビャッコさん勘弁してください。もう動けないです。」

「お・ね・え・さ・ん!」

頭を押さえつけられてお湯に沈められた。

「ブクブク….ブハーッ!何するのよ!!」

スザクはやっと起きた。

「お姉さん、誰?」

振り返ると、12歳くらいの人間の女の子がいる。この子は…ターゲットだ!!

ガバッ。

スザクは立ち上がった。が、素っ裸である。

「はっ!私としたことが!」

スザクは顔を真っ赤にして裸のまま、半泣きになりながらリリィを羽交い絞めにした。

「お姉さん….苦しいよ。」

「あなたには悪いけど、このまま一緒に来てもらうわ。」

スザクはリリィを羽交い絞めにしたまま、戦闘服と武器を持ち、小屋を出た。

 

「リリィ!どうしたの!?」

まずい!人に見られた!?いや、エルフか。

「この子の命が惜しければ動くな!」

「あなた、人買いの一味ね。」

「そうよ。このまま逃がせば、命は助けてあげる。」

 

フィーネはダルそうな顔でつぶやく。

「ああ、面倒くさい。」

「何が面倒くさいよ!」

スザクが言った瞬間、

「氷よ出でよ、アイス!」

周囲の空気が一瞬で凍てつき、地面には霜が走った。

フィーネの呪文でスザクの体が凍り付く。

リリィは自力で脱出した。そして、スザクはその場で倒れて動けなくなった。

 

「束縛せよ!フリーズ!」

フィーネの呪文で、スザクの動きは封じられた。

 

「フィーネ!リリィ!何があった!」

イブがやってきた。モックとドンキーもついてくる。

「人買いの一味が、リリィをさらおうとしたみたい。」

フィーネが言う。

「怖かったよ。フィーネ。」

リリィがフィーネにしがみ付く。

 

「とりあえず、この女から話を聞きだしましょう。」

そういうと、スザクを魔法で浮かせて一緒に家に連れて行った。

 

 

「束縛よ解けよ、アンフリーズ。」

スザクの頭だけ、呪文を解いて話せるようにした。

目の前には、フィーネとイブが並んで座っている。

 

フィーネが静かに話し始めた。

「あなたの名前は?」

「….スザク。」

「あなたは人買い組織の人間ね。」

「そうよ。」

スザクは唇を噛み締め、搾り出すように言った。

「なぜ、リリィを狙ったの?」

「上からの命令。細かいことは知らないわ。」

スザクは視線を逸らし、拳を握りしめた。

「馬でリリィを追って、森に火を点けたのは、あなた?」

「私の仲間よ。私もその場には居たけど、何もしてない。」

「何てこと……。」

 

リリィは、思い出して泣きそうな顔をしている。

スザクが続ける。

「私が捕まったことを知って、仲間がここに来るわよ。」

「仲間は何人?」

「ゲンブ、ビャッコ、ホウオウの3人。みんな強いわよ。」

「3人か….面倒くさいけど、やっつけるしかなさそうね。」

フィーネは、覚悟を決めたように言った。

 

「ところで。」

「何?」

「私、裸なんだけど、服を着せてくれない?」

フィーネは束縛魔法を解いて、スザクは服を着た。

「私をまた束縛しないの?」

「あなたは、根は悪い人じゃない。そう思う。」

「お人よしね。逃げるかもしれないわよ。」

「私とイブがいれば、逃げられないわよ。」

 

フィーネたちは、敵を迎え撃つための準備を始めた。

 

リリィの身は私が守る。フィーネの決意は固かった。

 

 

森の奥から何かの気配が忍び寄っていた。

 

そして、ついに、フィーネたちと人買い組織が激突する。

 

 

 

 

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