転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第21話

 

ここはウエス国の森の中。

 

「もう、本読むの疲れたよー……」

リリィが心なしかゲッソリしている。遺跡で発見した古代の書物をリリィはこの数日、一人で読んで翻訳しているのだ。

「翻訳のスキルを持ってるのは、あなただけなんだから頑張って。」

フィーネが励ます。フィーネもリリィに付きっきりで、書物の翻訳を手伝っていた。

 

「そろそろ休憩にしましょうか?」

フィーネが言うと、リリィは机に突っ伏してしまった。

「づがれだー」

フィーネが魔法で紅茶を淹れる。今日はデザート付きだ。

「さあ、フィーネ特製ふわとろパンケーキよ。」

「パンケーキ!!」

リリィがガバッと体を起こす。目がキラキラ輝いている。

「うーん、美味しい♪」

「そうでしょう?だから、これを食べたらもう少し頑張りましょう。」

「えー!?」

リリィはすっかりくたびれている。

 

「すいませーん!フィーネさん!」

この声はオルガだ。

「オルガ。今日はどんな御用?」

フィーネが窓から顔を出して聞く。

「特に用はないんですけど、通りがかったから風呂に入っていこうかな?って。」

「良いわよ。どうぞ。」

「ありがとう、フィーネさん。」

オルガは頭を下げると、露天風呂の方へ歩いて行った。

「あ、先客がいるからね!」

フィーネが叫ぶ。オルガには聞こえなかったようだ。

男湯では、ゴブローがのんびり湯船に浸かっていた。

 

 

 

 

「うわー!!」

男湯からオルガの叫び声が聞こえた。

 

「オルガってゴブローとは会ったことなかったっけ?」

リリィが言う。そういえば、2人は初対面だったーーーとフィーネは思った。

 

「騒々しいな。」

ロッキングチェアでくつろいでいたイブがつぶやく。

「オルガさん!そのゴブリンは悪い人じゃないですよ!」

同じくロッキングチェアでくつろいでいたスザクが叫ぶ。

 

「そういうことは、先に行ってくださいよ!」

オルガの声が聞こえた。とりあえず無事のようだ。

 

その後、裸の付き合いをしたオルガとゴブローは、すっかり打ち解けたようだ。

 

「そうか、腰の悪い母親と2人暮らしは大変だな。」

足湯につかりながら、ゴブローが言う。

「たった一人の母だから、大変と思ったことはないよ。」

オルガが言う。

「2人とも、冷たい紅茶が入ってるわよ。」

フィーネが冷えた紅茶を持ってきた。

「これは、いいな。最高の贅沢だ。」

ゴブローが言う。

「フィーネさんの紅茶は本当に美味しいからね。」

オルガが紅茶を一口飲んで言った。

 

 

 

 

「待てー!」

「待つキキー!」

「待たないキー!」

リリィは、書物を読むのをやめて、モックとドンキーと追いかけっこを始めた。

 

フィーネはロッキングチェアに座って、ふうっと息を吐いた。

「魔神については、まだ分からないことばかりね。」

「まあ、焦らない方がいいぞ。」

イブが言う。

「イブは、魔神のことは知らないの?」

フィーネが当然の疑問をイブにぶつけた。

「いくら、ぼくでも世界のすべてを把握してる訳じゃないんだ。」

「女神って言っても、大したことないのね。」

「ぼくもいろいろ忙しいんだ!」

「今はのんびりしてるじゃない。」

イブは黙り込んでしまった。フィーネは諦めて紅茶をすすった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ウエス国某所。

 

ゲンブ、ホウオウ、ビャッコの3人が集まって話をしている。

「あのエルフ、半端なく強いな。」

ビャッコは焦っていた。

「このままでは、あの子供を奪うことが出来ないぞ。」

ビャッコは腕組みをして考えている。

「真正面から行ってダメなら、違う手を考えようぜ。」

ゲンブが言う。

「私が、スザクに揺さぶりを掛けてみようか?」

ホウオウが提案する。

「そうだな、敵の中から潰すには、スザクを利用するのが一番だ。」

ビャッコがうなづきながら言う。

「よし、この件は一旦、ホウオウに任せよう。ゲンブはサポートしてくれ。」

「ビャッコはどうするんだ?」

ゲンブが言うと、ビャッコが答えた。

「私は、"あの方"にご報告に行ってくる。」

そういうと、ビャッコは姿を消した。

「よし、行くよゲンブ。」

「分かった、ホウオウ。」

ホウオウとゲンブも姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

ゴブローとオルガも加わって、夕食を食べることになった。

「今日は、フィーネスペシャルカレーライスよ」

 

「カレーライスだと!何年ぶりだろう?フィーネは凄いな」

イブが興奮気味に話す。

「うわあ、カレーライスだ!」

リリィも嬉しそうだ。

スザクやオルガは、ポカンとしている。

「いろいろな香辛料を混ぜて作った辛くて美味しい料理よ。まあ、食べてみて。」

スザクが恐る恐るカレーを口に運ぶ。

「……これは、美味しい!」

スザクの様子を見て、ゴブローとオルガもカレーを食べてみる。

「これは、美味いな!」

「美味しいよ!フィーネさん。」

カレーライスが好評なので、フィーネもご満悦だ。

「お代わりもあるから、たくさん食べてね」

「ねえ、フィーネ?最近、ちょっと明るくなった?」

リリィがフィーネに聞く。確かに以前のフィーネなら、こんなに明るく夕食を用意するなんて考えられなかった。

「そうね。みんなのお陰かな。」

「そういえば、最近『面倒くさい』の数が減ったな。」

イブが言う。

 

 

 

 

たくさんの仲間に囲まれて、フィーネの心境にも変化があったのかもしれない。リリィとイブにそう言われて、なんだか温かな気持ちになるフィーネだった。

 

 

 

 

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