転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第23話

ここは、世界のどこか。

 

遺跡のような石造りの建物の中。壁一面に悪魔や魔族の彫刻が彫られている。天井は高く円形のドーム状の形をしている。

 

床には、魔法陣が描かれ、青白く輝いている。

その中心にいる人物が話し出した。

 

「ご報告いたします。例の子供が見つかりました」

話をしているのは、ビャッコだ。

「少々問題がありまして、手こずっていますが、必ず子供は手に入れます」

ビャッコの顔に焦りが見える。

すると、どこからともなく重苦しい声が響いてきた。

「ビャッコよ、私の期待を裏切るなよ」

「わかっております。必ずや目的を達成いたします」

「私は、長い時間待った。もう待てぬのだ」

「はい!部下に急がせます!」

ビャッコは恐れで体が震えている。

「頼んだぞ、ビャッコ。必ず例の子供を手に入れるのだ。」

「ははっ!」

そう言って、ビャッコは頭を下げた。

魔法陣の光が消えた。

 

 

 

 

一方、そのころ。ウエスの森。

「どうやって、スザクだけをおびき寄せるか。」

ホウオウがつぶやく。

「一人になった時を狙えば良いんじゃないか?」

ゲンブが言う。

「一人になる可能性が高い場所……風呂だな。」

ホウオウが閃いたようだ。

「よし、スザクが一人で風呂に入るのを狙って、拉致しよう。そこで、私が話をする。スザクは条件をのむしかないはずだ。話が終わったら、元の場所に戻す。あとはスザク次第だ。」

ホウオウが計画を一気に話した。

「よし、それで行こうぜ。」

ゲンブが言う。

 

「風呂の小屋の前の茂みでスザクが来るまで待機だ。」

「了解!」

 

ホウオウとゲンブは茂みに身を隠した。

 

 

 

 

 

 

 

「たーのしー!!」

「楽しいキー!」

「楽しいキキー!」

リリィたちは、新しくフィーネが作った公園で遊んでいた。

フィーネの作戦は大成功のようだ。

 

「のんびりティータイムが楽しめていいわ。」

フィーネがロッキングチェアでくつろいでいる。

「何だか空に吸い込まれそう。」

スザクが紅茶を一口飲んで、空を見上げた。

「今日もいい天気だな。」

イブは、ぼんやりしている、寝てしまいそうだ。

 

そんなゆったりとした時間が流れるいつもの日常。

フィーネたちは、それを脅かすものの存在をすっかり忘れていた。

 

「ちょっと、お風呂に行ってくるわ。」

スザクが立ち上がった。

「行ってらっしゃい」

フィーネが手を振る。

「ごゆっくりー」

イブが寝ぼけ声で言う。

 

スザクは一人で小屋に向かった。

 

 

 

 

「スザクが来たよ!」

ホウオウが小声でゲンブに話す。

「俺は、ここに待機だな。」

「そう、スザクが中に入ったら、私が行く。」

ホウオウは慎重に様子をうかがっている。

 

スザクが小屋に入り、服を脱いでいる。

風呂に向かったようだ。

 

「よし、行ってくるよ。」

そういうと、ホウオウは小屋の中に入った。

 

 

 

 

スザクは湯舟につかってくつろいでいた。

そこに背後からホウオウが忍び寄る。

そして、後ろから羽交い絞めにした。

「大きな声を出さないで、スザク。」

ホウオウがその気になればスザクを殺すことは容易い。

スザクはいうことを聞いた。

 

「あなたと話をしに来た。黙って聞いてて。」

スザクはうなずく。

「私はビャッコに脅されてる。子供を連れてこないとスザクも私も殺すって。」

スザクは黙って聞いている。

「だからお願いスザク。あの子供を私のところに連れてきて欲しいの。そうすれば私たちは助かる。」

スザクは警戒を緩めていない。まだ疑っているようだ。

「私はビャッコを殺すつもり。そしたら、その子供と一緒に逃げよう。今度こそ足を洗って真っ当な人間になるんだ。」

スザクの緊張が少しだけ緩んだ。

「私は間違ってた、スザク、あなたは私のたった一人の家族だ。こんな世界から抜け出して、2人で自由に生きよう。」

スザクは黙っている。

「だから、スザク。あの子供を私のところに連れてきてほしい。私たちの足抜けのことはゲンブにも内緒だ。頼む、スザク。」

スザクは、黙って考えていた。そして、小さくうなずいて言った。

「わかったわ。姉さん。」

ホウオウは涙を流す。

「ありがとう。スザク。」

スザクも泣いている。そして、姉妹で抱き合った。

「じゃあ、私は、この小屋の前の茂みにゲンブと隠れているから、そこまで来て。」

「わかったわ、姉さん。」

スザクは決意したような顔になって言った。

「一緒に自由になりましょう。スザク。」

そういうと、ホウオウは風呂を出て行った。

 

スザクは湯舟につかり、考えを巡らせていた。

 

 

 

 

その夜。

フィーネたちはすっかり寝静まっている。

 

スザクはベッドから起きだし、リリィの部屋に向かった。

 

ドアを開けると、ベッドの上でリリィが寝息を立てている。

「リリィ、リリィ、起きて」

スザクが声をかけると、リリィが目をこすりながら起きた。

「んん……何?スザク。」

「ちょっと一緒に来て欲しいんだけど」

「わかった」

リリィは何も疑いもしないでスザクに付いていく。

 

茂みの中まで行くと、ホウオウとゲンブが待機していた。

「スザク!これはどういうこと!?」

リリィがそういうと、ゲンブが手早くリリィの口を塞ぎ、縄で体を縛った。

「よくやったわ、スザク。これで約束を果たせる。」

ホウオウは、そういうとスザクの頭を撫でた。

ゲンブがリリィを担ぎ、4人は森の中を歩いて去っていった。

 

 

 

 

星空はいつも通り綺麗に瞬き、

フィーネたちは、何も知らずに眠っているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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