転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第33話

 

 

 

ここはウエス国の森の中。

 

「待てー!」

「待つキー!」

「待つキキー!」

「おいら、捕まらないぞー!」

リリィ、モック、ドンキーに加えてハクも追いかけっこをしている。

 

「リリィの同じ年くらいの遊び相手が出来て良かったわ」

フィーネが紅茶を飲みながら追いかけっこを眺めている。

「見た目は同い年でも、ずっと年上だけどな」

イブが突っ込む。確かにハクは見た目は子供だが、年齢はフィーネに負けない。

「スザクの方は上手く行ってるかしら?」

フィーネが露天風呂の方を見て言う。

「きょうだいのことはきょうだいにしかわからんからな。任せるしかないだろう。」

イブはため息交じりで言った。

 

ウエス湖での戦いの後、リリィの力で人間の姿に戻ったホウオウは、一命を取り留め、フィーネの丸太小屋で療養していた。

露天風呂に薬草を入れ、湯船に浸かる治療を続けている。

 

「姉さん、随分回復してきたわね。」

スザクがホウオウの紅潮した顔を見て感慨深げに言った。

「スザク、私はどうやってこの恩を返せば良いんだろうか?」

ホウオウは体中傷跡があるものの、体はすっかり回復していた。

「ねえ?姉さんもココに住まない?フィーネには私から言っておくから。」

スザクの思いがけない提案にホウオウは戸惑う。

「私は、ここにいる資格のない人間よ。体力が戻ったらすぐに出ていくわ。」

ホウオウはうつむき加減でこたえる。

「私は、姉さんにここにいて欲しい。一緒に魔神と戦ってもらいたいと思ってる。」

「ありがとう。スザク。でも私は、ここにいちゃいけない人間なのよ。何よりもライジンが黙ってないだろうし。」

ホウオウの顔が曇る。

「じゃあ、私と一緒に町で暮らさない?オウガもいるし。フィーネたちにもいつでも会いに来れる。」

「こんな私でも、まだ姉と思ってくれるんだね。ありがとう、スザク。」

ホウオウは涙ぐんだ。

「じゃあ、それで決まりね。家や仕事は何とかなるわ。きょうだいで一からやり直しましょう!」

スザクとホウオウは抱き合った。

 

 

 

 

その夜。

 

スザクは、ホウオウとのことをフィーネに話した。

「わかった。2人のことはオルガに話しておくわ。」

フィーネは、スザクとホウオウに言った。

「ありがとう。フィーネ。敵だった私にこんなにしてくれるなんて、どうお礼をしたら良いか。本当にありがとう。」

ホウオウはフィーネに向かって申し訳なさそうに言った。

「姉さんと2人で生まれ変わったつもりでやり直すわ。」

スザクは力強く言った。

「そうね。2人ならきっと大丈夫。」

フィーネが、笑顔で言う。

「スザク、町に行っても、たまには遊びに来てね。」

リリィがスザクの手を握っている。

「もちろんよ。リリィや皆んなに会いにくるわ。」

 

スザクとホウオウがフィーネの仲間になったことで、魔神がどう動くか、対策を考える必要があったが、フィーネ達はいつも通り、のんびり過ごしている。

 

「ライジンとフウジンは、あれだけ痛めつけたから、しばらくは大人しくしてるだろうな。」

イブが言った。

「もし魔神が動くなら、ココにくるはずよ。私とリリィがいる、この森にね。」

フィーネがいつになく真面目な顔をして言う。

「もし魔神が来ても、おいらがいるから大丈夫だぞ。」

ハクが自信あり気に言う。

「確かにハクは強いけど、油断は禁物よ。何をしてくるかわからない。」

フィーネが、気を引き締めて言う。

 

「とにかく、心の準備はしておきましょう。」

フィーネは紅茶を一口飲んだ。

 

 

1ヶ月後。

オルガが手配してくれた家にスザクとホウオウが引っ越した。

仕事は、オルガの畑仕事の手伝いをすることになった。

「フィーネ、色々ありがとう。」

スザクが頭を下げる。

「スザク、ホウオウ、頑張って。」

フィーネ達は、手を振って見送った。

 

 

「待てー!」

「待つキー!」

「待つキキー!」

「おいらを捕まえてみな!」

スザクが居なくなっても、フィーネの丸太小屋は賑やかだ。

 

 

「フィーネ、良かったのか?」

イブが意味あり気に聞く。

「何が?スザクのこと?」

フィーネが紅茶を一口飲んで言う。

「オルガとスザクが同じ町に住んで。しかも仕事も一緒だぞ。」

イブが少しずつ核心を突いてくる。

「何が言いたいのか、よくわからないわ。」

フィーネは、とぼけて言う。

「このままだと、スザクにオルガを獲られるぞって話だ。」

イブが直球でフィーネに突っ込む。

「オルガとスザクはお似合いだと思うわ....」

フィーネはうつむきながら、紅茶を一口飲んだ。

「お前がエルフだから、オルガのことは諦めるのか?自分に素直になったらどうだ?フィーネ。」

イブが核心を突く。

「私と一緒になってもオルガは幸せになれない。これで良いのよ。」

フィーネは、紅茶を飲み干した。

「そうか....まあ、女神のお節介だったな。ぼくは、これ以上は言わない。」

イブも紅茶を飲み干した。

 

 

空は青く何処までも高い。

フィーネの心はどこかどんよりとしているのだった。

 

 

 

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