転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第34話

 

ここは、ウエス国の森の中。

 

「いくぞー!水流の舞!」

ハクが技を繰り出すと、両手から川のような水流が現れる。

「わーい!楽しいー!」

「楽しいキー!」

「キキー!」

リリィたちは、その水流にサーフィンのように乗っている。縦横無尽に舞う水流に乗っているリリィたちは、本当に波乗りをしているようだ。

 

「昼ごはんの時間よ!」

フィーネがリリィたちを呼ぶ。

「今日は、フィーネ特製ふわとろパンケーキよ。」

ふわふわでトロトロのパンケーキにたっぷりの蜂蜜がかかっている。

砕いた木の実がトッピングされていて、美味しそうだ。

「やったー!パンケーキだ!」

リリィが目を輝かせて頬張る。

「おいら、このパンケーキってやつ、気に入ったぞ。」

ハクの口にも合ったようだ。

「フィーネは、前世では凄腕の料理人だったんだな。」

イブがパンケーキを口に運びながら言う。

「まあね。名の知れたシェフだった時もあったわ。」

フィーネは鼻高々だ。

 

フィーネが料理人だった時は、レシピ本を出せばベストセラー、テレビ番組にも引っ張りだこ、経営する店も連日予約で一杯。超有名シェフだった。

SNSでの不用意な発言で炎上して、表舞台から姿を消したのだが。

「あれは失敗だったわね。」

フィーネは、嫌なことを思い出してしまった。

 

「フィーネ!遊びに来たよ。」

オルガたちだ。

「いらっしゃい!ゆっくりしていって。」

フィーネが出迎える。

「フィーネ、お久しぶり。」

スザクもホウオウも、すっかり元気になったようだ。

「紅茶をどうぞ。」

フィーネが魔法で紅茶を淹れる。

「フィーネの淹れる紅茶は、いつも美味しいよ。ありがとう。」

オルガに言われて、フィーネは顔を赤らめた。

 

 

露天風呂に入って寛いでいた時だった。

 

「ねえ、スザクはオルガとつきあってるんでしょ?」

リリィがど直球を投げる。

「な、何?付き合ってなんかないわよ!」

スザクが顔を真っ赤にして否定する。

「スザクは、満更でもないんでしょ?」

ホウオウが笑いながら言う。

フィーネは、スザクたちと少し距離を置いた。

「私は、オルガはいい人だと思う。」

スザクが言う。

「なら、告白したら?」

リリィがグイグイ来る。

「オルガは、別に好きな人がいるみたいだから。」

スザクが言うと、聞いていたイブがニヤニヤしながらフィーネの方を見る。

フィーネは、イブから目を逸らした。

「オルガが好きな人って誰かなー?」

リリィが無邪気に言う。

「それ以上は、大人の秘密!」

ホウオウがリリィを連れて、スザクから離れる。

「つまんないの!」

リリィが不満気に言う。

それをイブは、笑いながら見ていた。

 

 

一方、男湯では。

 

ハクが、湯船の中を泳いでいる。

オルガは、ゆっくり湯船に浸かって疲れを癒していた。

 

「オルガは、スザクが好きなのか?」

ハクが突然言い出すので、オルガは耳まで赤くなった。

「急になんだよ。ビックリするだろ!」

「スザクから好きの匂いがするんだ。」

「好きの匂いって?」

オルガがハクに聞く。

「相手の人が好きだと好きの匂いがする。嫌いだと嫌いの匂いがする。おいらにはわかるんだ。」

ハクは、感情が匂いでわかるらしい。

「僕は匂わないだろ?」

ハクは少し考えて、

「オルガはフィーネといる時に好きの匂いが、強くなる。」

オルガは真面目な顔で言う。

「匂いのことは、他の人には言っちゃダメだぞ。」

「わかった。誰にも言わない。」

ハクとオルガは指切りをした。

 

 

その夜。

 

「リリィが女神の魂を持つ子供だったのは分かった。私がこの世界を救う鍵だってことも分かる。じゃあ、具体的に何をしたら良いの?」

フィーネは、当然の疑問をイブにぶつけた。

「時が来れば分かる。今は、それしか言えない。」

イブは、奥歯に物が挟まったような言い方でこたえた。

「魔神を倒すのが、私たちの役目なの?」

「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるな。」

「何だかよく分からないわね。」

フィーネは戸惑っている。

「すまない。ぼくの口からはこれ以上は言えない。」

「もう分かったわ。魔神は倒す。世界も救う。やり方は、その時になって考える。それまでは、今まで通り、のんびり過ごすわ。」

フィーネは紅茶を一口飲んだ。

イブも紅茶を一口飲んだ。

 

「待てー!」

「待つキー!」

「待つキキー!」

「おいらは捕まらないぞ!」

リリィたちは、追いかけっこをしている。

 

 

「こんなにたくさんの星が空にはあって。私たちはこの世界で出会った。それだけで十分。今はこうして、のんびり暮らしてる。紅茶を飲みながら。難しい事は、その時になったら考えればイイ。」

フィーネはつぶやいた。

「君たちには、重い運命を背負わせてしまって、申し訳なく思ってる。その分、ぼくは全力で君たちを支えるつもりだ。」

イブがフィーネの方を見て言った。

 

ウエスの森の中は、いつも通りにのんびりとした空気が流れている。

これから起こるであろう大きなうねりは、静かに確実に近づいて来ているのだった。

 

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