転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第44話

 

ここは、エルドランド王国のエルドランド城内。

 

ホウオウとスザクは【深淵の鍵】を求めて、侍女として城内に潜入していた。

「姉さん、大臣は執務室に入ったまま出てこないわ。」

スザクが言う。

「スザク、動きがあるまで待つのよ。ヤツは絶対に保管室に行く。」

ホウオウが真剣な眼差しでつぶやく。

 

夕方から夜になろうとする時間、大臣が動き出した。執務室を出て歩いていく。

「大臣が動き出した!行くわよスザク。」

ホウオウがつぶやく。

 

大臣は階段を降りて下の階に向かった。

スザクとホウオウは、怪しまれないように距離を取り、大臣を尾行する。

 

大臣は、長い廊下をゆっくりと奥に進んでいく。その中の一つの扉の前で立ち止まった。扉に右手を当てると、ぼんやりと光り、カチャッと鍵の開く音がする。

「ここね。」

スザクが言う。

大臣は扉を開けて部屋に入って行った。

スザクとホウオウは素早く扉に近づき、部屋の中に潜り込む事に成功した。

「ここは、どうなっているの?」

ホウオウが言う。

部屋の中は、広大な空間が広がっていた。沢山の棚が整然と並んでいて、棚にはぎっしりと物が置かれている。

倉庫のようだ。

「この何処かに【深淵の鍵】があるのね。」

スザクが言う。

「大臣を探しましょう。」

ホウオウが言うと、2人は慎重に動き出した。

迷路のような倉庫を進んでいく。

スザクの視線の中に大臣の姿を捉えた。

スザクは、見つからないように大臣の姿を追う。

すると、大臣が止まった。棚に置かれた木箱を取り出して、蓋を開け、中身を確認する。

しばらくすると、木箱を元の場所に戻して立ち去った。

「姉さん、あれが【深淵の鍵】で間違い無いわ。」

「大臣は、もう居ないようね。行きましょう。」

ホウオウが言うと、大臣が見ていた木箱の所に向かった。

その木箱は、綺麗な装飾がされ、如何にも大事な物がはいっていそうだ。

 

ホウオウは、慎重に木箱を出した。

ゆっくりと蓋を開ける。

そこには......

何も入っていなかった。

「空っぽだわ!」

ホウオウが言うと、男の声がした。

「探しているのは、これかな?」

その男-大臣-は、ニヤニヤと笑いながら、左手に鍵を持っていた。

「大臣!」

スザクが言う。

「その鍵を私たちに渡しなさい。」

ホウオウが言うと、

「盗人の分際で何を言うか!お前たちは何者だ!」

大臣が叫ぶ。

「鍵さえ渡せば、命は助けるわ。直ぐに鍵を渡しなさい。」

ホウオウが低い声で言う。

「残念だが、お前たちには鍵は渡せないな。これは魔神様への手土産だ。」

大臣の目が赤く光る。

「お前、人間では無いな!何者だ!」

スザクが叫ぶ。

大臣の体は、みるみる肥大化し、硬い皮膚が現れた。手足には鋭い爪が生えている。

「久しぶりだなぁ。ホウオウ、スザク!」

「お前は、ゲンブ!」

大臣の正体はゲンブだった。

ホウオウとスザクは剣を構える。

「鍵が欲しければ、俺を倒してみろ!」

ゲンブが襲いかかってきた。

両手の爪でホウオウとスザクに斬りかかる。2人は素早い動きでかわしていく。

ホウオウが剣で斬りかかるが、硬い皮膚に阻まれて傷一つ付けられない。

「俺に剣は効かないぞ!」

容赦なく爪の攻撃が続く。

「スザク!関節を狙うのよ。」

ホウオウが言うとスザクは、膝の関節を狙って剣を振った。

ザンッ!

ウガッ!

スザクの剣がゲンブの右足の関節を切り裂いた。

ゲンブは立てなくなった。

「クソッ!動けねぇ。」

「勝負有りね。ゲンブ、鍵を渡しなさい。」

ホウオウの言葉に、ゲンブは悔しそうに【深淵の鍵】を渡した。

「さあ、俺にとどめを刺せ。」

ゲンブが言うと、

「もう2度と私たちの前に現れないで。」

ホウオウとスザクは、そう言って立ち去ろうとした。

その背後で声がする。

「甘いな!ホウオウ!死ね!マウンテンフォール!」

巨大な岩の塊が落ちてくる。

「走って!スザク!」

ホウオウが叫ぶ。

ドドドドッッ!!

倉庫の中は、あっという間に岩の山に埋め尽くされた。

間一髪、スザクは扉からの脱出に成功した。

ホウオウは、いつまで待っても出てこない。

「姉さん!」

スザクは、その場に座り込んでしまった。

「姉さん、そんな!」

スザクが諦めたその時、

ゴホッ!ゴホッ!

砂まみれのホウオウが咳き込みながら出てきた。

「姉さん!生きてたのね!良かった。」

ホウオウか右手を出すと、そこには【深淵の鍵】があった。

ホウオウとスザクは、【深淵の鍵】を手に入れる事に成功したのである。

 

 

数日後。

ホウオウとスザクは、ウエス国の森に帰って来た。

「お帰り。ホウオウ、スザク。」

「ただいま。フィーネ。」

「深淵の鍵を手に入れたわ。これで魔神の本拠地-深淵の国-に行けるはずよ。」

ホウオウは、深淵の鍵をフィーネに渡した。

「2人とも疲れたでしょう。ゆっくり休んで。」

フィーネは、そう言って紅茶を淹れた。

「やっぱり、フィーネの淹れた紅茶が一番の癒しね。」

スザクは、紅茶を一口飲んで笑った。

「そうね。」

ホウオウも紅茶を飲んだ。

 

「これで、人と物は揃ったな。」

イブが言う。

「決戦が近づいて来たわね。」

フィーネは空を見上げた。

 

澄みきった青空が何処までも続いていた。

 

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