転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第47話

ここは、900年ほど前のエルフの里。

 

ハンスとフィーネは、前にも増して一緒に過ごす事が多くなった。

二人は毎日のように里の中心の大木に通い、愛を育んだ。

 

そんなある日のことだった。

 

「怪我人だ!道を開けてくれ!誰か処置を頼む!」

狩りに出ていたエルフの一人が大怪我を負って帰ってきた。

狩りをしている最中に、巨大な魔物に襲われたらしい。恐らくグリズリーだろう。

魔神ザハークが倒されてから、強力な魔物は出なくなったはずだが......

 

「恐らくグリズリーだろう。何でこんなところに。」

里の大人たちは、緊急事態ということで、里の長の家に集まって話し合った。

 

「ハンス、里は大丈夫かな?」

フィーネが不安げに話す。

「きっと大人たちが何とかしてくれるよ。」

ハンスも不安そうだ。

 

大人たちの話し合いは、明け方まで続いた。

 

取り敢えずは、里の守りを固めることになった。周囲を木の壁で囲む。女子供は、当面外出禁止。弓や矢をたくさん作って、敵襲に備えた。

 

捜索隊が結成され、里の周りの魔物を調べた結果、グリズリーやウェアウルフ、ゴーレムにサイクロップスなど大型の魔物の群れが、里の周囲を取り囲んでいる事がわかった。

逃げ場は無い。絶望的な状況だった。

 

ハンスの家族とフィーネの家族は1ヶ所に固まって隠れていた。父親は魔物との戦いに駆り出されている。

里の周囲には松明が配置され、弓を構えた男たちが、周りを窺う。

 

「フィーネ、離れるなよ。」

ハンスが周りを警戒しながら言う。

「怖いよ、ハンス。」

フィーネはハンスの腕をしっかりと握っている。

 

「魔物が来たぞー!」

暗闇を裂くような声が響いた。

急に大人たちが慌ただしく動き出す。

 

暗闇の置くから魔物の群れが現れた。

怪しく蠢く黒い塊は次第にハッキリとしてくる。

「射てー!」

一斉に矢が魔物に向けて放たれる。

ギャー!グワーッ!

魔物が次々に倒れていく。

「休むな!射ちまくれ!」

巨大な魔物が木で作った防御壁に迫ってくる。

そして、ついに壁が破られてしまった。

「逃げろ!撤退だ!」

大人たちが次々と持ち場を離れて逃げていく。

 

「フィーネ、この里はもうダメだ。一緒に逃げよう。」

「お父さんはどこ?一緒に探して!ハンス。」

「分かった。一緒に探そう。」

ハンスはフィーネの手を引き、大人たちが逃げる方向と逆に向かって走り出した。

「お父さん!」「父さんどこだ!」

「ハンス!」

ハンスの父親の声がした。

「父さん!」

ハンスは父親の方が気になって、フィーネの手を離してしまった。

「ハンス!」

フィーネは、逃げる大人たちの波に押されてハンスとはぐれてしまった。

「お父さんを探さなきゃ。」

フィーネは、ハンスと逆の方向に歩き出した。

「お父さん!どこにいるの!」

フィーネが叫ぶが返事はない。

 

その時、

 

「フィーネ!」

フィーネが声に振り返ると、崩れた家の下敷きになった母親がいた。

「お母さん!」

フィーネが駆け寄る。

「フィーネ...逃げなさい...」

「お母さん!今、助けるから!」

フィーネは母親の手を引いて助けようとするがピクリとも動かない。

「お母さん、今助けを呼んでくるから、待ってて!」

フィーネは助けを求めて走り出した。

 

「誰か!助けて!」

フィーネが必死になって呼び掛けるが、誰も助けてくれない。

「誰か!誰か!お願い!助けて!」

フィーネの叫びが虚しく響く。

ウガーッ!

フィーネの背後に巨大な影が迫っていた。

フィーネが振り返るとそこにはゴーレムがいた。

「ヒィッ!イヤッ!」

フィーネが逃げようとした時、ゴーレムが人を掴んでいるのが見えた。

それは、フィーネの父親だった。

「お、お父さん!」

フィーネが叫ぶが反応がない。

ゴーレムは腕を振り上げ、掴んでいたフィーネの父親の身体を投げた。

その身体はまるで小石のように遠くに飛んで行った。

「やめて!お父さんが!」

フィーネの声を聞いて、ゴーレムが向かって来る。

フィーネは必死に逃げた。

美しかったエルフの里は炎に包まれている。魔物たちは、エルフを踏み潰し、握り潰し、噛み殺し、喰い殺していた。

その悪夢のような光景の中を

フィーネは必死に走り抜けた。

 

ドカーンッ!ドーン!

あちらこちらで爆発が起こる。

 

エルフの里の外れまでフィーネがたどり着いた時、巨大な一つ目の魔物が目の前に立ち塞がった。サイクロップスだ。

 

フィーネは、サイクロップスを、かわして逃げようとした。が、信じられない光景が目に飛び込んできた。

 

サイクロップスが大きな口を開けている。

そこには、下半身まで飲み込まれたハンスがいた。

「ハンス!」

フィーネが叫ぶ。

ハンスが苦悶の表情を浮かべながら、フィーネの方を向いた。

ハンスは微笑みながら言った。

「フィーネ、ありがとう。大好きだよ。」

次の瞬間、サイクロップスはハンスを一飲みにした。

「ハンス!イヤーッ!!!!」

フィーネは叫んだ。涙が溢れて止まらない。しかし、今は泣いている時ではない。

フィーネは涙を拭い、里の外に向かって走り出した。

 

無我夢中で走り続け、気がつくと夜が明けていた。

 

フィーネは何日も森の中を彷徨った。

何日経っただろうか?

目の前が開け、ボロボロの丸太小屋が現れた。

フィーネは、ヨロヨロと玄関まで歩き扉を開けて、そのまま倒れ込み気を失った。

 

今から900年ほど前のことである。

 

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