転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第49話

 

ここはウエス国の森の中。

 

フィーネとオルガは町の市場に遊びに来ていた。

青い蝶の髪飾りをオルガに買ってもらったフィーネは上機嫌である。

「♪〜」

鼻歌混じりで市場を歩いている。

横を歩くオルガも楽しそうだ。

 

そんな2人をコソコソと尾行している影が二つあった。スザクとホウオウである。

「姉さん、ターゲットが動いているわ。遅れないで。」

スザクが物陰に隠れながら言うと、

「わかったわよ......」

半ば呆れながら、ホウオウが付いて行く。

 

尾行されているとは知らず、フィーネとオルガはデートを続けていた。

「フィーネさん、良いところがあるんだ。一緒に行かない?」

オルガが提案すると、

「良いわよ。連れて行って。」

フィーネが応えた。

「じゃあ、行こう。フィーネさん、こっちだよ。」

オルガは、フィーネの左手を掴んで歩き出した。

フィーネは、少し驚いたがそのまま付いて行く。

鉱山とは逆の方向の町外れ。

緑に覆われた丘が目の前に現れた。

「ここからの眺めが最高なんだ。」

オルガはフィーネの手を引いて丘の上に向かう。

 

スザクとホウオウは岩影に隠れて見ている。

 

「さあ、ここだ。」

オルガに言われてフィーネは振り返った。

「うわーっ!きれい!」

フィーネが思わず声を上げる。

町を一望出来る丘の上からは、ちょうど鉱山が見える。そして、鉱山の頂上に夕陽が佇んでいた。それは黄金に耀く宝石のようだった。

オルガとフィーネはしばらく黙って夕陽を眺めていた。

フィーネは、オルガの左手を握った。

オルガは、フィーネの右手を握り返す。

そこには、2人だけの時間が流れていた。

 

岩影に隠れたスザクは、それを複雑な心境で見ていた。

 

夕陽が鉱山に隠れ、辺りが薄暗くなってきた。町の灯りが瞬き出す。

「フィーネさん、お腹空かない?」

オルガが言うと、

「私も、そう言おうと思ってたの。」

フィーネが微笑んで応える。

「じゃあ、食事に行こうか。」

「行きましょう!」

オルガとフィーネは歩き出した。

 

スザクとホウオウも慌ててついて行く。

 

食事の店は、オルガ行きつけの『ブルークリスタル』。地元では一番の名店だ。

 

「いらっしゃい!オルガ、今日は綺麗な人を連れてデートかい?」

店長にからかわれる。

「店長。今日は良い一日だったんだ。上等な酒を持って来てよ。」

オルガが言うと、すぐに飲み物が運ばれて来た。

「これはウチで一番上等な酒だよ。」

店長はニヤッと笑ってウインクした。

「ありがとう。」

オルガはグラスを持って会釈した。

「さあ、フィーネさん。飲もうか。」

「そうね。美味しそう。」

「素晴らしい一日に、乾杯!」

「乾杯!」

チン!

グラスのあたる音がした。

「このお酒、美味しい!」

フルーティで甘口の葡萄酒だ。

「うん、これは美味しいね。」

オルガはあっという間に飲み干してしまった。

「オルガ、あまり飲み過ぎないでよ。介抱するのは私なんだから。」

フィーネが釘を指す。

「大丈夫。前のような失態はしないよ。店長!おススメの料理持って来て!」

オルガが言うと、たくさんの料理が運ばれて来た。どれも美味しそうだ。

 

店の端の席には、目立たないようにしてスザクとホウオウの2人がいた。

楽しそうに会話をしているオルガとフィーネをチラチラと見ている。

「あまり見てると怪しまれるわよ。」

ホウオウが言うと、

「大丈夫よ。あの2人、何を話してるのかしら?気になるわ。」

スザクは、オルガとフィーネが気になって仕方ないようで、落ち着かない。

「スザク、頭を冷やした方が良いわ。」

「分かってるわよ。」

スザクは、まだオルガ達の方をジッと見ている。

「やれやれ......」

ホウオウは壁の方をみた。

 

 

「フィーネさんは、その、リリィのことはどう思ってる?」

オルガが赤ら顔でフィーネに聞いた。

「リリィは、家族よ。大事な。」

「リリィが女神の魂を持つ子供だと言うことは、魔神と戦うってことだよ。フィーネはそれで良いの?」

「それが運命なら仕方ないわ。」

フィーネは真剣な顔になった。

「リリィはまだ12歳の子供だ。彼女には荷が重過ぎないか?」

「そのために99回転生した私がいるのよ。安心して、リリィに負担はかけない。」

「フィーネが1人でそれを被るのも間違ってると僕は思うんだ。」

オルガも熱くなってきた。

「私は、全部1人で被る気はないわ。もちろん、もしもの時は皆んなを頼る。」

「僕やゴブローやハクやスザクやホウオウ、みんながフィーネと一緒にいる。家族だ。頼って欲しい。」

「わかったわ。ありがとう、オルガ。」

フィーネは、目に涙を浮かべながら言った。

「約束だ。絶対に1人で背追い込まないこと。」

オルガは、そう言うとテーブルに突っ伏した。

「オルガ!大丈夫!?」

フィーネが肩を揺すると、

「フィーネさん......好きだ......」

オルガが寝言を言っている。

「知ってるわよ。馬鹿ね、オルガは。」

フィーネはそう言うと涙を拭った。

 

店の端の席にいたスザクとホウオウは、いつの間にか居なくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

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