転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第50話

 

ここはウエス国の森の中。

 

町で一日デートを楽しんだオルガとフィーネは、町一番の名店『ブルークリスタル』で2人きりの食事を楽しんでいた。

 

「オルガ!起きて!」

肩を揺するが起きる気配がない。

フィーネは途方に暮れていた。

「店の扉は開けとくから、ごゆっくり!」

店長が気を利かせて帰って行った。

もう店内にはオルガとフィーネの2人しかいない。

「オルガ、水を持ってくるわね。」

フィーネは、そう言うとグラスに水を入れて持って来た。

「さあ、飲んで。」

オルガは辛うじて起き上がり、水を飲んだ。

「本当に、仕方のない人ね。」

フィーネがオルガを見つめる目は優しい。

「フィーネさん......好きだ......」

オルガはまだ微睡の中にいるようだ。

 

フィーネは、1人考え事をしていた。

魔神を倒すためには、リリィとフィーネの力が絶対に必要だ。リリィが深淵の国への扉を開き、魔神の力を抑える。フィーネは99回の転生で得た力の全てを魔神にぶつける。そして、フィーネは、100回目のー最後のー転生を迎える。つまり、それは、フィーネの「死」を意味する。このことはフィーネ自身と女神イブしか知らない。

このことを他の皆んなに話せば反対されるのは目に見えている。絶対に隠し通さなければならない。

フィーネはフゥッと息を吐いた。

 

「だから、私はオルガとは一緒になれないの。ごめんね。」

そう言って、フィーネはオルガの頬にキスをした。

 

「フィーネさん...むにゃむにゃ...」

オルガはまだ起きない。

 

テーブルに伏せて寝るオルガをフィーネはただただ優しい眼差しで見つめていた。

 

オルガは夢を見ていた。

 

「フィーネさん!どこだ!」

辺りは真っ白で何も見えない。

遥か遠くに黒い人影のようなものが見える。

「フィーネさん!そこにいるのか!」

人影に走って近づこうとするが、全く距離が縮まらない。

「フィーネさん!」

オルガはすぐ隣の気配に気づいた。

「リリィ?」

リリィは言う。

「フィーネは100回目の転生をするの。もうお別れよ。」

オルガは驚いて叫ぶ。

「そんな!フィーネさん!行かないでくれ!」

遠くの人影は消えてしまった。

「さあ、オルガ、行きましょう。」

リリィが言う。

「何処へ?」

オルガが言うと、リリィの姿はみるみるうちに醜い魔物の姿に変わった。

「魔神様の所だ!」

「ウワーッ!!」

 

 

ガバッ!

オルガは目を覚ました。

「夢か......」

オルガの目の前にはフィーネが寝ている。

それにしても嫌な夢だった。

オルガは、近くにあったグラスの水を飲み干した。

 

「フィーネさん。」

オルガが肩を揺すると、

う、ーん...

フィーネが体を起こした。

オルガを見て言う。

「オルガ、起きたのね。」

「フィーネさん、ごめん。また酔い潰れたみたいで。」

「大丈夫。店長さんが店を開けておいてくれたから。」

フィーネは、目を擦りながら言った。

「すっかり遅くなってしまったね。」

「そうね。ゆっくり帰りましょうか。」

そう言うとフィーネは立ち上がった。

オルガも立ち上がり歩き出す。

 

店の扉を閉めて『close』の看板を立てかけて、オルガの家に向かって歩き始めた。

 

「フィーネさん。」

「なに?」

「僕は思うんだ。人間とかエルフとかゴブリンとかドリアードとか女神とか水竜とか関係なく、皆んな家族になっている丸太小屋って良いなって。」

「そうね。いつの間にかそうなっちゃったわね。」

「フィーネさんが居たから、皆んな集まって家族になったんだよ。」

「私が居たからか。」

フィーネは、恥ずかしそうに呟いた。

「僕も皆んなもフィーネさんが好きだ。だから、誰も失いたくない。」

オルガはいつになく真剣な表情で話している。

「魔神との戦いが避けられないのは、分かってる。だからこそ、今、言っておきたい。」

「どうしたの?急に真面目な顔して?」

フィーネは少し動揺しているようだ。

 

「フィーネさんは、僕より沢山の人生を経験してるし、歳もずっと上だ。何より不老長寿のエルフだ。」

「そうね。」

「それにひきかえ、僕はただの人間の農夫。人生経験も少ない。」

「でも、良い人よ。」

フィーネが精一杯のフォローをする。

「ありがとう。僕は魔神との戦いの前に後悔を残したくない。だから決めたんだ。どんな結果になろうと自分に素直になろうって。」

オルガが真っ直ぐな目で見つめてくる。

「オルガ...」

フィーネは、思わず唾を飲み込む。

 

「どうか、真面目に聞いて欲しい。」

「うん。」

永い沈黙が続いた。そして、

「僕は、フィーネさんが好きだ。結婚を前提に付き合ってもらえないかな?」

オルガが言うと、フィーネは俯き加減で応えた。

「本当に私で良いの?エルフなのよ?」

「僕は、エルフのフィーネさんが好きなんだ。」

フィーネは、少し考えて返事をした。

「私もオルガが好きよ。お付き合いしましょう。」

オルガは、緊張が解けてホッとした顔で言った。

「ありがとう。これからもよろしく。」

「こちらこそ。」

 

 

空には満天の星空が瞬き。

一筋の流れ星が流れて行った。

 

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