転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第55話

 

ここはウエス国の森の中。

 

「待てー!」

「待つキー!」

「待つキキー!」

「おいらを捕まえてみな!」

リリィたちは、ウエス山での冒険を終えたばかりにも関わらず、元気に追いかけっこをしている。

 

イブはロッキングチェアに座って、それを眺めていた。

「子供は元気で良いな。それにしてもフィーネは遅い。何をしてるんだ?」

町に薬を届けに行ったフィーネは、まだ帰っていなかった。

「まさか、何かあったんじゃないだろうな?」

流石のイブも心配になってきた。

 

すると、森の中から人影が出てきたフィーネだ。心ここに在らずという感じで、顔は紅潮し、ぼんやりと歩いている。

リリィたちが、フィーネに気付いた。

「あっ、フィーネ!お帰りなさい!」

「お帰りキー!」

「お帰りキキー!」

「フィーネ、お帰り!遅かったな!」

 

フィーネは、4人の言葉に反応せず、真っ直ぐに丸太小屋に歩いた。

リリィは、不思議な顔をする。

「リリィ、どうしたんだ?」

ハクも首を傾げる。

 

「フィーネ、お帰り。遅かったな。」

イブか声を掛けるが、反応が無い。

フィーネは、そのままロッキングチェアに座った。が、視線は宙を見ていて、ピントが合っていない。心なしか口元は緩んでいる。

「フィーネ!何かあったの?」

リリィがフィーネに話し掛けるが、反応がない。

「ねえ、フィーネ!」

リリィがフィーネの目の前で手を振る。が、無反応だ。

「目がハートになってるな。さては、良いことがあったな。」

イブが言う。

「良いこと?」

リリィが、イブに訊ねる。

「良いことは良いことだ。」

「何だかよくわかんない。」

「リリィもおとなになれば分かる。」

リリィは納得していない様子だ。

 

「リリィ、紅茶でも飲むか?」

イブが言うと、フィーネはやっと応えた。

「頂こうかしら。」

「リリィ、フィーネに紅茶を淹れてやってくれるか?」

「わかった!」

リリィはキッチンに行き、紅茶を淹れた。

「はい、フィーネ。紅茶だよ。」

「ありがとう。」

フィーネは、リリィに礼を言い、紅茶を一口飲んだ。

「リリィの淹れた紅茶は、美味しいわ。」

フィーネの言葉にリリィは驚く。

「フィーネ、やっぱり変だよ!」

「私はいつもと同じよ。」

そう言うものの、やはりぼんやりしている。

「フィーネにもついに春が来たか。」

イブが笑いながら言う。

「春?」

リリィは不思議そうにイブを見た。

 

その日、フィーネはずっとこんな感じであった。

 

その夜。

 

フィーネはキッチンで魔法を使って料理をしている。

リリィたちは、それをリビングで待っている。が、なかなか料理が出来ない。

「遅いね。」

リリィが言う。

「そうだな。おいら腹減ったぞ。」

ハクは、待ちきれない様子だ。

 

「お待たせ。今日は、フィーネ特製オムライスよ。」

鮮やかな黄色のオムライスがテーブルに並ぶ。

トマトケチャップをかければ出来上がりだ。

「さあ、食べましょう。」

「いただきます!」

早速、ハクが頬張る。

「これ、中のご飯が美味しいな。」

「チキンライスよ、周りの卵と一緒に食べて。」

「これもまた、日本を思い出すな。」

イブも美味しそうに食べている。

 

「ねえ、フィーネ。町で何かあったの?」

リリィがオムライスを食べながら、フィーネに聞く。

「町でオルガに会ったの。」

フィーネの顔が赤くなった。

「それで?」

リリィが前のめりになる。

「オルガと一日中デートした。」

フィーネの頭には、青い蝶の髪飾りが光っている。

「楽しかった?」

リリィが、聞く。

「凄く楽しかった。それで、私たち正式にお付き合いすることになった。」

フィーネの顔が更に赤くなる。

「やったじゃないか!フィーネ。」

イブも嬉しそうだ。

「フィーネとオルガは結婚するのか?」

ハクが遠慮無しに聞いてくる。

「結婚は、まだ先の話ね。したいとは思うけど......」

「フィーネ、おめでとう!オルガとならお似合いだよ。」

リリィも嬉しそうだ。

「お似合いキー!」

「お似合いキキー!」

モックとドンキーも祝福している。

 

丸太小屋はお祝いムードに包まれた。

 

 

食事の後、

いつも通りフィーネたちはロッキングチェアに座り、のんびり紅茶を飲んでいる。

 

「フィーネ、よく決心がついたな。」

イブがフィーネに話し掛ける。

「随分迷ったけど、オルガの告白を受けることにした。これは、私の覚悟。」

フィーネは真剣な顔で言う。

「100回目の転生のことは、オルガは知ってるのか?」

「オルガには、まだ話してない。」

「そうか......」

イブは黙ってしまった。

「たとえ未来に私が居なくても、オルガには幸せでいて欲しい。だから決心したの。」

フィーネの瞳からひとすじの涙が流れた。

「フィーネ、本当にすまない。」

「イブは悪くないわ。これは私が決めたこと。」

フィーネは涙を拭った。

「今度は私は誰に転生するのかしら?」

「それは、まだ分からない。」

イブが答える。

「オルガに近い人なら良いな。」

フィーネはつぶやいた。

「そうだな。」

イブもつぶやいた。

 

夜空には満天の星。

瞬く星たちがフィーネには滲んで見えた。

 

 

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