転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第58話

 

ここはウエス国の森の中。

 

リリィは夢を見ていた。

 

魔神の城。王の間で魔神と対峙している。黒いオーラを纏ったその男は、リリィとその隣にいるフィーネを睨みつけている。その威圧感は、リリィの足の震えが止まらないほどのものだ。

「リリィ、落ち着いて。あなたなら出来る。」

フィーネが力強い声でリリィに語りかける。

「わかった。やってみる。」

リリィは、声を絞り出す。

「魔神!私の99回の転生で得た経験値のエネルギーをお前にぶつける!」

フィーネはそういうと、両手を掲げて魔法陣を出した。

「リリィ。私が魔神に攻撃したら、あなたがトドメを刺して。」

フィーネがリリィに優しく語りかける。その眼には涙が浮かんでいる。

「フィーネ、何をするの?」

リリィが聞くと、フィーネは微笑んだ。

「魔神!行くわよ!」

フィーネが両手を魔神に向けると、魔法陣が魔神を包み込み、眩い光がフィーネと魔神を覆い尽くす。

「フィーネ!」

リリィが叫ぶ。

グワーッ!

魔神の悲痛な叫び声がこだまする。

光が消えるとフィーネも消えていた。

魔神は瀕死の状態だ。

「フィーネ!」

リリィは、涙を堪えて、両手で剣を握り、魔神に振り下ろした。

 

 

 

 

リリィは、そこで目を覚ました。

丸太小屋の寝室。

横を見るとハクが寝ている。

「夢か......」

リリィは、そうつぶやくと体を起こした。

ベッドから起き上がり、下の階に行く。自分でお湯を沸かし紅茶を淹れる。

リリィは、紅茶を飲んで一息ついた。

 

上の階から誰か降りてくる。

そちらを見ると、ハクだった。

「リリィ、眠れないのか?」

「うん...嫌な夢を見ちゃって。」

「おいらにも紅茶淹れてくれよ。」

リリィは、ハクの分の紅茶を淹れた。

 

しばらく二人は黙って紅茶を飲んだ。

 

「ねぇ、少し散歩しない?」

リリィが提案する。

「夜の散歩か。いいね。行こう。」

ハクも乗り気だ。

二人は丸太小屋を出て歩き出した。

 

「何処に行くんだ?」

ハクが聞く。

「この間、みんなで行ったお花畑に行こう。」

「わかった。」

二人は森の中をどんどん進んでいく。

「何かあったら、おいらがリリィを守るからな。」

ハクが言う。

「ありがとう、ハク。」

リリィが少し照れながら答える。

 

しばらく歩くと、目の前が急に開けた。

丘の上まで行くと、眼下には一面の花畑。そして、空には満天の星空。

 

「うわーっ!」

 

リリィもハクもしばらく立ち尽くした。

 

「こんなに綺麗な景色初めて。」

「コレは凄いな。おいらも感動した。」

 

リリィとハクはその場に座って、しばらく空を見上げていた。

 

「私ね。ハクやフィーネたちと家族になれて幸せなんだ。」

「おいらもそう思うぞ。」

「だから、みんなと離れたくない。絶対に。」

「そうだな。」

 

「私たち、魔神に勝てるかな?」

リリィが少し震える声で言う。

「おいらたちなら勝てるさ。」

ハクがワザと大きな声で返す。

 

「ねぇ、ハク。フィーネは居なくならないよね?」

リリィは涙声でハクに問いかける。

「フィーネは、リリィを置いて何処かに行ったりしないよ。」

ハクはリリィを励ますように言った。

「私、不安で仕方ないの。フィーネが死んじゃうんじゃないか?って。」

「フィーネは強い。絶対に死なないよ。」

 

リリィは、ハクに寄りかかった。

ハクは一瞬、戸惑ったが、そのまま受け入れた。

「リリィも頑張ってるし、絶対に勝てるさ。」

ハクはリリィの頭に手を置いて撫でた。

「お母さんも、見てくれてるかな?」

「うん。きっと見てるよ。」

 

しばらく静寂の時間が流れた。

リリィとハクの息遣い。それと、時折り吹く風のざわめき以外には何も聞こえない。

 

「リリィ。お母さんの近くに行ってみないか?」

ハクが突然提案する。

「えっ?お母さんの近くって?」

リリィが驚いて答える。

「どの星がお母さんか分からないけど、出来るだけ近くに行こう。」

ハクはそう言うと、竜の姿になった。

 

「さあ、乗って。」

ハクに促されて、リリィはハクの体に乗った。

「ちゃんと掴まってて。」

「うん。」

ハクは、空に舞い上がった。見る見るうちに森が小さくなって行く。

「見て!あれが丸太小屋ね。あそこはウエス湖!」

リリィが叫ぶ。

「リリィ。上を見て。」

ハクが言うと、リリィは上を見上げて息を呑んだ。

「凄い!星の中に居るみたい!」

満天の星空に包み込まれているような感覚だった。とても幻想的で、今まで見たことのない光景。

「この中に、お母さんも居るのかな?」

リリィがつぶやく。

「きっとリリィのことを見守ってるさ。」

ハクが答える。

「ありがとう。ハク。私、やれそうな気がする。」

「おいらが居るから大丈夫。それにフィーネや皆んなも居る。」

「うん!」

 

ハクとリリィは、しばらく空を飛び、そして、丸太小屋に帰って行った。

 

 

 

 

物音に気付いたフィーネが二階から下に降りると、リリィとハクが紅茶を飲んでいた。

「どうしたの?二人とも。」

フィーネが聞くと、

「ちょっと良いことが、あったんだ。」

「そう。おいらとリリィだけの秘密だ。」

リリィとハクが目を合わせて笑った。

フィーネは、不思議そうな顔をして、自分の紅茶を淹れて座った。

「まあ、いいわ。お邪魔して良いかしら。」

「もちろん。どうぞ。」

 

リリィたちは、夜明けまで他愛のない話をして過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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