転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第59話

 

ここはウエス国の森の中。ではなく、十数年前のエルドランド王国内のとある町。

 

一人の女の子が数人の男の子たちに囲まれていた。

「お前、汚ないんだよ!あっちに行けよ!」

「私、何もしてないよ......」

女の子はひどく怯えている。無理もない、年上の男の子数人に取り囲まれているのだ。路地裏なので人通りも少ない。多勢に無勢だった。

「お願い......やめて......」

「この町から出て行けよ。臭いんだよ。」

「うう、誰か助けて、お姉ちゃん!」

 

その時だった。

 

「あんた達!私の妹に何してるの!?」

別の女の子の声がした。

「やばい!逃げるぞ!」

男の子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

「大丈夫?怪我はない?」

「......うん、ありがとう。お姉ちゃん。」

「こんなところに一人で来ちゃダメだよ。」

「ごめんね。お姉ちゃん。」

二人の姉妹は歩き出した。

 

妹は、スザク。

姉は、ホウオウ。

たった二人の家族である。

両親は事故で亡くなり、身よりはない。

飲食店の残り物やゴミ箱の残飯を漁って、何とか生きている。

二人にはお気に入りの場所があった。

町外れの高台の見晴し台。

この町の全体を見下ろすことが出来る。そこに座って食事をしている時間が一番幸せだった。

 

「美味しいね。お姉ちゃん。」

「もう、危ない所に一人で言っちゃダメだよ、スザク。」

「わかった。お姉ちゃん。」

ホウオウは、スザクの頭を撫でた。

二人はしばらく町を眺めていた。

 

ホウオウとスザクは、いつも二人で一人のように一緒に行動していた。

 

そんなある日。

 

一人でホウオウは残飯を探しに町に出ていた。

スザクは、姉妹が寝床にしている空き家に一人で残されていた。

暇を持て余したスザクは、寝床にしていた空き家を出て、歩き出した。

 

姉を探して町を歩き回る。

人通りの少ない町外れを通りがかった時だった。

向こうから、大きな図体をした男が一人歩いてきた。

 

重たそうな甲冑を身につけ、睨みつける様な恐ろしい眼をしている。

スザクは男から目を逸らして道の端っこを歩いた。

 

「お嬢ちゃん。ちょっと良いかい?」

男が話し掛けてきた...!

スザクが足早に逃げようとしたその時。

「道を聞きたいんだけど。」

オジさんが道に迷って困っている。助けてあげなきゃ!

恐怖心よりも親切心が勝った。

「どうしたの?オジさん?」

 

スザクは男を見上げて勇気を振り絞って話し掛けた。

男は膝を曲げて腰を屈めて、スザクに微笑みかけた。恐ろしい顔には違いないが何処か愛嬌がある。

「実は道に迷ってしまってね。困っていたんだ。」

「私が案内してあげる。」

「本当かい?ありがとう。オジさんはゲンブって言うんだ。」

「私は、スザク。」

スザクとゲンブは歩き始めた。

 

しばらく歩くと道端に馬車が停まっていた。馬車には荷物が積んであるようだ。馬車を曳く馬の横には、ヒョロっとした背の高い男が立っている。

 

「よう!ビャッコ。探したぜ。」

その背の高い男にゲンブが話し掛けた。

「あれはオジさんの友達でビャッコって言うんだ。ありがとう。スザクのお陰で見つかったよ。」

ゲンブはこのビャッコと言う人を探していたらしい。スザクは、ほっとした。

 

「オジさん、良かったね。じゃあね!」

スザクがそう言って、その場を去ろうとした時だった。

 

「おっと、そうはいかないなぁ。お嬢ちゃん。」

ゲンブはそう言うと、スザクの腕を掴んだ。

「オジさん!痛い!」

スザクの訴えを聞かずに、ゲンブはスザクの腕を引き馬車に押し込んだ。

積んであった縄でスザクを縛り上げる。暴れて抵抗していたスザクも大人しくなった。

 

お姉ちゃん、ごめんなさい。助けて......!

 

 

一方その頃。

 

いつもの寝床にスザクの姿がないことに気づいたホウオウは、町でスザクを探し回っていた。

 

「スザク!何処にいるの!返事をして!」

散々探し回ったが何処にも居ない。

諦めかけたその時。

 

「子供を拐う人身売買の集団がいるらしいよ。」

「怖いねぇ。うちも気を付けないと。」

「馬車でいろんな町を渡り歩いてるって話だ。」

「うちの子にも、怪しい馬車には絶対に近づくなって言い聞かせてるよ。」

 

 

町の人々の噂話がホウオウの耳に飛び込んで来た。

「人身売買!怪しい馬車!まさか、スザクが!?」

ホウオウは、手当たり次第に馬車を探し始めた。

何台か探したが、スザクの姿は無い。

 

町外れを歩いている時だった。

怪しい馬車が一台、道端に停まっている。

ヒョロヒョロっと背の高い男と背の低いガタイの良い厳つい男が、馬車の脇に座っている。

ホウオウは直感的に身を隠して様子を伺った。スザクは、あの馬車に乗っているに違いない。

ホウオウはチャンスを待った。

 

陽が落ちて辺りは薄暗くなっていた。

すると男たちが馬車を離れた。

今がチャンスだ!

ホウオウはゆっくりと慎重に馬車の荷台に近付く。

中から物音がする。

「スザク?」

ホウオウが小さな声で呼び掛けると、

「ん!んーっ!!」

声にはなっていないが、間違いなくスザクだ!

「スザク!今助けるからね!」

ホウオウがスザクを縛った縄を解こうとしたその時だった。

 

バシッ!

 

背後からの衝撃で、ホウオウは気を失った。

 

 

 

 

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