転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第68話

 

ここは試練の森の中の神殿。

 

 

精霊神アイリスに女神の力を引き出されたリリィは、まだ実感は無いが確実に魔力が上がっていた。

 

「リリィ、もう一つ、大事な話があります。魔神のことです。」

アイリスは、真剣な顔でリリィに話した。

「魔神ザハーク...精霊神様、魔神についての大事な話って何ですか?」

「わたくしのことを呼ぶ時はアイリスで良いです。リリィ。魔神は深淵の国に城を構えています。」

アイリスは静かに語る。

「はい。」

リリィも真剣な顔でアイリスの言葉に耳を傾ける。

「深淵の国に行くには深淵の鍵が必要です。その鍵を使うには古代から伝わる歌を歌う必要があります。」

リリィは思い出した。

「あの詩...」

 

三日月は、空に浮かぶ船

半月は、揺りかご

満月は、神の導き

新月の夜は、空に願おう

 

以前、古代遺跡から持って来た書物の中に出て来た詩だ。

 

アイリスは言葉を続けた。

 

「その詩は、言葉だけでは意味がありません。音階、旋律が合わさることで、初めて深淵の鍵を使うことができるのです。」

「旋律...歌ってことね。」

リリィは納得した。

 

「その歌を知るのは、古代人、そして古代人の末裔のみ。しかし、古代人の末裔は死に絶えてしまいました。」

「死に絶えてしまった?じゃあ、もう歌を知っている人はいないの?」

リリィは、驚いてアイリスに聞いた。

 

「古代人の血は絶えてしまいましたが、歌を引き継いだ者がいます。」

アイリスが言うと、

「それは、誰なの?アイリス!」

リリィが前のめりに聞いてくる。

 

「それは...わたくしです。」

アイリスの言葉にリリィは驚いた。

「アイリスが歌を引き継いだの!?」

「そうです。古代人とわたくしは親交がありましたので、彼らから教わりました。」

アイリスは静かに答えた。

「じゃあ、私たちが深淵の国に行く時にアイリスが歌ってよ。」

リリィが言う。

「そうも行かないのです。この歌は特別な人間が歌わないと効果がないのです。」

「そんな...」

「その特別な人間は、女神の魂を持つ者...リリィ、あなたです。」

リリィは、驚いて思わず叫んだ。

「私が!?」

「そうです。わたくしがあなたに歌を教えます。試しに歌ってみてください。」

アイリスの言葉にリリィは頷いた。

 

そして、アイリスは厳かに歌い出した。

 

三日月は、空に浮かぶ船

半月は、揺りかご

満月は、神の導き

新月の夜は、空に願おう

 

リリィは、感動して思わず涙ぐんでしまった。

「さあ、リリィさん。歌ってみてください。」

アイリスに促され、リリィは咳払いをし出した。

そして、思いっきり息を吸って、目を瞑り、感情豊かに歌い出した。

 

三日月は、空に浮かぶ船

半月は、揺りかご

満月は、神の導き

新月の夜は、空に願おう

 

神殿の壁にヒビが入り、今にも崩れ落ちそうになる。穏やかな表情だったアイリスの顔が曇り、耳を指で塞いだ。

 

リリィは歌い終えると満足気にアイリスの方を見た。

アイリスは思わず目を逸らす。

「ねぇ?アイリス。どうだった?」

リリィは満面の笑みで、アイリスに聞いた。

 

「そ、その、そうですわね。あともう少し練習したら、良いんじゃないでしょうか?」

流石のアイリスも言葉に詰まる。

リリィの歌は致命的に個性的過ぎる...いわゆる【音痴】だった。

 

「少し練習したら大丈夫?」

リリィが不安気な声で聞いた。

「そ、そうですね...そうですわ。わたくしが個人レッスンをしましょう。」

アイリスが言葉を絞り出す。

「個人レッスンかぁ、ここに私が通うのも大変だし...そうだ!アイリスも丸太小屋に住めばいいんだわ!」

リリィが突然、思いついた。

「わたくしが?リリィさんと一緒に住む!?」

アイリスは動揺している。

「だって、少しでも速く歌を覚えたいもの。それが1番よ。そうしよう!」

リリィの勢いに、アイリスは押し負けてしまった。

「分かりましたわ。わたくしも一緒に行きましょう。早速、特訓ですわ。」

アイリスは観念した。

 

「じゃあ、行きましょう、アイリス!フィーネやみんなを紹介するわ。」

リリィは、振り返って歩き出した。

アイリスも後からついて行く。

 

「わたくしとしたことが、不覚ですわ。」

アイリスは小さく呟いた。

 

 

その頃、

 

フィーネたちは妖精に用意してもらった食事を食べていた。

「リリィ遅いキー...」

モックはリリィの心配をしている。

「早く来ないと飯が無くなるぞ。」

ハクがリリィの分も食べようと狙っている。

 

微かに振動がして食器がビリビリと音を立てた。

「地震か?」

イブが言う。

 

ドドドドドッ!

 

遠くから地響きのような音が聞こえてきた。

「何の音?」

フィーネが不安そうに言った。

 

「フィーネー!」

遠くからリリィの声がする。そして、

 

ドーン!

 

フィーネたちが囲んでいる食卓にリリィが突っ込みテーブルが破壊された。

 

「あっ!フィーネ!紹介したい人がいるの!」

イブとハクは唖然としている。

「リリィ!食事が台無しじゃないの!」

フィーネはリリィを叱る。それに構わずリリィは続ける。

「フィーネに紹介したい人がいるの。こちらはアイリス。精霊神よ。」

アイリスが慌てて飛んでくる。

「初めまして。私はアイリス、精霊の神です。」

「今度は精霊の神様か...」

フィーネはため息をついた。

 

「それで、アイリスも丸太小屋に住むことになったから。今日から。」

リリィが言うと、

 

「えーっ!?」

フィーネたちは、声を揃えて叫んだ。

 

こうして、丸太小屋に新たな仲間が増えたのである。

 

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