転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第72話

 

ここはウエス国の森の中。

 

妖精神アイリスの歓迎会で夜更けまで盛り上がっていたフィーネたちは、まだ夢の中にいた。陽は空の真上にまで達しようとしている。

 

森の奥から複数の蹄の音と車輪の軋む音が微かに聞こえる。

フィーネの長い耳がピクリと動いた。

 

無数の蹄の音は次第に近づいて来る。

イブやハクたちも異変に気づいて体を起こす。

 

パカパカパカ...

 

馬が引く馬車が丸太小屋の前で停まった。

騎手の正装を纏った男たち。

 

フィーネたちは皆目を覚まして、異変に備えた。

「一体、何事?」

フィーネがつぶやく。

 

馬車から降りてきた男が目の前に紙を広げると。一つ咳払いをした。

そして、紙に書かれた文字を読み上げる。

いつの間にか、丸太小屋の全員がフィーネの所に集まっていた。

 

「ウエスの森の賢者、エルフのフィーネ殿に、ウエス国、国王陛下のお言葉を伝える。」

従者は続ける。

「ウエス国王女エリーゼ様が、何者かに誘拐された。捜索をしているが手掛かりは無い。そこで、ウエスの森に住む賢者、エルフのフィーネ殿の力をお借りしたい。王女が無事に帰ってきた際には、報酬を与える。」

フィーネたちは黙って聞いている。

「詳しい話は、直接話すので、ウエス城まで御足労願いたい。なるべく早く。コレはウエス国国王陛下の頼みである。」

従者は紙を元に戻し、しまった。

 

しばらくの沈黙の後、フィーネが重い口を開いた。

「畏まりました。エルフ・フィーネ。支度を整え、ウエス城に参ります。国王陛下にお伝えください。」

従者はフィーネにお辞儀をして、

「ありがとうございます。フィーネ殿。よろしくお願いします。」

そう言うと、馬車に乗り帰って行った。

 

「また、面倒くさいことに巻き込まれたわね。国王陛下の頼みじゃ断れないし...」

フィーネは、溜息をついた。

 

「大変なことになりましたね。」

アイリスが言う。

「お姫様を助けるのね!冒険!冒険!」

リリィは、大冒険の予感に目を輝かしている。

「コレは大変だぞ。」

ゴブローとオルガは腕組みしている。

「もしかしたら、魔神教が関係してるかも知れないわね。」

スザクとホウオウは一抹の不安を抱いていた。

 

その夜。

フィーネたちは、ウエス国王の依頼について話し合い。依頼を受けることにした。

 

モックとドンキーは森を離れられないので留守番。

フィーネ、リリィ、イブ、スザク、ホウオウ、オルガ、ゴブロー、ハク、アイリスの9人でウエス城に向かう。

翌朝、オルガが用意した馬車に乗って、ウエス城に向かった。

 

ウエスの森は、国土の南側、ウエス城は国土の北の端に位置する。

数週間の長旅だ。

 

「フィーネさん、ちょっと気になることがあるんだ。」

オルガが言う。

「何?気になることって。」

「僕の町の鉱山の奥に、最近、魔物が棲みついたらしい。それで鉱山が閉鎖されてるんだ。」

「鉱山に魔物......」

フィーネは嫌な予感がした。

「鉱山の魔物と今回の王女誘拐......何か関係があるんじゃないかな?」

オルガの目は真剣だ。

「調べる価値はありそうね。」

フィーネが言う。話を聞いていたホウオウとスザクもうなづく。

 

馬車はウエス城に近づいた。

巨大な城壁が姿を現す。城門の左右には強面の衛兵が立っている。

「国王陛下の命を受けて参りました。ウエスの森に住むエルフのフィーネとその家族でございます。」

衛兵は、お辞儀をして門を開けた。

門が開くとそこには城下町が広がっていた。

 

「うわーっ!大きな町!」

リリィが目を輝かせている。

「流石城下町だな。」

ゴブローが周りを見回して感嘆の声を上げる。

「まずは、今日の宿を探そう。」

オルガが言った。すると、王宮の兵士らしい男が話しかけてきた。

「フィーネ様と、そのご一行様ですね。私はお世話係のジュリアンです。宿屋までご案内します。」

ジュリアンに着いていくと、町の中心の大きな宿屋に案内された。

「こちらがお宿でございます。貸切にしてありますので、ご自由にお使いください。」

「貸切!流石王様。」

スザクとホウオウが驚く。

「わたくしの部屋もありますわ!」

アイリスも嬉しそうだ。

入り口には、大きな暖炉があって、寛げるようになっている。

「皆んな。取り敢えず、紅茶を飲んで休まない?」

フィーネが言うと、皆、頷いて椅子に座った。

フィーネが魔法で紅茶を淹れる。

一口紅茶を飲むと、体の疲れが癒えていく。

「ここの紅茶はイチゴの香りがして美味しいわね。」

フィーネの口にもあったようだ。

 

案内係のジュリアンが紅茶を一口啜って、話し出した。

 

「お食事は、店を予約してございます。お風呂は、宿屋の中に温泉がありますので、是非お楽しみください。」

 

「おいら、腹減ったぞ!」

「私も!」

ハクとリリィは、もうお腹ぺこぺこだ。

 

「では、お食事にご案内します。」

ジュリアンが促すとフィーネを先頭についていく。

「こちらでございます。」

大きな店だ。看板には、"ウエスの森"と書いてある。

「ウエス国の郷土料理の店です。どうぞお入りください。」

フィーネたちが店に入ると、たくさんの客で賑わっていた。様々な種族が舌鼓を打っている。

 

フィーネたちも豪華な食事を楽しんだ。

 

翌日、いよいよ国王との謁見である。

 

 

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