転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第73話

 

ここはウエス国の城下町。

 

フィーネたちは国王に謁見する為に、遥々ウエスの森からこの城下町に来ていた。

立派な宿屋(貸切)に驚いたり、豪華な食事に舌鼓をうったり、城下町の観光を楽しんでいた。

「本当に綺麗で大きな町だね!たーのしー!」

リリィは、無邪気にはしゃいでいる。

「目が回りそうなくらい華やかだね」

オルガがキョロキョロと視線を泳がせて感心している。

......内心、ここでフィーネさんとデートしたいと思っているのは、みんなには内緒だ......

「皆んな、迷子にはならないでね。」

フィーネが全員に釘を刺す。

「たまには人間の世界も良いですわね。」

アイリスがふわふわと飛びながら言う。

そうこうしているうちに宿屋に着いた。

翌日の国王との謁見に備えて、早めにそれぞれの部屋で休むことにした。

 

「なかなか良い部屋ね。」

フィーネはベッドに腰を下ろして一息ついた。

 

トントン。

ドアをノックする音がする。

 

「どうぞ。」

フィーネが言うと、ゆっくりとドアが空き、リリィが入って来た。

「フィーネ、ちょっとだけ良い?」

「どうしたの?リリィ?」

いつになくリリィが深刻な表情をしていることに、フィーネは気づいた。

 

「私、ちゃんと出来るかな?皆んなの力になれるかな?」

リリィの声が震えている。

息をつく間もなく様々なことが一気に押し寄せて来て、急に不安に襲われたのだろう。まだ、幼いリリィにとっては抱えきれないほどのプレッシャーだ。

「リリィ、大丈夫。私や皆んながいる。あなたは一人じゃない。」

「私、皆んなの足を引っ張るんじゃないか?って不安で仕方ないの......」

リリィの目には涙が浮かんでいた。

フィーネは、リリィの頭をポンポンと叩いて抱き寄せた。

「リリィ。今は思いっきり泣いて良いよ。あなたは頑張ってる。泣いても良い。」

フィーネがそう言うと、リリィの目から止めどなく涙が溢れて来た。

「ありがとう。フィーネ......」

リリィは耐えきれず嗚咽しだした。

「う、うわーん!」

フィーネは、リリィの頭を撫でて抱き寄せた。

「よく、今まで泣かないで我慢したね。えらいよ、リリィ。」

 

こうして夜は更けていった。

 

 

 

 

翌朝。

 

キッチンでは、フィーネが魔法で朝食を作っている。

食材は豊富に用意されていた。

今日の朝食は、スクランブルエッグとハム、トーストに野菜サラダ。そして、紅茶だ。

アイリスを筆頭に皆、次々と集まって来る。

「いよいよだな。緊張するぜ。」

ゴブローは、そう言いながら朝食をペロリとたいらげる。

「とても緊張しているようには見えないけど?」

スザクが笑いながら言う。

「王様ってどんな奴なんだろうな!強いのかな?」

ハクが無邪気にトーストを頬張りながら言う。

「ハクは、大人しくしてた方が良いな。」

イブが冷静に嗜める。

 

リリィは、まだ浮かない顔をしていた。

「リリィ、大丈夫。皆んながいる。」

フィーネがリリィの耳元で囁く。

リリィに笑顔が戻った。

 

朝食が終わって、食後の紅茶を楽しんでいる時、案内役のジュリアンがやって来た。

 

「皆様、お時間でございます。ウエス城にご案内します。」

ジュリアンが仰々しく言う。

「いよいよね」

ホウオウがつぶやいた。

 

宿屋の前には馬車が横付けされている。

フィーネたちは馬車に乗り込んだ。

 

御者が鞭を入れると、ゆっくりと馬車が動き出す。

リリィたちは車窓から流れていく街並みを見ていた。華やかな街並み。ここに暮らす人々は、この世界を覆い尽くそうとしている暗雲にまだ気づいていない。

馬車は城の玄関の前で止まった。

 

ジュリアンが先導する。

「では、王の間にご案内します。」

 

「緊張して来たな。」

オルガが、ゴブローに言う。

「小便したくなってきた。」

ゴブローの顔色が心なしか悪い。

 

大きなエントランスを過ぎ、広い廊下を歩いていく。真っ赤な絨毯が敷き詰められ、壁際には無数の彫像が並んでいる。その奥に巨大な両開きの扉があった。

 

ジュリアンが扉の前に立ち止まり、

「エルフ•フィーネ様とそのご一行が参りました。」

と高らかに宣言する。

 

巨大な扉が仰々しい音を立てながら開いた。

 

ジュリアンに促されて、フィーネたちは王の間の中に入って行く。

目の前には玉座があって、国王が座っている。

 

国王の目の前でフィーネたちは立ち止まり、深くお辞儀をした。

 

ウエス国王は、若いが威厳のある威風堂々とした人物だった。その高貴さが空気から伝わって来る。

 

「フィーネ殿、そして、そのご一行の皆様。突然呼び出してしまい申し訳ない。私が、ウエス国国王だ。」

国王は声にも威厳が溢れている。

 

「陛下。お初にお目にかかります。ウエスの森のエルフ•フィーネでございます。横に居るのは、私の家族です。」

フィーネが堂々と話す。

 

「家族か。家族は大事にしないとな。」

国王はうなづいて言った。

そして、話を続ける。

「今日、フィーネ殿を呼び出した理由は、他でもない私の家族を救って欲しいのだ。」

 

「家族を救う?」

フィーネが言う。

 

「実は、私の娘エリーゼが誘拐されたのだ。犯人はわからぬ。ただ、エリーゼの部屋にこれが落ちていた。」

王が言うと、従者が何かをフィーネの目の前に持って来た。

 

薄汚れた白い布切れに紋章が書かれている。それは、2体の悪魔が向き合っている絵だった。

 

「こ、これは魔神教......?!」

見覚えのある紋章にフィーネは驚いた。

 

「フィーネ殿、どうかエリーゼを探し出して助けて欲しい。」

国王はフィーネに懇願した。

 

「わかりました。国王陛下。エリーゼ王女は必ず私たちがお助けします。」

 

「ありがとう。フィーネ殿。よろしく頼んだぞ。」

国王はフィーネに頭を下げた。

 

こうして、ウエス国王との謁見は終わった。

 

 

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