転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第88話

 

ここは世界の何処かにある深淵の国。

魔神城の奥。

 

三司祭の一人メルティナの暗躍により復活したビャッコをフィーネは鬼気迫る強さで圧倒した。

 

「さあ、魔神ザハークの所に行きましょう。」

フィーネが言う。

 

「リリィ、エリーゼ、話がある。」

イブが二人を呼んだ。

「何?イブ。」

リリィはフィーネのことがまだ気になる様子だ。

「二人に大事な話がある。ザハークを倒すには君たちの歌が必要になる。」

「私たちの歌......"月の歌"ですか、にゃ。」

「月の歌......」

エリーゼとリリィは困惑している。

「恐らくザハークにトドメを刺せるのはあの歌の力だけだろう。」

イブが言う。

「私たちの歌の力が鍵ということですにゃ。」

「そうだ。ぼくやフィーネたちが出来るだけザハークの注意を惹きつけるから、その時が来たら歌を歌うんだ。」

「わかったわ。イブ。」

リリィの表情から覚悟が滲む。

「頼りにしてるわよ、二人とも。」

横で話を聞いていたフィーネがそう言って、リリィとエリーゼの頭を撫でた。

 

「この扉、デカくて重そうだな。」

ゴブローが扉を見上げて言う。

「皆んなで一緒に押そう!」

オルガが言うと、他の皆が扉に手をついた。

「いっせーの!せ!」

 

全員で全力で扉を押す。鈍い音をたてて扉が少しずつ開いていく。

 

ドーン!

扉が開き切ると目の前には信じられない光景が広がっていた。

 

床も天井も壁もない、ただ真っ暗な空間。どれだけの広さがあるのかさえ分からない。

その闇の中に白い大理石のようなもので出来た階段がウネウネと左右にカーブを描きながら、ずっと先まで続いている。

「なんだ?これは?」

ハクが驚きの声を上げる。

「無限に続いてるように見えますにゃ」

エリーゼとリリィはしっかりと手を繋いでいる。

 

「進むしかないようね。皆んな、行きましょう。」

フィーネを先頭に階段を登り始めた。

 

「どこまで続いているんだろう?」

リリィがつぶやく。

「わからないが、この先にザハークがいるのは間違いないな」

イブが言う。

 

ただ真っ暗な空間にいると時間の感覚が鈍ってくる。一体どれくらい歩いてきたのか、とにかく前に進むしかない。

 

果てしなく続くと思われた階段の先に何かが輝いているのが見えた。

 

「あそこ!あれは何?」

リリィが叫ぶ。

「きっとあそこにザハークがいる。皆んな油断しないで。」

フィーネが言う。

 

一歩ずつ歩みを進めると、次第に光が近づいてくる。

 

光は横に広がっているようにみえる。

どうやら、広いスペースになっているようだ。

 

しばらくしてフィーネたちは、ようやく光の場所に辿り着いた。

そこは果てしなく広い白い石が敷き詰められた場所だった。

周りを見渡しても何もない。

 

「何だ、ザハークがいないぞ。」

ゴブローが言った時だった。

 

「待ちくたびれたぞ。エルフ。」

腹に響く様な重い声が何処からともなく聞こえる。

フィーネたちは周囲を見回すが、誰もいない。

 

「あそこだ!」

イブが指を差して叫んだ。

灰色の渦巻きが現れ、次第に大きくなる。その中に玉座に座る巨大な影が......

 

「アイツが魔神ザハーク!」

オルガが唾を飲み込む。

 

その巨大な影は、はっきりと姿を現した。漆黒の鎧に身を固め、赤く狂気と威厳と悪意に満ちた眼、そして、左右に長い牙を生やした獰猛な口。

ザハークの姿は、正に魔神そのものだった。

 

「ザハーク!おいらのことは覚えてるか!」

ハクが先陣をきる。

「お前は竜神だな。覚えているとも。」

「お前、昔はもっと人間ぽかったのに、随分デカくなったな」

「私は変わったのだ......」

ザハークが立ち上がった。見上げるほどの巨大さだ。

 

「ザハーク。面倒くさいけど、あなたを倒す」

フィーネが言う。

「あの時の様にはいかんぞ、エルフ。いや、勇者よ。」

「勇者......?」

そう呼ばれる理由がフィーネには思いつかない。

「数千年前のあの戦いを忘れてしまったのか?」

ザハークの言葉に、フィーネの中の転生の記憶が蘇る。

「......思い出したわ。私は勇者だった。家族や仲間を失って、それでも戦った。そして、この命と引き換えに魔神を倒した......」

フィーネは絞り出す様に話した。

 

「勇者、いや、エルフよ。今度は前の様にはいかんぞ。」

ザハークの声がフィーネたちを押しつけるように響く。

 

「今、やっと私の99回の転生の理由が分かったわ。ザハーク、あなたと決着をつけるためだったのね。」

フィーネはそう言うとザハークを睨みつけた。

 

「リリィ、エリーゼ。君たちはぼくらの最後の砦だ。ぼくが守るからじっとしているんだ。」

イブはそう言うと防御魔法を唱えた。

 

「さあ、始めようか。いつでも来て良いぞ。」

ザハークは余裕の表情で構えている。

 

「舐められたものだな。目にもの見せてやる!」

ゴブローが言う。

 

「最初はおいらに行かせてくれ!昔みたいにぶっ倒してやる!」

ハクはそう言うと、竜の姿に変身した。

「さあ、かかって来い!竜神!」

ザハークが言う。

 

 

ついに最終決戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

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