転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第90話

 

ここは世界の何処かにある深淵の国。

魔神城の奥。

 

「簡単には行かないわね。やっぱり。」

フィーネの蹴りを受けたザハークは余裕の表情で立っている。

 

フィーネとザハークが睨み合っている後ろでは、ゴブローたちが、そして、リリィとエリーゼが戦いの行方を見守っている。

 

「どうしたフィーネ。もうお終いか?」

ザハークが挑発する。

 

「ライトニングボール!」

フィーネが両手を天に向かって掲げると、そこから無数の光の玉が現れた。

 

その手を勢いよく振り下ろすと、無数の光の玉がザハーク目掛けて落ちていく。

全弾が命中し、ザハークが眩い光に包まれた。

「ライトニングアロー!」

間髪入れずにフィーネは魔法を繰り出す。今度は光の矢がザハークを狙って飛んでいく。

「炎よ出でよ!インフェルノ!」

「水よ出でよ!ウォーター!」

フィーネは、ザハークに向かって魔法を連発した。

 

ザハークの姿は埃に紛れて見えない。

 

しばらくすると黒い巨大な影が悠然と現れた。

 

「もう終わりか?なかなか楽しかったな。」

ザハークは平然としている。

 

「魔法が効かないのは想定内よ!」

フィーネは、床を蹴りザハークの懐に飛び込む。

目にも止まらぬ速さで拳を繰り出す。が、ザハークはそれを全て防御する。

 

「動きが止まって見えるぞ!フィーネ!」

「なら、スピードを上げるわ!」

フィーネのパンチの速度が更に上がる。

「ぐぬっ!」

数発に一発はヒットしている。ザハークは堪らず後ずさりした。

「やるな。フィーネ。今度はこちらの番だ。」

ザハークの腕が消えた、と思った瞬間。フィーネの身体が吹っ飛んだ。

 

フィーネは何とか受け身を取ったが、ダメージを受けている。

「くっ!」

フィーネは血の混じった唾を吐いた。

「流石にパンチが重いわね。」

そう言うと、再びザハークに向かって攻撃を続ける。

 

ザハークは、じわじわと後退している。遂には床に膝をついた。

「ぐぬう。なかなかやるではないか。」

 

フィーネは攻撃の手を緩めず、パンチとキックでザハークを翻弄する。

 

今度は蹴りが飛んできた。一瞬の隙を突かれたフィーネは、まともに受けてしまい床に叩きつけられた。

 

「フィーネ!」

リリィが叫ぶ。

 

「だ、大丈夫よ。」

フィーネがよろけながら立ち上がる。

「そろそろ限界だろう?勝負をつけてやる。」

ザハークがフィーネを見下ろした。

 

「あの時も、あなたは瀕死の私に油断して自滅した......」

「今更、何を言うか。勇者よ。」

「油断したわね!捕縛せよ!ホールド!」

「なっ!?」

フィーネの魔法でザハークは身動きが取れなくなってしまった。

「油断禁物よ、魔神ザハーク。」

形勢逆転。フィーネが優位に立つ。

「こんな魔法、すぐに解いてやる!」

「私の魔法は強力よ。簡単には解けない。」

フィーネの表情が変わったように見えた。

 

「フィーネ!早くトドメを!」

スザクが叫ぶ。

「そうね。でも普通の方法じゃ、トドメは刺せない......すぐに復活してしまうわ。」

フィーネの顔が何か覚悟を決めた表情に変わった。

 

「フィーネ何をするつもりだ?」

オルガが言う。

「......」

イブは無言で目を伏せた。

 

ザハークは必死に拘束を解こうともがいている。

 

フィーネはリリィたちの方を向いて、今までに見たこともないような満面の笑顔を見せた。

 

「フィーネ......」

ゴブローが息を呑む。

 

「フィーネさん......」

アイリスは複雑な表情だ。

 

その場にいる全員が何かを察していた。

 

 

フィーネはリリィの方を見た。

リリィは溢れ出る涙を止められない。

 

 

フィーネは、ふぅっと大きく息を吐いた。

「......リリィ......オルガ、ありがとう......大好きだよ」

 

 

そう言うと振り返り、魔神ザハークの左胸に手を当てた。

「私の99回の人生全てを賭けて、あなたを滅ぼす!」

フィーネの身体が耀く。

ザハークの右手が微かに動く。が、フィーネは構わず全ての魔力をその手に込める。

「やめろ!お前も命を失うことになるぞ!」

ザハークが叫ぶ。

 

そして、ザハークの身体は炎に包まれた。

「ぐぁー!」

ザハークは身動きが取れないまま焼かれ、動かなくなった。

 

フィーネの身体は眩い光に包まれ、光の粒となって消えた。

 

「フィーネーーーっ!!」

リリィが叫ぶ。

「フィーネさん!」

オルガは膝から崩れ落ちた。

 

「フィーネ......ありがとう。」

イブがつぶやく。

 

ホウオウとスザクは、放心状態になっている。

 

その場の全員がただ立ち尽くしていた。

 

 

 

 

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