転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!   作:daisukenote3397

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第3話

ここはウエスの森の丸太小屋。

 

「わらわは、魔王城に戻った。しかし......」

魔王ミカエルは、ここで一呼吸おいた。

「何があったの?」

フィーネが訊ねる。

「魔王城が襲われたんだ。魔神教•三司祭の手の者に」

「三司祭!」

リリィが言う。

「なす術もなく魔王城は堕ちた。そして、わらわは住む所を失った。それから数百年、世界中を彷徨った。やっと辿り着いたのがここと言うわけじゃ。」

ふぅっとミカは息を吐いた。

「ミカ、お母さんとお城を追い出された私と似てる......」

リリィは、自分の境遇と重ねて同情している。

「可哀想ですにゃ......」

エリーゼがつぶやく。

「わらわはそれでも魔王じゃ。助けてくれて感謝はしているが、施しは受けん。すぐにここを出ていく」

ミカが席を立とうとした、その時。

「ねぇ、ミカ?ここに住まない?」

リリィが、またとんでも無い事を言い出した。

「ちょっと、待って!リリィ、それは......」

フィーネが口を挟むが、リリィの目は本気だ。

「帰る場所が無いなんて可哀想。それに、丸太小屋はまだ余裕あるし」

「無いわよ!」

フィーネが突っ込む。が、リリィは構わず続ける。

「魔王だって言っても悪いことは何もしてないし、良いでしょ?皆んな」

リリィが皆んなの顔を見ながら言う。

「おいらは構わないよ」

「私も賛成ですにゃ」

「まあ、良いと思いますわ」

ハク、エリーゼ、アイリスは賛成。

「ぼくは絶対反対だ!」

「私も反対よ」

イブとフィーネは反対。

「私は賛成。多数決で決まりね。ミカ、あなたは今日から家族よ」

リリィが勝手に決めてしまう。

「多数決って......勝手に決めないで!」

フィーネとイブは納得していない。

「イブとフィーネは、私たちに心配かけたんだから、これでおあいこでしょ?」

リリィが言う。

「なんか、上手く丸め込まれた気がするけど仕方ないか......」

フィーネは渋々了解した。

イブだけが怒っている。

 

「ありがとう、リリィ、フィーネ。これから、よろしく頼む」

ミカが頭を下げた。

 

こうして丸太小屋に、また一人家族が増えたのである。

 

 

 

 

フィーネはミカの方を見て思った。

(私がガルムだったことには気付いてないみたいね。内緒にしておきましょう。)

ガルムとは、フィーネの前世のオークの戦士。勇者エルと共に魔王ミカエルと戦った一人である。

 

 

 

 

「ミカ、イブ。くれぐれも喧嘩はしないでね」

フィーネが釘を指す。

「わかった。わらわは約束は守る」

「わかったよ、努力する」

イブは渋々返事をした。

 

 

 

 

「伝説の魔王ミカエルと一緒に暮らせるなんて夢のようですにゃ!」

エリーゼは一人舞い上がっている。

「竜神や女神や精霊神も、相当レアだけどな」

ハクが言う。

 

「あ、それから寝室は、イブとミカで一緒に使ってね。仲良く。」

フィーネの言葉に、イブとミカは戸惑ったが、諦めたようだ。

 

 

その夜。

 

「こっちに来るな!」

「わらわの陣地はここまでじゃ!」

「ぼくのエリアにはみ出てるぞ」

「尻尾は仕方なかろう!」

「引っ込めろ」

「細かい女神じゃのう」

「五月蝿い!この貧乏魔王が!」

「なんだと!不細工女神!」

「やるか!」

「臨む所だ!」

イブとミカが外に出ようとした時、

扉が開いた。

立っていたのはフィーネだ。

フィーネは、イブとミカを睨みつける。

「二人とも五月蝿い。明日の晩御飯抜きよ」

フィーネは、そのまま寝室に戻った。

イブとミカは、肩を落としてベッドに潜り込んだ。

 

 

翌朝。

 

「イブとミカは、罰として掃除と洗濯をして。そしたら晩御飯は食べさせてあげる。」

フィーネは仁王立ちで二人に指図する。

「わかりました......」

イブとミカは大人しく従った。

 

「魔王と女神もかたなしだな。」

アイリスが笑っている。

「フィーネ、強い」

リリィはその様子を驚きながら見ていた。

 

(探して......)

まただ。フィーネの頭の中に声が響く。

フィーネは、頭を振って声を振り払った。

 

 

丸太小屋は平穏な日々がもどったが、世界には暗雲が立ち込めつつあった。

イストリアとノーザリアの紛争は出口が見えず、エルドランドは国王の体調が思わしく無いと噂が立っている。

三司祭は今の所動きが無いのがかえって不気味だ。

隠密行動が得意なスザクとホウオウが探っているが情報はない。

 

「とりあえず、のんびりしましょう」

フィーネはロッキングチェアに座って紅茶を飲む。

「フィーネ、メルティナの残滓のことは今アイリスと調べているから、何かわかったら教える」

イブが言う。

「イブ、ありがとう。頼んだわ」

フィーネは少し視線を落とした。

 

「たーのしー!」

リリィとエリーゼは露天風呂に入っている。

 

「月のうたと深淵の国との繋がりも気になりますわね。まだ何かありそうですわ」

アイリスがつぶやく。

 

「世界が放っておいてくれない、か......」

フィーネはつぶやいて紅茶を一口飲んだ。

 

騒めく森の木々。

空にきらめく星たち。

遠く雪をたたえるウエス山。

 

この"のんびり"が少しでも長く続く事を願うフィーネだった。

 

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